未来人と艦娘と   作:メテオ・ザ=ディザスター・アラシ(以下略

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第8話  やっつけた......?

「ちっ、やっぱり深海棲艦かよ…!」

建造ドックから少し離れたところを探してみると、こちらに向かって来ていたイ級2体と遭遇した。やはり、あの時見た光は深海棲艦のものだったのか…!

幸いにも相手は駆逐級、その中でも最も弱いイ級だった。しかし数ではこちらが負けている上、イ急にダメージを与える手段もないためこちらが劣勢だ。睦月も1度だけ深海棲艦と交戦した経験はあるらしいが、それでも2体相手では厳しい。さて、どうしたものか…。

「うおっと、あぶねえ!」

突然イ級の片割れが突進を仕掛けて来た。とっさに回避したが、もう片方が避けた先に砲撃してくる。しかし、狙いが甘かったのか砲弾は僕の少し横をかすめていった。その間に突進して来たイ級は体制を立て直し、再び僕の方に向かって来る。なんとか突進はかわせたが、このままではいずれやられてしまいそうだ。

「あーもー!どうすりゃいいんだよ!」

思わず両手で剣を握りしめる。案の定、また視界がブラックアウトしてしまった。すぐに手を離そうとするが、その時目の前の光玉…もといイ級たちから声が聞こえて来た。

(なんなんだよこいつ、ちょこまかと!」)

(もう一気に仕留めるぞ。俺があいつを引きつけるから魚雷を撃ち込め!)

「今度は魚雷まで撃って来るのかよ、危ないな!…ん?待てよ?」

急いで剣を手放し、光玉が見えた方向を確認する。正面からは突進して来るイ級、その後ろにはもう一体のイ級。あの声が本当なら魚雷を発射する役だろう。突進して来るイ級をかわし、少しずつもう一体のほうに近づいていく。ある程度近づいたところで振り返ると、待ったましたと言わんばかりに口を大きく開けるイ級の姿があった。目の前からもう一体も突進して来る。これならいけそうだ。

「よし、今だ!」

突進して来るイ級に向かってジャンプして突進を回避する。勢い余ったイ級にもう一体が放った魚雷が命中し、大爆発。あっけなく沈んでいった。本当に魚雷を撃って来たあたり、この剣を両手で握ると深海棲艦の考えていることがわかるようになるのだろうか。

試しにもう一度握ってみると、一つだけになった光玉からは

(なんなんだよこの艦娘は!私の考えていることがわかるのか!?)

と、焦った感じの声が聞こえて来た。いや、僕は艦娘じゃないんだが…。艦娘ならとっくに砲撃してるし。

その時、こちら側に近づいて来るもう一つの光玉が見えた。あの方角は、確か建造ドックがあったところだ。そして、その光玉から聞こえて来る声は…

(およ?ほんとに深海棲艦がいたにゃ!ていうかなんか提督もいるんだけど!?)

うん、間違いないな。剣を手放すと、こちらに向かって駆けて来る睦月の姿が飛び込んで来た。

「提督―!艤装取って来たよ!ていうか提督、どうやって海の上に立っているの!?」

「それはあとで話す。それより今はあいつを!」

目の前には主砲を構えてこちらを見据えるイ級の姿があった。先ほど自分の魚雷で仲間を沈められたからか、苛立っているように見える。

「悪いけど今の僕ではあいつにダメージを与えることはできない。睦月、なんとかあいつを倒してくれ」

「了解っ!提督は睦月が守るんだからね!」

そう言って睦月はイ級めがけて駆け出し、砲撃を開始した。砲弾は全て命中。イ級も反撃して来るが、睦月に攻撃が当たることはなかった。この子、本当に戦闘経験1回だけなのか?普通にいい動きしてるんだけど…。

 

 

 

「てーい!!」

睦月の砲撃が命中し、イ級の主砲を破壊した。うまく砲撃ができなくなり、イ級は焦りを見せている。あとは魚雷ぐらいしか攻撃手段はないはずだし、もう勝ったも同然だろう。

「いいぞ睦月!あと一息だ!」

「よーし、やっちゃうにゃしー!」

睦月はイ級めがけて魚雷を発射しようとした。…その時だった。

「て、提督さん!逃げて!!」

「えっ…!?」

突然イ級がこちらに向かって突進して来た。まさかせめて僕だけでも倒そうというのか!?

すぐそこまで迫って来ていて、今にも飛びかかって来そうなイ級。死を覚悟し、思わず目をつぶった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どういうことだ…?」

次に目を開けた瞬間飛び込んで来たのは、おぞましい光景だった。

暗い青色の液体が滴る剣、その液体で染まった海面。そして目の前には、さっき僕を仕留めようと突撃して来たイ級が真っ二つになって浮かんでいた。

「なあ睦月、これっていったい…」

「提督さんすごーい!まさか深海棲艦をやっつけちゃうなんて!」

え、僕がこいつを倒した?それってどういう…?

「およ?もしかして覚えてないのかにゃ?提督さんがその剣で斬ったら、イ級が真っ二つになったんだよ!」

「ええ!?そうなのか…?」

だとしたらこの気持ち悪い色の液体は深海棲艦の血なのか?血が青色とかザリガニかよこいつら。

「…気持ち悪いしさっさと帰ろうか。」

「提督!その前にあれも拾っていこうよ!」

睦月が指差した先にはキラキラ光るものがある。もしかして艦の魂かな?

「オッケー。じゃあ持って帰るか」

「了解にゃしい!」

こうして艦の魂を回収して帰港することにした。叢雲が帰って来たら顕現していいか聞いてみようか…。

 

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