居場所   作:おたふみ

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八話

なんで来たの、この人…。

 

「まずは、比企谷君を殴ってた二人は静ちゃんに任せるよ」

「うむ。大岡、大和。比企谷に何か言うことはないのか」

「比企谷、すまなかった…」

「ごめんなさい」

「二人は私と生徒指導室に行くぞ。停学は覚悟しておけ」

 

平塚先生と二人が出て部室を出て行く。

「さてと…。隼人はどうしてこんなことをしたのかなぁ」

「アンタいきなり来てなんだし!」

「貴女、用がないから出てって」

「なに!」

「三浦さん、ここは引いてもらえるかしら…」

「戸部っちと姫菜も…」

「まぁ、雪ノ下さんと結衣が言うなら…」

「ヒキタニ君、マジごめんネ」

「もういい。済んだことだ」

「結衣、あとで話そ」

「…うん」

「戸塚と川崎も外してもらえるか。後でちゃんと話すから」

「八幡、絶対だよ」

「ちゃんと聞かせてよ」

「あぁ、悪いな」

 

残ったのは、奉仕部に葉山に雪ノ下さん。

「なんで雪ノ下さんは、さっきの話知ってたんですか?」

「静ちゃんに携帯を通話モードしておいてもらったんだ」

「なんでそんなことを…」

「比企谷君と雪乃ちゃん達の様子がおかしかったからね。静ちゃんにお願いしてあったんだ」

「戸塚や川崎も、そうなんですか?」

「間接的にね。静ちゃんだって、ずっとは見てられないからね。静ちゃんから見て信用出来る人にやってもらったんだ。川崎ちゃんが優秀で、お姉さんビックリだよ」

「ああ、もういいです…」

俺が呆れていると…。

「隼人はなにをやっていたのかなぁ」

「お、俺は…、みんなが仲良く出来ればと…グループが壊れないようにと…」

「ふ~ん、アンタのグループだけ仲良く出来て、比企谷君だけ傷ついて、奉仕部がバラバラになって、それでいいと?」

「そんなことは!」

「だって、そうでしょ?どんな言い訳しても無駄だよ」

「…」

「結局、隼人はその程度ってこと」

「くっ…」

葉山は悔しそうに唇を噛み締める。

「それに、自分の友達が比企谷君をイジメてるのに気がつかないなんてね。それとも知ってて何も言わなかったのかな…」

「…」

「沈黙は肯定だよ。葉山のおじ様にも報告するから」

「それは…」

「諦めな。それと、雪乃ちゃんと比企谷君に二度と近づかないで。もしなにかあったら…。潰すよ」

葉山に言ってる言葉なのに背筋が凍る。

「隼人、もう出てっていいよ」

うなだれながら部室を出ようとする葉山に声をかける。

「葉山、戸部にも三浦にも海老名さんにも個性がある。『みんな仲良く』で一括りにするな」

「…」

「ちゃんと話しをしてみろ」

 

葉山が部室を出ていく。『ちゃんと話しをしてみろ』か…。わかっていたつもりだったのは、俺じゃねぇか。勝手に信頼して、わかったつもりで…。説明も言い訳もしないで…。言葉を尽くさなかったのは、俺じゃねぇか。

 

「比企谷君は優しいね。あんなアドバイスまでしちゃって」

「依頼のアフターケアですよ」

「もしかして、自分に言ってたのかな?」

「さぁ、どうなんですかね」

 

さてと、俺もこの部室を出よう…。今さら、二人にどんな顔すればいいかわからんからな。

 

「なに帰ろうとしてるのかな?比企谷君」

八幡は逃げ出した。だが、逃げられない。

お願い、帰らせてください…。

 

 

 

 




―――――――――――

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