修学旅行が終わり、数日…。
部室に行かなければならない。行かないと平塚先生の鉄拳制裁が待っている。
『貴方のやり方、嫌いだわ…』
『もっと人の気持ち考えてよ』
頭の中で反響する声…。
部室入りたくないとドアの前に立つと、中から声が聞こえる。
「ヒッキー部活もうこないのかな?」
「来なくていいわ、彼邪魔だもの」
「そうだよね!!人の気持ち考えないヒッキーなんて、いらないよね!!」
聞こえてきた内容に落胆する。でも、入らなければいけない。
「うっす」
「あら、来たのね」
「や、やっはろー」
歓迎されてないのはわかる。だが、俺はここに来なければいけない。居場所だと思っていた。そして、居場所ではなくなったこの部室に。
「邪魔者だと思われてるのは理解しているが、俺は強制入部させられてる。だから、ここへ来なければならない。不快だとは思うが、居させてもらう」
「そう。貴方の言う通り不快極まりないけど、仕方ないわ」
「そ、そうだね」
「依頼が来たら、席を外す」
「当然ね」
「私とゆきのんが居れば、依頼なんて解決出来るから」
「…そうか」
俺は間違えたのだろうか…。間違えたのだろう。その結果がこれだ。どこを間違えた?嘘告白なのか、それとも二人を信じたことか…。だが解は出ている。俺は間違えたことだけは間違いないことだ。
修学旅行が終わってから、イジメを受けている。彼らにとっては報復であろう。友人の告白を横取りしたのだから。昼休みや放課後の部活が始まる前に、人目につかないトイレなどで、殴られている。顔は殴ってこない。そりゃバレるからな。
散々殴られた後に奉仕部に行かなければならない。
「うっす」
「あら、来たのね。来ないと思ったわ」
「ふ~ん、来たんだ」
「…すまん」
来ないことを期待していたのだろうか。思わず謝罪を口にしてしまった。
いつもの席に座り、二人の様子を見ると紅茶を飲みながら談笑している。もちろん、俺に紅茶が出る訳がない。
「失礼するぞ」
「平塚先生、ノックを」
いつものやりとり。今までは心地よく感じていたのだが、今は違和感しかない。
「依頼人を連れて来た」
「失礼します」
「失礼しま~す」
生徒会長の城廻先輩と、もう一人は一年生だろうか。どこか『可愛い私』という仮面をかぶっているようだ。
依頼というなら、俺は席をはずさなければならない。雪ノ下の方を見ると。
「帰って結構よ」
鞄を持ち席を立つと、平塚先生に呼び止められる。
「比企谷、どこへ行く」
「あの男は必要ありません」
『必要ありません』やはり居場所はなくなったと実感した。
扉が閉まった部室の中で何が話されているかはわからない。わからない方がいいのだろう。
鞄を肩にかけると殴られたところが痛むので、手から下げて帰る。
真っ直ぐ帰ってもいいが、小町とはケンカ中だ。ドーナツ屋で時間を潰すことにした。
ドーナツとカフェオレを受け取り、席に座り読みかけの文庫本をひらく。
しばらく本に没頭していると、大きな声と肩に走るい痛み振り返ると魔王が…