居場所   作:おたふみ

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一話

修学旅行が終わり、数日…。

部室に行かなければならない。行かないと平塚先生の鉄拳制裁が待っている。

 

『貴方のやり方、嫌いだわ…』

『もっと人の気持ち考えてよ』

 

頭の中で反響する声…。

 

部室入りたくないとドアの前に立つと、中から声が聞こえる。

 

「ヒッキー部活もうこないのかな?」

「来なくていいわ、彼邪魔だもの」

「そうだよね!!人の気持ち考えないヒッキーなんて、いらないよね!!」

 

聞こえてきた内容に落胆する。でも、入らなければいけない。

 

「うっす」

「あら、来たのね」

「や、やっはろー」

 

歓迎されてないのはわかる。だが、俺はここに来なければいけない。居場所だと思っていた。そして、居場所ではなくなったこの部室に。

 

「邪魔者だと思われてるのは理解しているが、俺は強制入部させられてる。だから、ここへ来なければならない。不快だとは思うが、居させてもらう」

「そう。貴方の言う通り不快極まりないけど、仕方ないわ」

「そ、そうだね」

「依頼が来たら、席を外す」

「当然ね」

「私とゆきのんが居れば、依頼なんて解決出来るから」

「…そうか」

 

俺は間違えたのだろうか…。間違えたのだろう。その結果がこれだ。どこを間違えた?嘘告白なのか、それとも二人を信じたことか…。だが解は出ている。俺は間違えたことだけは間違いないことだ。

 

 

修学旅行が終わってから、イジメを受けている。彼らにとっては報復であろう。友人の告白を横取りしたのだから。昼休みや放課後の部活が始まる前に、人目につかないトイレなどで、殴られている。顔は殴ってこない。そりゃバレるからな。

 

散々殴られた後に奉仕部に行かなければならない。

 

「うっす」

「あら、来たのね。来ないと思ったわ」

「ふ~ん、来たんだ」

「…すまん」

 

来ないことを期待していたのだろうか。思わず謝罪を口にしてしまった。

いつもの席に座り、二人の様子を見ると紅茶を飲みながら談笑している。もちろん、俺に紅茶が出る訳がない。

 

「失礼するぞ」

「平塚先生、ノックを」

 

いつものやりとり。今までは心地よく感じていたのだが、今は違和感しかない。

「依頼人を連れて来た」

「失礼します」

「失礼しま~す」

 

生徒会長の城廻先輩と、もう一人は一年生だろうか。どこか『可愛い私』という仮面をかぶっているようだ。

 

依頼というなら、俺は席をはずさなければならない。雪ノ下の方を見ると。

「帰って結構よ」

 

鞄を持ち席を立つと、平塚先生に呼び止められる。

「比企谷、どこへ行く」

「あの男は必要ありません」

 

『必要ありません』やはり居場所はなくなったと実感した。

 

扉が閉まった部室の中で何が話されているかはわからない。わからない方がいいのだろう。

 

鞄を肩にかけると殴られたところが痛むので、手から下げて帰る。

真っ直ぐ帰ってもいいが、小町とはケンカ中だ。ドーナツ屋で時間を潰すことにした。

 

ドーナツとカフェオレを受け取り、席に座り読みかけの文庫本をひらく。

しばらく本に没頭していると、大きな声と肩に走るい痛み振り返ると魔王が…


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