「まず比企谷が大岡、大和から暴力を受けていました」
大岡と大和は俯き、他のメンバーは驚く。
「大岡、大和、それは本当か?」
俯いている二人に平塚先生が問いかける。
「平塚先生、それは後にしてください」
「うむ。では続けてくれ」
後にしないでください。痛いよ、けっこう…。
「その理由が、戸部が海老名に告白しようとしたところを比企谷が邪魔をして告白したということ」
由比ヶ浜は頷き、雪ノ下は終始目を閉じている。
「比企谷。アンタ本当に海老名のこと好きなの?他に目的があったんじゃないの?」
「それは言えない」
言える訳がない。
「あっそ。アンタはたぶん依頼かなんかでやったんでしょ。じゃあ、奉仕部三人に聞いても無意味だがら、戸部に聞こうか?アンタの告白の邪魔をしたって聞いたからね」
「そ、それは…」
戸部を問い詰める川崎…。怖い…。
「アンタの友達に、比企谷が殴られていたんだ。それでも、黙りでいられるの?」
「奉仕部に依頼をしたから…」
「なんて?」
「海老名さんに告白したいけど、フラれたくないから協力してほしいって…」
「ダッサ!」
三浦が一言でバッサリ…。
「アンタ、バカじゃないの?告白してフラれないなんてことはない。逆に上手くいくことの方が少ない。それに、奉仕部じゃなくて仲間に相談すればいいし!」
「いや、隼人君に相談したら、ここへ連れてきてくれて」
「隼人、どういうこと?あーしは、何も相談されてないんだけど」
三浦が言うことはもっともだ。
「いや、優美子に相談したら、今みたいな一言で終わりだろ?だから…」
まぁ、あーしさんならそうですよね。
「その依頼を受けて、戸部の告白を邪魔した訳だ。結果、戸部は直接フラれてないと…。比企谷、そういう事?」
「あぁ、そうだよ」
なんか、すげぇな川崎。
「それと!」
三浦が声を荒げる。
「結衣!海老名の気持ちは考えたの?」
「そ、それは…」
「由比ヶ浜さん、貴女が受けようと言った依頼よ」
「…ごめんなさい」
「もうひとついい?」
川崎が割って入る。
「海老名、アンタもなんかあるでしょ?」
海老名さんに水を向けた。
「サキサキ、意外と鋭いね」
「サキサキ言うな。それと意外とはいらない。で、どうなの?」
「戸部君が告白してくるのがわかったから、止めてほしいってお願いしたんだ、葉山君に。そしてヒキタニ君に」
みんなの目が葉山と俺に集中する。
「そ、それは本当なの…」
雪ノ下が狼狽する。
「隼人、どうなの?」
「隼人君~」
葉山は何も言えない…。
「沈黙は肯定よ」
「お、俺には…、俺には出来なかった」
「貴方、最低ね。相反する自分への依頼を丸投げしてくるなんて…」
雪ノ下が葉山を睨む…。
「雪ノ下さんや比企谷が止めてくれると思ったんだ…」
「それは、受けた由比ヶ浜さんのせいにするつもり?」
「い、いや、そんなつもりは…」
「貴方の言い方はそうよ!」
「姫菜、いつヒッキーに相談したの?」
「葉山君と戸部君が奉仕部に来た後だよ」
「あの時って…。男の子同士で仲良くとか言ってただけ…」
「でも、ヒキタ…、比企谷君は理解してくれた」
「もっとわかりやすく言ってくれれば、私だって…」
「雪ノ下さんは恋愛に疎そうだし、結衣は同じグループでしょ?私はグループを壊したくなかったんだ…」
そうだ。海老名さんは、こちらに近い人間で、居場所を見つけるのは大変だ。そんな海老名さんが見つけた居場所を守ってあげたかった。
それで、俺が居場所なくして本末転倒もいいとこだ。
「海老名、相談する相手が違ったし」
「優美子…。そうだね。ごめん」
「謝る相手が違うし」
「比企谷君、ごめんなさい」
「大丈夫だ。海老名さんの気持ちはわかるから」
「ヒキタニ君、俺もごめんね」
「戸部がフラれたくない気持ちはもわかる」
「比企谷君、ごめんなさい。そんな事情があるとも知らずにあんなことを言って…」
「いいんだ、雪ノ下。事情を言わなかった俺が悪い」
勝手に暴走した俺が悪い。
「ヒッキー、ごめんなさい…。私
、私…」
「いいんだ、由比ヶ浜…」
きっと、由比ヶ浜は告白する戸部に自分を重ねたのだろう。
苦い顔をした葉山が呟く…。
「俺は…俺は…」
突然、部室の扉が開かれる。
「ひゃっはろー!」
魔王再臨…。