絶対に死んではいけないACfa   作:2ndQB

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いつもの倍くらい文章あります


第13話

主人公視点

 

 

と、思ってた時期が私にもありました。ハイ。

 

割と本気で、こんなのいきなり過ぎて引き受けてくれないとか思ってたんですが…それがね、何と引き受けてくれたんですよ。しかも聞いたところによると2つ返事でOKしてくれたらしいです。

 

…この人やばない?ちょっと良い人すぎひん?

 

嘘みたいだろ?まだ顔合わせもして無いんだぜ…こr《ゼン、間もなく交戦可能距離に入る》

 

おっとあぶねぇ!いかんなこんな時に考え事してては。さーて、ワンダフルボディはと…お、建物の陰から出てきたぞ。

 

茶色の迷彩色に、GA社の機体特有の角ばった頑丈そうな機体…そして男の子はみんな大好き! セクシーなお姉さんのエンブレムッ!!あ、あれはまさしく

 

 

《ようやくネクスト投入か。仕掛けが遅いな、インテリオル・ユニオンも》

 

 

ワンダフルボディだあああ!

 

すげぇ、本物だ。しかもリンクスである『ドン・カーネル』さんの初登場セリフまで頂いちゃったぜ。ふふ、悪いね『首輪付き』君…。君、カーネルさんとの戦闘はしたのかい?まだだよなァ。初めての相手は君では無いッ!このゼンだッーーー!!

 

…オホン。ところでさ、カーネルさんのこのセリフ聞く度に思うんだけどかなり自信満々な感じに聞こえるよね。

 

多分この言葉、相手が自分じゃ無くても出てくるハズ。…凄いなぁ。カーネルさんってネクスト機を動かすのにまだ慣れて無いらしいのに、どこからあんな自信が湧いてくるんだろうか。

 

例えば自分が初心者の時に

 

「しまった、あの輸送部隊は囮だったのか!」っとかなった所に【レイテルパラッシュ】とか【ヴェーロノーク】とか出てきたらどうする?

 

そうですね。俺なら依頼そっちのけで即反転、即OBで領域離脱ですかね。考えるだけでも恐ろしい…いやー、でもこの自信満々な感じはちょっと自分も見習うべきだ!ここはちょっとカーネルさんを褒め称えよう。

 

《大した自信だ》

 

聞こえてますかね?

 

《何?》

 

大丈夫みたいだね。よっしゃ、褒めまくるぜ!

 

《大した自信だと言ったんだ、ドン・カーネル》

 

《リンクスとしての技量はまだ未熟…にも関わらず、不測の事態が起こりうる戦場でよくその様な態度を取れるな? とてもじゃ無いが、俺には真似する事が出来ない》

 

《まったく、どうすればそうなるのか…くく、尊敬に値するよ》

 

完璧…ッ!!これ以上に無い位の完璧な賛辞だ。これを聞いて喜ばない人とか居るの?ってレベルで非の打ちどころがない。まったく自分の褒めスキルは恐ろしいな!

 

《お、お前ッ…!》

 

お?喜んでる?いやー、良いんですよ。自分は思ったままを口にしたまでですって。本当、そこまで自信に満ち溢れるのは並の人には出来ない―――

 

《コケにしてくれたな…!》

 

…はい?

 

《この、経験も、素質も、すべてが違うこの俺を…!》

 

ちょっ、全然喜んで無いんですけどー! いまの言葉のどこにそんなに怒り溢れる要素が? 少し落ち着いて、冷静になってもう一回よく考えてみて?

 

《…俺は思った事を口にしただけだが》

 

《黙れ!今すぐその減らず口を―――》

 

おや?ワンダフルボディ背部武器展開してない?なんか両背のミサイルのハッチがパカパカ開いている様な…

 

 

―――ドドドドドドッ!

 

 

――――――その直後…砂塵が宙を舞う中、轟音と共にワンダフルボディの背部兵装から大量のミサイルが発射された。(※何か始まりましたがどうかお付き合い下さい)

 

右背部の兵装〝OSAGE03〟からは6発、そして左背部の最新型の兵装〝WHEELING01〟からは16発…何と合計22発ものミサイルが自機に向かって来たのだ。こちらとワンダフルボディとの距離はそこまで離れてはいない。このまま何の行動も起こさなければ、おそらく数秒後には自機にその大量のミサイルが着弾…落とされる、とまでは行かないだろうが、決して小さいとも言えないダメージを被る事になるだろう。さて、どうするか…

 

ここでの選択肢は2つだ。1つ目は至極単純、『避ける』。まあ、こちらは幸い軽量機だ。本気で『避ける』いや『当たらない』つもりで挑むのなら機体を反転、OBやQBを使用すれば高速ミサイルでも無い限り振り切る事など容易いだろう。

 

そして2つ目の選択肢は、自機の肩兵装であるBFF社製のフレアの使用。このフレア、装填数こそは少ないものの『ミサイル誘導率』自体は全フレア中随一。使用すればこちらは動く必要すら無い。まあ、楽と言えば楽なのだが…少々展開が遅い。と、言っても他のフレアに比べると僅かに差がある程度に過ぎないが。

 

こうしている間にも、視界を埋め尽くさんばかりにミサイルはどんどん接近してくる。だが、自分にはまるでそれがスロー再生でもしているかの様にゆっくりと感じられた。…ああ、『たまにある』奴だ。瞬間的に理解する。相当緊張状態が高まると集中力が発揮されるのか、時折こうなる。まるで自分だけが時間から切り離された様に、全ての動きが『ゆっくり』と見えるのだ。

 

しかし残念ながら、こうなるのは大体――――色々と〝ギリギリ〟の時と相場が決まっている。

 

 

選択肢は決まった。

 

 

機体を後方へと瞬時に移動させるべく、バックブースタのQBを吹かす。この世界に来てからというもの、QBすらまともに使用した事は無かったが…特にそれに対して不安などは無かった。何故ならこの機体の事は全て、手に取る様に『分かっていた』から。それがあの『神』による配慮なのかどうかは自分には分からないが…

 

 

 

瞬間。

 

 

 

「―――フッ!!」

 

 

 

QB特有の何かが〝弾け飛ぶ〟様な凄まじい轟音。

 

と共に機体(身体)に莫大な負荷がかかる。肺の中の空気が絞り出され、そのあまりの負荷に思わず顔が歪んだ。

 

確かに『分かって』はいた。だが、まさかここまでとは…!

 

車の急ブレーキを想像して欲しい。数十キロ程度の加速からの急停止。普通に生活する上では感じる事の無い、あの『外に引っ張られる』かの衝撃を。

 

だが、今現在感じた衝撃はその比では無かった。引っ張られると言うよりかは、まるで巨大な何かに『押しつぶされる』とでも言った方が良い様な、そんな感覚…まあ、静止状態から一瞬で時速1000キロオーバーの世界に突入したのだ。『車』を比較対象にするのもおかしな話か。

 

 

選んだ選択肢は2番。つまりは―――フレアの使用だ。その場で使っていたのなら間に合うかどうかが分からない。フレアの展開時間を稼ぐために距離を取ったという訳だ。しかし、本来なら『フレアを使いつつ避ける』つまり、1番と2番を合わせるのが最も正しい解なのだろう。

 

そんな事は良く分かっている。事実、ゲーム上での戦いではそうしてきた。だが、だがどうしても、今の自分の中ではコレがベストな答えだったのだ。なぜなら(※お疲れ様でした)――――――

 

 

おっしゃあああ前方に向けて発射!いけや!我がフレア達ーー!!

 

 

―――フレアフレア~(※心の中のフレア発射音)

 

 

ってSUGEEEE!!!凄い誘導性能だ!あんなに沢山のミサイルを全部誘導してるよ。いやー、やっぱりさ…実際にどんな感じになってるのかを見たいですよね。だってミサイル避けつつフレア撒いてたら本物見ている余裕なんて無いじゃん?1回位こう、フレア達の勇姿をゆっくりと見ても罰は当たらないと思うんだ。

 

ほーら見て!凄いよアレ!俺に向かって来ていたミサイル達は全部、180度回れ右してカーネルさんのところに戻っていってるぜ!もうミサイル達を誘導しすぎて、ワンダフルボディ周辺の建造物全てを破壊して…え?

 

―――ドゴォン!!ドォン!ゴァッ!!

 

…ち、ちょっと激しいね。建物の破片とかも凄くワンダフルボディに降り注いでいるし。で、でも大丈夫だよ! あの機体って超堅いし、破片ごときでは何にも出来ないさ!

 

だって現に機体にぶつかっている破片は全て弾かれて…

 

 

―――ズズン…ズ…

 

 

あ、ワンダフルボディのすぐ隣のビルが崩れ―――

 

 

―――ズズッ!!ズゴゴゴゴッ!!!

 

 

しかも機体のある方向に倒壊している。これはマズイぞ。カ、カーネルさん! は、早く、早くそこから離れないと! 巻き込まれる…って遅っ!! ワンダフルボディ動くの遅っそい!!

 

まさか倒れてきているのに気付いていないとか?…その可能性はあるな。あれだけ自分の周囲で爆発が起こってるんだし、粉塵やら爆発音やらで今どんな状況かが把握出来ていないのかも…

 

…お!? すぐ左側を向いたぞ!ビルの倒壊に気づいたんだ。心なしかヘッドパーツが倒壊するビルを見上げている様に見える。…いや、あれ絶対見上げてるよ。

 

あ、ああー、でももうダメだ。そのまま巻き込まれていく…

 

 

―――カラン…カラ…

 

 

……。

…………ねえ、砂煙で姿が見えなくなったんだけど。

 

お、おいおい!!まさか、まさかやっちまったのか? 建造物破壊で間接的に、げ、撃…

 

《……》

《……》

 

そしてこの沈黙である。お願いしますエドガーさん何か言って下さいますか。

 

《ウ…》

 

…………う?

 

《……グッ、ゼ、ゼン……いくら弾薬が勿体ないからと言っtも、フクッ。さ、さすがにその倒し方はdう、どうなんだ?ゎ、笑い話しにもならな……フゥ!!》

 

いやエドガーさん笑うの堪えてるのバレバレだからね?声とか上ずって震えてるし。これ後で確実に笑い話になるパターンだよね。

 

それと、あんなの狙って出来る訳無いでしょ!? 偶然ですよ偶然! 

 

…それより真面目ににカーネルさん大丈夫なんだろうか。もしかしてネクスト機ごとぺしゃんこに

 

 

《お゛い…》

 

 

お、おお!?カーネルさんの声だ!生きてる!砂煙で姿は見えないけどとりあえずは一安心。

 

…ん、だんだん晴れてきた。

 

…うわぁ、ネクスト機の足元が完全に瓦礫に埋もれている。いや、全身瓦礫まみれだ…本当に申し訳無い。ま、まあでも?動けそうだし!良かったですねカーネルさん!それと一つ質問なんですけど

 

 

《もしかして怒っているのか?》

 

《ブフォッ!》←(※エドガーが吹き出した音)

 

 

すごい気になったので…こちらの理想としては

 

Q「キレてるんですか?」 A「キレテナイッスヨ」

 

的な?一昔前に流行ったギャグみたいな感じで行きたいんですけど。

 

 

《……、殺してやる…》

 

 

カーネルさん超キレてました。

 

マジでヤベーよ。声がガチギレした時の奴じゃん。わざとじゃ無いって言っても絶対信じてくれないよコレ。例えるなら【メガネ掛けてる奴の顔面に間違って手を勢い良くぶつけた時】に出される感じの声。

 

結構的確な例えだと思うんだけどどうだろう。いつも優しい斉藤君に「コロスゾ…ッ!!」って言われた時はおしょんしょんチビリかけたは…

 

こういう時こそおじいちゃんの知恵袋を使おう。おじいちゃん曰く、相手が怒っている時はとにかく良い事を言いまくると良いらしい。おじいちゃん、どうかこの俺を助けてくれ!

 

 

《生きてて良かったな》

 

 

どうだ!?我が至極の一手!

 

 

《……あ゛ァ゛!!??》

 

 

ですよね。っつーかじいちゃんの知恵袋全然役にたたねぇ。

 

頭に血が上っているのか、返事がもはや正当な言語かどうかすら怪しくなっている。ACVのR〇君並にキレてるんですけど。……もうどうすれば良いの? 俺は何をすればカーネルさんの怒りを鎮める事が出来るの?

 

……何か悩みがあるとか?

 

うわ、これは絶対このパターンだ。きっとその何らかの悩みで頭が一杯なんだ……そうじゃ無きゃここまで何かと怒るはずない。悩みがあると些細な事でもイラッとくるしなー。多分、最初に出会った時のスミちゃんパターンだな!

 

そういう時は

 

《どうしたドン・カーネル。様子を見る限りでは、何らかの悩みがある様に感じられるが…何かあったか?俺で良ければ話を聞かせてもらおう》

 

人に話すと楽になりますよ!

 

 

《……》※カーネルさん

《……》※俺

 

《ハッハhh!……ゴホッ!ゴホッ!!》※エドガーさん

 

 

エドガーさんちょっと静かにして下さい。

 

 

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カーネル視点

 

 

ドン・カーネルは激怒した。

 

必ず、この傲岸不遜の者を倒さねばならぬと決意した。

 

はっきり言おう。これまでの人生において、ここまでバカにされた事は無い。コイツ、今一体なんと言ったんだ? 悩みは無いかだと? ふざけてる。

 

(悩みの元凶はお前だろうが…!)

 

最初の挑発、そして次の、『わざわざ』コチラの発射したミサイルを逆手にとっての屈辱的な攻撃。その2つで既に我慢の限界だったと言うのに、更に追い打ちを掛けてくるとは…コイツはもうこの世から追い出すしか無い。

 

カーネルは、乗機であるワンダフルボディの使用武器をミサイルから左腕の武器へと変更。銀色のネクスト機へと狙いを定めた。

 

左腕に搭載されているのは、GA社製バズーカ〝GAN02-NSS-WAS〟。驚く事なかれ、このバスーカ砲『散弾』を発射するのだ。1発でも高威力は弾丸が同時に4発…軽量機は言わずもがな、重量機でさえ、その弾丸がフルヒットしたならば大きくそのAPを減らす事になるだろう。

 

(コイツを食らいやがれ…)

 

狙いを定めたカーネルは、迷う事なく弾丸を発射した。

 

直後、ドゴンッ!っという特徴的なバズーカ音が大音量で辺りに響き渡る。相手との距離は近いとは言い難い。だがそれでも一応、射程距離の範疇ではある。重く、痺れる様なバズーカの反動を感じる最中、カーネルは確信していた。

 

『命中した』と。

 

散弾は基本的に命中力が他の武器に比べて劣る。ましてや動いている相手にヒットさせるとなると、至近距離に近づかなければならないだろう。では何故、カーネルはそう確信したのか?

 

何故なら、動いて居なかったから。

 

そう、相手の軽量機はフレアを発射した位置から一歩も動いてないのだ。恐らく、瓦礫に埋もれていたコチラの醜態を目にして悦にでも入っていたのだろう。…腹立たしい限りだ。だが、その余裕の態度が命取りというもの。

 

(さて…被弾して慌てふためく姿を見せろ!)

 

だが、その思惑は外れる事となる。

 

 

《な…にィ…!?》

 

 

当たらなかったのだ。『一発も』。

 

弾丸が迫りくる直前で相手は回避行動を取った訳でも無ければ、こちらの狙いが逸れた訳でも無い。…その瞬間をカーネルは見ていた。発射された4つの弾丸は、信じがたい事にあのネクスト機を中心に3方向に分かれたのだ。

 

1発は機体の右側に、1発は左側、そしてもう2発は機体上部へと。

 

相手のプライマルアーマーが「バチバチッ…!」という音とともに不安定に電気を迸らせている事から、その4つの弾丸がどれも皮一枚ならぬ『膜一枚』隔てて通過したのであろう事も伺わせる。

 

――――偶然のはずだ。

 

カーネルはそう考えざるを得なかった。如何に散弾とは言え、その弾丸が『どう散弾するのか』まで分かるはずが無い…だが、だが

 

(奴は、『動かなかった』)

 

そこが問題だ。

 

あれはただコチラをバカにしていただけで無く、ここで俺がこの武器を使用すると踏んでたのではないか? フレアを撃つ際後ろに下がったのも、4発の弾丸がどの距離でどう分かれるのかを理解していたのではないか?

 

いや、もしそうだとしたら…そもそもどこからこうなる事を予測していたんだ。もしや、あのミサイルを逆手に取っての『ビル破壊』もこの一連の流れを再現する為の――――

 

《クハハ…ドン・カーネル。そちらがどう『考えている』か手に取る様に分かるぞ?》

 

《…クッ!!》

 

――――何なんだ、コイツは。まさか、本当にここまでの事を全部計算していたとでも言うのか。

 

僅かに闘志が揺らいだ。もしや、コイツは俺の手に負えない相手なのでは無いのか。そんな考えが頭の中を過った。しかし

 

(…一体、何を考えているんだ。例えここまでが奴の計算通りであったとしても、問題は無い。そう、俺は『特別』だ。選ばれたんだ。こんな奴に負けるなどあるはずがない!)

 

即座に気を取り直す事に成功する。

 

カーネルには自負があった。GA社の栄えある〝NSS計画〟の最初期の被検体であり、数多の人間の中から『選ばれた』自分は特別だという自負が。

 

《…では、次はコチラの番かな?》

 

相手の「遊びは終わりだ」とでも言いたげな口調。…一々癇に障る男だ。まあ良い、今の内に粋がらせておいた方が後で楽しめると言うもの。

 

 

《…ハッ!お前の番など》

 

 

――――来ないッ!!

 

 

「戦闘開始」だ。

 

 

 

 


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