未来人と艦娘と 作:メテオ・ザ=ディザスター・アラシ(以下略
「ええ!?あんた達も深海棲艦に出くわしたの!?」
「はい。サメみたいなのは沈めて、仮面野郎は吹き飛ばしてなんとか生還しました」
妖精さんが集めた武器を解体している間、霞さんに帰港中起きたことを話していた。あの時起こした爆発で巨大な水柱が上がり、同時に深海棲艦のようなものが二人の頭上を飛んでいったため、何事かと思ったようだ。
「それで、足を痛めたというわけですね。…申し訳ありません。不知火たちが追いついていればこのようなことには…」
「いえいえ、そんなことないですよ。僕だってもうちょっと出力抑えとけばここまではならずにすみましたし」
不知火さんが申し訳なさそうに頭を下げる。しかし、深海棲艦を撃退してくれた二人を責められるわけがない。
「あとで医療妖精に診てもらいなさいな。そんなに派手にぶっ飛んだのなら、骨折でもしてるかもしれないわ」
うっわ骨折かよ嫌だなぁ…。というか医療妖精なんてのもいるのか、妖精さんってほんとすごいんだな…。
医療妖精さんに診てもらった後みんなの元に戻ると、部屋で妖精さんと霞が話していた。ちなみに怪我の方はと言うと、幸いそこまでひどいものではないようだった。医療妖精さんが何やら処置を施すと
「これでおっけー。あんせいにしていればあしたまでにはなおるよー」
と言われた。かなり痛かったというのにこれが明日までには治るって、いったい妖精さんは何をやったんだ…?
「かいたいおわったよー」
「こうざいたくさーん」
作業を終えた妖精さんが、大量の鋼材が入った入れ物を持って入って来た。
「これだけあれば十分ね。さっそく入渠ドックに向かいましょうか」
「わかりました。叢雲さんは私が運びますね!」
霞さんと朝潮さんは、妖精を引き連れて部屋から出て行った。
「これで、叢雲さんは治るんですよね…?」
「ええ。修復材もありますしすぐに治りますよ」
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朝潮に運ばれ、私は入渠ドックに入れられた。修復材が入れられたお湯に浸かると体の傷がみるみるうちにふさがっていく。壊れた艤装は、妖精さんが隣で修理してくれている。
…正直屈辱だわ、ホ級の魚雷なんかにやられて大破するなんて…。司令官もここの仲間もほとんどいなくなった以上、初期艦の私がみんなを引っ張っていかないといけないのに!
「ねーねーむらくもー」
「なんかむりしてない?」
「…えっ?」
隣で艤装を修復している妖精さんが話しかけてくる。私が無理してる…って?
「みんなしずんじゃってさー、ひとりでのこったなかまをひっぱろうって」
「わたしはむらくもといっしょにたたかってきたからねー。ひといちばいがんばってきたってのがわかるよ」
「でも、そんなにきをはらなくていいのよ?」
「…私がやらなかったら誰がみんなを引っ張っていくのよ。この中で一番練度が高いんだから、私がやるしか「かすみやしらぬいがいるじゃん」」
「あさしおもだよー」
「そうそう、もっとあのこたちをたよってもいいのよ?」
「どこかの
あの日以来、生き残った仲間とどうにか新しい司令官が来るまで頑張っていこうと鼓舞してきた。大本営は他の海域の制海権を守ることで手一杯になっているから、どうしても便りが遅れると言う。まあ、ここまでやられた私たちのことなんかどうでもいいんでしょうね。大本営はあてにならないし、司令官もいない。だから私は今までがむしゃらに頑張ってきた。だけど…
「そんなにむりしちゃだめよー」
「みんなもしんぱいしちゃうわよ?」
「むりしてたらいつかしずんじゃう」
…無理してみんなを引っ張って来たって、妖精さんにはお見通しだったみたいね。この調子だと、みんなも察しているのかしら。
「はい、ぎそうなおったよー」
「みんなのところにいってらっしゃい」
「しっかりやりなさいねー」
妖精さんが直った艤装と服を運んで来る。…そうね。みんなにあんまり心配をかけるわけにはいかないわ。
「ありがとうね、妖精さん。じゃ、行って来るわ」
着替えを済ませ、ドックを出ようとしたその時
「ちょっとまってー」
「まなぶにもおれいいわなきゃだめよー」
…まなぶ?そんな奴ここにいたかしら?
「むらくもがたすけたひとだよー」
「しらぬいたちといっしょにしざいをあつめてくれたのー」
「かえりにちきゅうにおそわれてあしいためたけどねー」
「はあ!?それってほんとなの!?」
あの時ホ級に襲われてた人間が、資材集めに行ってたですって!?しかも今度はチ級に襲われるって…!
「…わかったわ。今学はどこにいるの?」
「だんわしつにいるはずー」
「ありがとう。じゃあいってくるわ!」
私はすぐにドックを飛び出し、談話室に向かった。
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「じゃああんた、100年後の世界から来たってこと!?」
「そ、そうなりますね…」
叢雲さんの修理を待っている時、ふと机の上に置かれた新聞が目に入った。そこには「2002年7月3日」と書かれていたのだ。新聞を持って固まっていると霞さんに話しかけられ、ありのままのことを話すと今に至る。
「どうりでれーざーがんとかその変な靴とか持ってたり、魚雷をみさいると勘違いするわけね…」
「あれ、ミサイルってこの年代にはあるのでは…」
「そ、そうなの?私は知らないわ…。不知火と朝潮は知ってる?」
「いえ、そのようなものは艤装として用いませんので…」
「私も知りません。そんなもの聞いたこともないです…」
艤装ってのは彼女たちが海の上で使っていた装備のことだろうか?ミサイルは流石に使わないんだな…。
「それで、あなたはどうやってこっちの世界に来たのよ?」
「ええとそれはですね…」
訳を説明しようとしたその時ドアが勢いよく開かれた。見ると、修復を終えた叢雲さんがそこには立っている。
「…あんたが学ね?」
「は、はい…」
なんで僕の名前を知っているんだろう?妖精さんから教えてもらったのだろうか…。っていうか、なんか怒ってる?
「あんたね!前にホ級たちに襲われてたっていうのになんで海に出てるのよ!それでもってチ級に襲われて怪我って…!」
「いや、そりゃあ叢雲さんを助けたくて…」
「だからって無茶苦茶すぎるでしょう!深海棲艦に対抗する手段もないってのに!もしル級とかヲ級に出くわしたらどうするつもりだったのよ!!」
「ご、ごめんなさい…」
叢雲さんはすごい剣幕で怒鳴って来る。深海棲艦から逃げるために無理してしまったからな…。
「でも…」
「えっ?」
「私のために修復剤とか資材とかとって来てくれて…そ、その…ありがと…」
さっきまで怒っていたかと思ったら、今度はたどたどしい言葉でお礼を言って来た。ふと見上げると目線をそらし、顔を赤くしている。なにこれ超かわいい。
「そ、その…どうも」
「叢雲さん…もしかして照れてるんですか?」
「な、なによ朝潮!そんなんじゃないったら!」
「頭の上のユニットがピンク色に発光しているのはどう説明するのでしょうか」
「あんた…!酸素魚雷を食らわせるわよ!?」
そう言って叢雲さんと不知火さんは睨み合う。っていうかなんで一瞬でこんな険悪なムードになってるの!?
「あんたたち、そこまでにしなさい!それと叢雲、ちょっと相談があるんだけど」
そういって霞さんが仲裁する。手には遠征中に見た光り輝く物を持っている。そういえばあれはいったいなんなんだろう…。
「艦の魂…?それ、どこで拾ったの?」
「工藤がワ級を撃沈したら出て来たのよ。魚雷を運搬しようとしていたところを不意打ちで仕留めたんだって」
「そう…じゃあ、顕現して見ましょうか。今は資材より人手が欲しいし、あのドックはなんとか動かせるはずよ」
そう言って叢雲さんは出て行った。霞さんも輝くものを持って続く。
「あのー、いったい何が始まるんです?」
「あの魂を顕現させて艦娘にするんです。…よかったらご覧になりますか?」
「おお!それでは是非…いだだだだだ!!」
艦娘が顕現すると聞いて是非見て見たいと思ったが、立ち上がった瞬間足に激痛が走る。あー、そういや安静にしとけって言われてたな…。うっかり勢いよく立ち上がってしまった。
「そういえば負傷していましたね。不知火が肩を貸しましょう」
「工藤さん、私も手伝いますよ」
「はは…申し訳ないです…」
二人に肩を貸してもらい、叢雲さんの後を追って行った。