居場所   作:おたふみ

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四話

翌日、昼休み。また殴られた痛みを引きずりながら教室に戻ると、戸塚が心配そうに駆け寄ってきた。

「八幡、顔色悪いけど大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。戸塚に心配かけて申し訳ないまである」

「八幡が調子悪そうなのは、雪ノ下さんのことかな…」

「雪ノ下がどうかしたのか?」

「雪ノ下さんが生徒会長に立候補するって由比ヶ浜さんが…」

それは悪手だぞ、雪ノ下…。

「八幡?」

「ああ、すまん…。そうか…」

川崎も心配そうに声をかけてきた。

「アンタ、大丈夫かい?」

「大丈夫だ…」

「大丈夫には見えないよ。保健室行くかい?」

「いや、少し座れば大丈夫だ…」

すると、由比ヶ浜が声をかけてくる。

「ヒッキー、放課後に部室に来て」

「あ、ああ、わかった…」

ダメだ。最悪の展開しか見えない…。城廻先輩と一色の依頼は破綻、そして、奉仕部は…廃部…。

 

気がつくと放課後になっていた。授業はまったく頭に入ってこなかった。

 

部室に入ると、雪ノ下、由比ヶ浜、城廻先輩に一色、平塚先生とすでに揃っていた。

「すいません、遅くなりました」

「早速、始めさせていただきます。今回の依頼ですが、私が生徒会長に立候補します」

やはり…。城廻先輩と一色がこちらをチラリと見たのがわかった。

「いいのか、雪ノ下」

「ええ、もう立候補の届け出はしましたので」

「奉仕部はどうするのかね?」

「由比ヶ浜さんに庶務として生徒会に入っていただくので、生徒会としてやっていきます」

ここは…、俺の居場所はどうなるんだ…。

「奉仕部はどうする?」

「廃部でよろしいかと…」

「比企谷はどうなるんだ?」

「比企谷君、よかったわね、これで無罪放免よ」

最後通告…。俺の居場所はなくなるのか…。

そんな手段ではなく他の方法が…。でも、これを言ったら嫌われてしまうのでは…。言えない…。

「何か言いたいのかしら?比企谷君」

「…いや、何もない」

俯いて、そう答えるのが精一杯だった…。

城廻先輩と一色は何か言いたげにこちらを見ているが、何も言えない。言いたくない…。

「では、私と由比ヶ浜さんは、選挙公約と演説を考えますので」

 

呆然としながら鞄を取り部室を出る…。

ふらふらとした足どりで下駄箱に向かうと、城廻先輩と一色に呼び止められた。

「比企谷君!」

「先輩!」

「すいません。今は何も考えられません」

 

そう言って靴に履き替えて、校門を出るとそこには…。

 

「ひゃっはろー!比企谷君」

「…雪ノ下さん」

「お姉さんとお話ししようか」

「拒否権は…」

「あると思う?」

 


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