体育館がザワついてる中、由比ヶ浜が戻ってきた。
「由比ヶ浜、あれは…」
「由比ヶ浜さん、良かったわよ」
遮られた…。
「あのな、由比ヶ浜…」
「黙りなさい。私が話をしているのだから」
「はい…」
「由比ヶ浜さん、とても良い演説だったのだけど、最後のアドリブは…」
「えへへ、気持ちが昂って言っちゃった」
「そう…」
雪ノ下を呼ぶ放送がかかる。
「では、行ってくるわ」
「雪ノ下、お手柔らかに頼む」
「ゆきのん、がんばって」
雪ノ下が、とびきりの笑顔で小さく手を振る。次から、その笑顔で接してください。
「なぁ、由比ヶ浜。さっきの…」
「しぃ~!ゆきのんの演説始まるから」
「はい…」
『只今、紹介に預かりました、2年J組の雪ノ下雪乃です。私が立候補したのは、ある依頼があったからです。
それは、一色いろはさんの生徒会長選挙に落選させてほしいというものでした。しかも、この立候補は嫌がらせによるものでした。私はがっかりしました。県内有数の進学校の総武高校で、そのようなことがあることを。そして、一色さんの担任教師もです。一色さんも担任教師に相談したそうですが、面倒なことが嫌なのか、本当にわかってないのか知りませんが、クラスを代表してとか、みんなに推薦されたんだからとか言って、然したる対応をしませんでした。現生徒会長の城廻先輩に確認したところ、立候補の取り下げは出来ない。
悩みました。悩んだ結果、私が生徒会長に立候補し当選すれば一色さんの問題は解決するのではないかと。でも、それに異論を唱える人がいました。それは、今から一色さんの応援演説に立つ、比企谷八幡君です』
悲報!俺氏、また目立つ!
『彼は、私が生徒会長になってはイジメた相手の思う壺だと言いました。それによって、一色さんはまたイジメにあうだろうと。そして、彼は彼女に、こう言いました。生徒会長になって見返してやれと。彼女もそれに答えました。彼は人前に立つのが苦手にも関わらず、彼女の応援演説に立つことを決意しました。私はその意気込みを私は買いました。しかし、私は立候補の届け出を出した後でした。どうするか悩みました。結果的に、このように3人で一色さんの応援演説をするようなカタチになってしまいました。神聖な生徒会役員選挙をこのような茶番にしてしまって、大変心苦しく、申し訳なく思います。
ですが、元を正せば生徒会役員選挙をイジメに使った生徒、それに気がつかない教師にも問題はあると思います。当該の生徒と教師には、相応の罰があるとは思いますが…。
ここまて、お話しすれば、賢明で聡明な総武高校の生徒であれば誰に投票すればいいかお分かりになったと思います。
私からは以上になりますが…。最後にひとつだけ…。
私は虚言は吐きません。
…比企谷八幡君、私は貴方のことが好きです。
ご静聴、ありがとうございました』
おいぃぃぃぃぃぃぃ!!みんなポカンとしてるだろ!雪ノ下まで何言ってくれちゃってるの!
なんで、こうなるんだ…。この後、俺の演説はどうなるんだ…。