翌日の昼休みも殴られた。
昨晩、考え事をして寝不足だったのに殴られたのでフラフラする。
「アンタ、大丈夫?」
廊下で川崎に肩をつかまれた。
「痛っ!!」
「えっ…」
「な、なんでもない」
教室に入り席に着く。
「アンタ、なんでもない痛がり方じゃなかったよね」
「転んだんだよ」
「普通に転んで、あんなところケガするのかよ」
「間抜けな転び方したんだよ」
「嘘も大概にしなよ」
すると、大岡と大和が絡んできた。来るなよ、お前ら…。
「なんだ、次は川崎か?」
「海老名さんにフラれてもう新しい恋か」
「どういうことだい?」
川崎が聞き直している時、話を聞いていた戸塚が割って入って来る。
「大岡君と大和君と八幡でトイレに入って、二人だけ先に出て来たよね?どういうこと?」
「戸部の告白の邪魔したから、お灸をすえてやったのさ」
「アンタら、比企谷を殴ったってことかい?」
ヤバイ!川崎も戸塚も殺気立ってる。
「いいんだ。川崎、戸塚、俺に関わると…」
「イヤだね」
「イヤだ」
言い切る前に断られた。
「どうなんだい?比企谷を殴ったのかい?」
「あぁ、そうだ」
「ちょっと待つし!」
炎獄の女王・三浦が来た。
「海老名に告白ってどういうことだし!それに戸部も告白しようとしてたって」
由比ヶ浜、葉山、戸部、海老名さんの顔が曇る。川崎はそれを見逃さなかった。
「由比ヶ浜、アンタなんか知ってるね?」
「結衣、どうなん?」
「え、え~と…」
マズイ!
「由比ヶ浜、答えるな!守秘義務だ!」
「う、うん…」
「葉山と戸部…、それに海老名も気まずそうな顔してたね」
よく見てるな、川崎…。
「隼人、戸部、どういうことだし!なんで、あーしだけ知らないの?」
「海老名さん、何か知ってるの?」
戸塚が優しく問いかける。
「なんの騒ぎだ!チャイムはもう鳴ったぞ!」
しまった!午後イチは現国だった!
「平塚先生、放課後に今騒いでるメンバーを奉仕部に集めてください。話があります」
「うむ、わかった。いいか、お前達」
渋々といった感じで頷く。平塚先生があっさりと了承したのも驚きだ。
「では席着きなさい。授業を始める」
放課後、奉仕部の部室に集まったのは、川崎・戸塚・葉山・戸部・海老名さん・大岡・大和、それに平塚先生に奉仕部三人。
「これはどういうことなのかしら?」
「えっと…」
怪訝な雪ノ下に困惑する由比ヶ浜を遮り、川崎が話し出す。
「それは私から話すよ。平塚先生、それでいい?」
「川崎に任せよう」
川崎、頼むから余計なことは言わないでくれ…。