なんで来たの、この人…。
「まずは、比企谷君を殴ってた二人は静ちゃんに任せるよ」
「うむ。大岡、大和。比企谷に何か言うことはないのか」
「比企谷、すまなかった…」
「ごめんなさい」
「二人は私と生徒指導室に行くぞ。停学は覚悟しておけ」
平塚先生と二人が出て部室を出て行く。
「さてと…。隼人はどうしてこんなことをしたのかなぁ」
「アンタいきなり来てなんだし!」
「貴女、用がないから出てって」
「なに!」
「三浦さん、ここは引いてもらえるかしら…」
「戸部っちと姫菜も…」
「まぁ、雪ノ下さんと結衣が言うなら…」
「ヒキタニ君、マジごめんネ」
「もういい。済んだことだ」
「結衣、あとで話そ」
「…うん」
「戸塚と川崎も外してもらえるか。後でちゃんと話すから」
「八幡、絶対だよ」
「ちゃんと聞かせてよ」
「あぁ、悪いな」
残ったのは、奉仕部に葉山に雪ノ下さん。
「なんで雪ノ下さんは、さっきの話知ってたんですか?」
「静ちゃんに携帯を通話モードしておいてもらったんだ」
「なんでそんなことを…」
「比企谷君と雪乃ちゃん達の様子がおかしかったからね。静ちゃんにお願いしてあったんだ」
「戸塚や川崎も、そうなんですか?」
「間接的にね。静ちゃんだって、ずっとは見てられないからね。静ちゃんから見て信用出来る人にやってもらったんだ。川崎ちゃんが優秀で、お姉さんビックリだよ」
「ああ、もういいです…」
俺が呆れていると…。
「隼人はなにをやっていたのかなぁ」
「お、俺は…、みんなが仲良く出来ればと…グループが壊れないようにと…」
「ふ~ん、アンタのグループだけ仲良く出来て、比企谷君だけ傷ついて、奉仕部がバラバラになって、それでいいと?」
「そんなことは!」
「だって、そうでしょ?どんな言い訳しても無駄だよ」
「…」
「結局、隼人はその程度ってこと」
「くっ…」
葉山は悔しそうに唇を噛み締める。
「それに、自分の友達が比企谷君をイジメてるのに気がつかないなんてね。それとも知ってて何も言わなかったのかな…」
「…」
「沈黙は肯定だよ。葉山のおじ様にも報告するから」
「それは…」
「諦めな。それと、雪乃ちゃんと比企谷君に二度と近づかないで。もしなにかあったら…。潰すよ」
葉山に言ってる言葉なのに背筋が凍る。
「隼人、もう出てっていいよ」
うなだれながら部室を出ようとする葉山に声をかける。
「葉山、戸部にも三浦にも海老名さんにも個性がある。『みんな仲良く』で一括りにするな」
「…」
「ちゃんと話しをしてみろ」
葉山が部室を出ていく。『ちゃんと話しをしてみろ』か…。わかっていたつもりだったのは、俺じゃねぇか。勝手に信頼して、わかったつもりで…。説明も言い訳もしないで…。言葉を尽くさなかったのは、俺じゃねぇか。
「比企谷君は優しいね。あんなアドバイスまでしちゃって」
「依頼のアフターケアですよ」
「もしかして、自分に言ってたのかな?」
「さぁ、どうなんですかね」
さてと、俺もこの部室を出よう…。今さら、二人にどんな顔すればいいかわからんからな。
「なに帰ろうとしてるのかな?比企谷君」
八幡は逃げ出した。だが、逃げられない。
お願い、帰らせてください…。
―――――――――――
書きためた分は書きます。
厳しいご意見は、次作以降の参考にさせていただきます。