居場所   作:おたふみ

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十四話

生徒会役員選挙当日の体育館。

もうすぐ演説本番だ。

はぁ、緊張する。人前に立ちたくないよお。

「先輩、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃない。帰りたい」

「ヒッキー…、私も…」

「由比ヶ浜もか…。よし帰ろう。一緒に帰ろう」

「え?一緒に?えへへ、それも…」

「ダメよ、由比ヶ浜さん」

「やっぱり…」

「一色は落ち着いてるな」

「そんなことないですよ。心臓バグバグですよ。触ってみますか?」

「なっ!なに言っちゃってるの!」

「冗談に決まってるじゃないですか」

「そ、そうだよな…」

横から、視線をふたつ感じる…。

「ヒッキー…」

「比企谷君…」

二人が怖いよぉ。よし、話を反らそう。

「雪ノ下、本当にやるのか」

「やるわ。進行も城廻先輩から、止めないようにお願いしてあるわ」

「…そうか」

「ヒッキー、私もがんばる」

「お、おう。期待しないでおく」

「ヒドイし!」

「リラックス出来たか?」

「あ、うん」

「由比ヶ浜らしくやれば大丈夫だ」

「ヒッキー…、ありがとう」

放送で由比ヶ浜が呼ばれた。

「じゃあ、行ってくるね」

「由比ヶ浜さん、しっかりね」

「任せて、ゆきのん」

 

『只今、紹介に預かりました、2年F組の由比ヶ浜結衣です。今から私の話にお付き合いください。』

よし、大丈夫そうだ。

『その話は文化祭まで遡ります。実は文化祭までの道のりは大変でした。実行委員の集まりが悪かったり、副委員長が倒れたりしました。そんな中、地味にですが活躍してくれた人がいます。まずスローガン決め』

おい、話の向きがおかしい。

「おい、雪ノ下。由比ヶ浜が…」

「これでいいのよ」

「よくねぇよ」

「今は演説の最中よ。それとも、強引にやめさせるのかしら」

やられた…。

『集団をまとめるにはどうすか?彼は自分が共通の敵となることで、実行委員の出席率を上げました。それと、こんな噂を聞いたことはありませんか?実行委員長がエンディングセレモニーの前に、とある人物に泣かされたと。そして、その状態でステージに立ったと』

体育館がザワついてきたぞ。由比ヶ浜、どういうつもりなんだ。

『それは、事実であって事実ではありません』

おいおい、それ以上は…。

『何故、あの時にプログラムに無い演奏があったのでしょうか?何故、あの時に実行委員長を呼び出す放送が何回もあったのでしょうか?それは、ステージの袖に実行委員長が居なかったからです』

あちゃ~、言っちゃったよ…。

『その彼は、実行委員長を探しに行き見つけました。無理やり連れてくるのではなく、あえて罵倒することによって、自分の足でステージに向かわせました。それによって、エンディングセレモニーを放棄した悪者から、泣きながらもエンディングセレモニーを成し遂げた悲劇のヒロインになったのです。これを聞いて、みなさんはどう思いますか。聡明なみなさんなら、わかるはずです』

由比ヶ浜、聡明なんて知ってたんだなぁ…。じゃなくて!なんで、そんなことを今さら…。

『その彼には、こんな噂もあります。修学旅行の時に、告白に割り込んで邪魔をしたと』

そんなことまで、持ち出すのかよ。

『でも、彼は二つの依頼を受けていたんです。ひとつは、告白してフられないようにしてほしい。もうひとつは、告白される側から告白をされたくないから、阻止してほしい。そんな相反する依頼をどう解決したのか。告白に割り込んで嘘の告白をしました。方法は最低ですが、これしか方法が無かったと言っても過言ではありません』

あ~あ、言っちゃった…。

『そして、今回の生徒会役員選挙になります。本来なら、彼は表舞台に立つことを嫌います。ですが、この生徒会役員選挙では、一色いろはさんの応援演説に立ちます』

悲報!俺氏、過去を暴露される!

『彼、比企谷八幡君が動き、応援演説までするには理由があります。その理由は、この後の雪ノ下雪乃さんにお任せします。そして、投票は一色いろはさんにお願いします』

やっと終わった…。

『最後に、もうひとつ』

まだあるのかよ!

『これは、嘘でも妄言でも罰ゲームでもなく、私の本心です。比企谷八幡君、私は貴方のことが好きです。ご静聴ありがとうございました』

おいぃぃぃ!何、さらっと爆弾投下してるんだよ!みんな、唖然としてるじゃねぇか!

 

…雪ノ下の演説も思いやられる。

 

 

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