未来人と艦娘と 作:メテオ・ザ=ディザスター・アラシ(以下略
「叢雲、こっちに弾薬たくさん落ちてたよ」
「こっちには燃料がありました!」
「じゃあドラム缶に入れておいてちょうだい。それにしても、今日は収穫が多いわね」
朝の騒動のあと、叢雲率いる遠征艦隊に参加して資材集めをしていた。今回は面白いように資材が集まり、持ってきたドラム缶はあっという間にいっぱいになった。それに前の戦いでこの辺りの深海棲艦は殲滅したため、道中も資材収集中も深海棲艦に出くわすことはなかった。索敵しても、遠くに全く動こうとしない深海棲艦が数隻いるだけ。この調子なら戦うことなく帰れそうだ。
「叢雲、こっちには壊れた艤装が落ちてたよ!」
「睦月も発見しましたー!」
漣はあちこちが焦げ、変形した小口の主砲を、睦月は大口の主砲……となぜか数匹の魚を持って駆け寄ってきた。
「あんた、その魚どうしたのよ?」
「そこの浅瀬で泳いでたから捕まえちゃった!」
睦月が指差すほうを見ると、数匹の魚が泳いでいるのが見えた。水深も浅いし、素手で捕まえられそうだ。
「魚じゃなくて資材集めなさいよ……。まあ、もう十分集まったから別にいいけど」
「ねーねー、帰ったら焼いて食べようよ!」
「無事帰れたらね。万が一にも沈んだら食べられないわ」
「了解にゃしー!」
羅針盤に導かれる叢雲を先頭に、艦隊は帰路につく。後ろでは五月雨が転びそうになったり、睦月が海鳥から魚を守ろうと必死になったりとかなり賑やかだった。
「第一遠征艦隊、作戦完了よ。今日は結構たくさん集まったわ」
運んできた資材を搬入し、妖精さんに手渡す。他の艦娘たちは艤装を外し、整備妖精さんに預けていた。資材の仕分け、拾った艤装の解体、艦娘の艤装のメンテナンスなどで、妖精さんは慌ただしく動き回る。
「それじゃあ、第二遠征艦隊も出発ね。旗艦霞、出るわ!」
霞に続き、艦娘たちが一斉に出撃ドックを出る。艦隊全員で大きく手を振り、彼女たちを見送った。
「ご主人様―。なんかいい匂いがしません?」
「そうだね。食堂からかな……」
「霞たち、何か作ってたのかしら?」
睦月が捕まえた魚を焼くべく食堂に向かっていた時、漂ってくるいい匂いに気がついた漣。匂いの元を辿っていると、妖精さんが飛び出してきて
「こっちこっちー」
といって案内してくれた。
「ん?何か置いてあるわね」
「これ、よんでー」
妖精さんが叢雲にメモを手渡す。僕たちも続いて覗き込むと、メモにはこう書いてあった。
「お前らが帰ってきた時のために作っておいた。俺たちは先に食ったから、帰り次第食っといてくれ。あと学、お前朝飯ちゃんと食べれてなかっただろ?しっかり食えよ」
「一人称からして木曾かしら?私たちのために作ってくれてたのね」
「そうだよー。あかつきとあさしおもてつだってたよ」
「しらぬいとかすみはほかのようじでてつだえなかったみたい」
妖精さんたちがそういって鍋の蓋を開け、中にあるものをよそいはじめる。鍋からカレーの匂いが漂って来た。
「おおー!木曾ったら、優しいねー!」
「メシウマ!」
「やったぁ!ありがたいです!」
妖精さんたちによそってもらったカレーを受け取ったみんなが一斉に湧き上がる。今朝は(睦月と漣のせいで)まともに朝食を食べられなかったので、ほんとうにありがたい。何気に僕のことも気遣ってくれてるし、いずれお返ししなきゃな……。
「それでね、あかつきはなきながらたまねぎきってたんだよー」
「あの子のことだし、『何よもう!暁は一人前のレディーだから大丈夫!』って言って強がってそうね」
「むらくもせいかーい。そのせりふ、そっくりそのままいってたよ」
妖精さんたちがお菓子をかじりながら待機していた艦隊の様子を話してくれた。霞が資材をチェックしている時に積んであったドラム缶が雪崩れて大変だったとか、朝潮が母親みたいに暁の調理に付き添っていたとか……。会話は盛り上がり、カレーはどんどん減っていった。
「んじゃーそろそろ片付けするかー」
「ご主人様、結構おかわりしてましたねー。腹ペコだったんですか?」
「お前と睦月に朝食盗られたせいでな……」
「てへっ♪」
「てへっ♪じゃねー!そのせいで遠征中死にそうだったんだからな!」
死にそうだったというのは流石に盛りすぎたが、本当に空腹で辛かった。あのまま何もなしだったら冗談抜きで倒れたかもしれない……。
そうして片付けをしようと席を立ったその時……さっきまで隣にいたはずの睦月の姿がないのに気づいた。いつの間に消えたんだ……?
「なあ五月雨、睦月ってどこ行った?」
「さあ……?トイレじゃないですかね。というかいつの間にか妖精さんもいなくなってますね」
「にしては遅くないかしら?睦月たちが出て行ったのって結構前よ」
「え、そうなの?」
みんなとの会話に夢中で全然気づかなかった……。一体何をしに行ったんだ?
「変なことしてなければいいけど……。まあいいや、先に片付けちゃお」
「ほいさっさー!睦月のやつ、帰ってこなかったら夕食のおかず横取りしてやるんだから……!」
「怖いよ……」
「こっちはこれで最後ね。五月雨、お願い」
「はーい!」
「こっちも拭き終わったよ」
結局睦月も妖精さんも帰ってこないまま片付けを終えた。あいつら、一体何やってるんだろう……?
「ん……?ご主人様なんか足音が聞こえて来ましたよ?」
「まさか……」
勢いよくドアが開き、睦月と妖精さんが入って来た。手には棒やらバケツやらを持っている。もしかしてあれって釣竿?
「ちょっと睦月、どこ行ってたのよ!片付けサボった罰として、夕食のおかずは漣がもらうからね!」
「ちょっとー!それってひどくない!?」
「もー、喧嘩はやめてよぉ!で、睦月ちゃんは何をしてたの?」
「釣りの準備してたのよ!妖精さんも手伝ってくれたの!」
妖精さんが道具を持ってはしゃいでいる。ものすごく楽しそうだ……。にしてもなんで釣り?確かに霞たちが帰ってくるまでそこそこ時間があるが……。魚食べたいのかな?
「あんた、なんで今から釣りするのよ……。あと、どこでそれ置いてある場所知ったの?」
「妖精さんが教えてくれたのです!木曾たちにお返ししたいから魚釣ろうって言ったら、道具の場所教えてあげるって!」
「まえのていとくさんのへやからもってきたよー」
「しゅみだったもんね。このどうぐ、けっこうていれされてたよー」
「あー……。あんたたちも手伝ってたもんね」
なるほど、木曾たちへのお返しなのか。いいこと言うじゃないか睦月。
「よし、僕手伝うよ。僕もお返ししたいからね」
「私も手伝います!でも、やり方わからないですけど」
「大丈夫!睦月もわからないから!」
「「「「「ええ……」」」」」
おい睦月、そこドヤ顔で言うんじゃないよ……。まあ、やり方はあとで妖精さんに教えてもらおうかな。
「じゃあ参りましょー!睦月が一番多く釣っちゃうもんね!」
「なにをー!あんたよりたくさん釣ってやるんだから!」
「睦月ちゃんも漣ちゃんも、走ったら危ないよー!」
「やれやれ、騒がしいなぁ……」
「ほんとにね」
大急ぎで飛び出していく睦月と漣、転びそうになりながら続く五月雨。相変わらず賑やかで騒がしいメンツたちだ。
「ところで、道具勝手に使ってもいいの?ここの提督さん、帰って来たりしたら……」
勝手に提督の私物持ち出してるわけだし、一応古参の叢雲に確認してみるが……
「別にいいわ。あいつは……もう帰ってこないもの」
「……そっか」
悲しげな声で彼女はそう言い放った。前提督はもう帰ってこない?どういうことなんだ?まさか……。
いや、よけいなことを考えるのはやめよう。朝潮の時もそうだったけど、ここの過去についてはあまり触れられたくないみたいだし。さっさと忘れて睦月のところにでも行こうか……。
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「あの事件がなければ……ここはもっと賑やかだったのかしらね。金剛も、瑞鶴も、響も……!」
もう何話か日常回したら1−2攻略あたりの話になりそう