居場所   作:おたふみ

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二話

「比企谷君!」

肩を叩かれた激痛と大きな声で振り返る

 

「痛っ!!雪ノ下さん…」

「ごめん、そんなに強く叩いたつもりはなかったんだけど…」

「いえ、ちょっと…」

「ちょっと、何?」

「自転車で転びましてね」

「…ふ~ん、そうだったんだ。ごめんなさいね」

「知らなかったことなんで、仕方ないですよ」

「そ・れ・で!比企谷君は、なんでこんな時間にここに居るのかな?部活の時間じゃないの?」

「ちょっとやらかしましてね。戦力外通告をされました」

「今度は何をしたのかな?」

「守秘義務ですので」

「ふ~ん、まあいいや。雪乃ちゃんに聞いてみよ」

「そうしてください。きっと俺のことを嫌いになれますよ」

俺から口にすれば、俺の主観になってしまう。

本当のことを言えば味方になってくれるかもしれない。

味方になってもらっても、雪ノ下さんは信用出来るのか?答えは否だ。

「それで、部活は辞めたんだ」

「いえ、強制入部なんで辞められませんから。新しい依頼が来たので、席を外してそのまま直帰です」

「じゃあ、お姉さんとデートしようよ」

「転んで打ったところが痛むので遠慮します」

「じゃあ、デートしないでいいから、ここで少しお話ししようか」

「嫌ですよ。こんな美人と長話してたら、周りの目が痛いじゃないですか」

「もう美人なんて、このこの」

雪ノ下さんが肘でグリグリしてくるところも痛い…

「痛いですよ…」

「ごめんね、そこも痛いんだ」

「ええ、まあ」

「本当に転んだだけ?」

「そうですよ。間抜けな転び方しただけです」

「気をつけてね。未来のお義弟くん」

「その未来は来ないと思いますよ」

「どうしてかな?」

「やり方はマズかったにしろ、嫌われたと思いますんで」

「じゃあ、比企谷君は今回の件で嫌われなければ、その未来はあったと思う?」

少し考えてみる…。初めてあの部室に入った時に、その姿に心を奪われ、成長を目の当たりしてきた。嫌われてないとは思っていた。だが…

「無理でしょうね?」

「雪乃ちゃんのこと嫌いだったの?」

「むしろ逆です。憧れていました。雪ノ下に好かれてはなかったでしょう。好きな相手にあの罵詈雑言はないと思いますよ。小学生じゃあるまい…」

「そうかなぁ?雪乃ちゃん子供だからなぁ。仮に今告白されたらどう思う?」

「仮定の話をしても…」

 

後ろから凍てつくような声が聞こえてきた。

「何を話しているのしら?」

「雪乃ちゃんにガハマちゃん、ひゃっはろー。もうちょっとで比企谷君の本音が聞けたのに、思ったより早かったね」

「なんで、この男が居るのかしら」

「っ!す、すまん」

「なんで比企谷君が謝るのかな?」

「雪ノ下と由比ヶ浜は、俺の顔を見るのも嫌だろうから…」

「そっかそっか。三人揃ったから、まずは比企谷君が戦力外になった理由を聞こうか」

「俺は失礼しますよ」

「えぇ、そうしてくれるかしら」

「ヒッキーと話すこと無いモン」

雪ノ下と由比ヶ浜が睨んできてるのがわかった。

「う~ん、仕方ないけど帰っていいよ。二人が来たら顔色悪くなっちゃったし」

実際に、息苦しい…。雪ノ下さんが察してくれて助かった。

 

とりあえず、帰ろう。小町とは、まだ険悪だけど…。

 


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