GANTZ『焔』   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第27話 逃がさねーよ

 玄野を襲撃するために吸血鬼達が車に乗り込み、次々と出発していく。

 それを七階建てほどのマンションの上から見送ってからほむらは、ライスを抱えると気負いなく跳躍して地面へと着地を決めた。

 周囲の人間達はほむらの存在に気付いていない。

 何故ならほむらは今、私服の下にガンツスーツを着込んでいて姿を消しているからだ。

 

「行くわよ」

 

 ライスを連れて吸血鬼達の拠点である地下クラブへと突入する。

 今ここに残っているのは、玄野襲撃から外された吸血鬼達だ。

 彼等は自分達の巣にたった今、最も危険な相手が飛び込んできた事にも気付かず雑談をしていた。

 

「玄野の奴……何か様子がおかしかッたな」

「そりゃアレだ。実の兄が黒スーツの一員だッたんだ。心中穏やかじゃねーだろーよ」

「おかしな事を考えなきゃいいんだがな。あいつはいずれは幹部にだッてなれる男だ」

「なあに、心配はいらねえよ。アイツも言ッてただろ、兄貴とはそんなに仲良くなかッたッて。

暗くて何考えてるか分からなくて気持ち悪いとか言ッてたじゃねーか。そんな相手をわざわざ守ろうとして氷川さんに歯向かうような馬鹿じゃねーよ」

 

 数はざっと見て、二十人ほどか。

 ほむらは素早く両手に持ったXガンのロックオン機能で吸血鬼達をロックしていく。

 引き金を引くのは一度だ。それで全て片付ける。

 奴等には無警戒のまま、何が起こったかも分からず消えてもらおう。

 吸血鬼達は自分の命が握られている事に気付かない……気付けない。

 彼等には消えたガンツメンバーでも見る事が出来るコンタクトレンズやサングラスがあるが、襲撃の可能性を考慮していないこのクラブでは安心してしまっているのか、誰も付けていないからだ。

 そして仮に付けていても無意味だっただろう。

 何故なら今日という日を盤石にすべく、ほむらによってサングラスの8割以上が市販の、よく似たデザインのサングラスにすり替えられてしまっているからだ。

 ほむらに拠点の位置がバレ、侵入を許した……その時点で彼等は、既に死が決定されていたのだ。

 

 ギョーン……と、Xガンの発射音が重なって響いた。

 

「おい……何だ、今の音」

「ぎょーんッて……今のッてまさか」

「やべえッ! サングラス付けッ……」

 

 気付いた時にはもう遅い。

 吸血鬼達の頭が一斉に破裂し、肉片と脳漿を撒き散らした。

 クラブの吸血鬼を全滅させたほむらは、しかしそのまま警戒を解かずにクラブ内を歩く。

 ライスの鼻を頼りにロッカールームや風呂、事務所、トイレ……そうした個室を一つ一つ探し、生き残りを発見してはXガンで駆除していった。

 

「は? おい……誰だ、ドア開けたの……今入ッぶげら!」

 

 トイレに籠っていた吸血鬼をそのまま撃ち殺し、隣のドアを蹴り開ける。

 それを繰り返し、やがて一人の生き残りもいなくなった所でほむらはクラブを出て行った。

 これでまずは半分。

 後は玄野を襲撃しに向かっている吸血鬼を根絶やしにするだけだ。

 

 

 玄野の住むアパートでも戦いは始まっていた。

 狙撃地点に陣取った東郷がXショットガンで次々と吸血鬼を仕留め、なかなかアパートに近寄らせない。

 何とか突入した吸血鬼もいたが、次の瞬間室内に明かりが灯ったと思った瞬間、砂のように砕け散った。

 ほむらが桜丘に買わせた太陽光照明だ。

 その罠にかかった吸血鬼がどんどん死んでいき、これでいきなり吸血鬼の数が半減してしまった。

 

「やッてくれる……」

 

 氷川はすぐに電線を銃で撃ち、これで照明トラップは無効化された。

 それから刺すような視線で仲間の吸血鬼達を睨む。

 先に突入した仲間達を塵に変えたのは太陽光照明だが、そんな設備を都合よく持っていたとは思えないし、仮に持っていたとしてもああまで効果的に使うには事前情報がなければ不可能だ。

 つまりは、『吸血鬼の弱点は日光』と知っていなければ、あんなトラップは用意出来ない。

 加えて、トラップを用意していたという事は自分達が今夜襲撃をかけるという事を知っていたという事。

 つまり……内通者がいる。そう氷川は判断した。

 その判断は半分正解で、そして半分間違いだ。

 確かに内通者は存在している。玄野の弟である玄野アキラがそうだ。

 彼は兄の窮地を見過ごす事が出来ずに、襲撃がある事や吸血鬼の弱点の事まで玄野にバラしてしまっている。

 だがそれがなかったとしても、暁美ほむらによって吸血鬼は既に丸裸にされていた。

 アキラが裏切らずとも結果は何も変わらなかっただろう。

 とはいえ、そんな事を氷川が知るはずもない。

 

「アキラ……お前か?」

 

 氷川の視線に射すくめられ、アキラが露骨に反応を示した。

 氷川が一歩距離を詰めると、後ずさるように一歩距離を空ける。

 そんな彼を他の吸血鬼も不審に思ったのだろう。何人かで羽交い絞めにし、彼の懐から携帯電話を奪い取った。

 そして電話のアドレス帳や履歴を見るが、少なくともそこに玄野計の名は見当たらない。

 

「貸せ」

 

 氷川に言われ、吸血鬼が電話を投げ渡した。

 それを見て氷川は目を細める。

 着信履歴や発信履歴、電話帳には玄野計の名は見付からない。

 とはいえ、そんなのは削除すればいいだけの話だ。

 ここに証拠がないからといって、それで身の潔白が証明されるわけではない。

 

「履歴が不自然に全部消されてるな……これは万一にも消し損ねて証拠が残るのを恐れたからか?」

「ハァ? そんなんじゃねーッて! ただ、何となく整理したくなッただけだ! そういう事もあるだろッ!」

「まァ……そうだな。そういう事もあるか。じゃあ次だ」

 

 そう言い、氷川は刀を出してアキラの首へピタリと当てた。

 冷たい刃の感触にアキラが震え、首からは一筋の血が流れる。

 

「お前、何で薬飲んでんだ? 夜はいらねーだろ、そんなの。

……最初から分かッてたんだろ? お前の兄貴が太陽光を使うのをよ」

「言いがかりはやめろッ! そんなの……」

「お前は新人だから知らないようだが、日光に強くなる薬を飲むと少しだけ肌の艶とか色とかハリとか……まァ、そういうのが変わるんだ。よく観察しないと分からない程度の差だがな」

 

 氷川は淡々と、しかし内通者がアキラだと確信したように話す。

 その説明に他の吸血鬼は「え? そうなの?」という顔をしているがアキラはそれに気付く余裕もない。

 

「……ね、念の為だ……最近は夜でも、まだ明るい事もあるから……」

「そうか。ところでさッきのは嘘だ。肌の色なんかで分からねーよ」

「なッ」

「で……何で嘘を吐いた? 最初からそう言やいいだろ」

 

 氷川が冷たく、しかし殺意を隠さない眼でアキラを睨む。

 アキラはその氷のような眼に震え、もう言い逃れは出来ないと悟った。

 いや、もしかしたらまだ言い逃れは出来たかもしれない。氷川は半信半疑で、実際の所はまだアキラだと確信しているわけではない。

 だがアキラは焦ってしまった。もう言い逃れは出来ないと思い込んでしまった。

 結局のところ彼は、どこまで大人びていてもまだ十四歳の子供なのだ。

 氷川と渡り合うには、絶対的に人生の経験値が足りていない。

 

「がッああああああッ!」

 

 アキラを拘束していた吸血鬼を振りほどき、自棄を起こしたように刀を持って氷川へ斬りかかった。

 氷川は首を動かすだけで刀を避け、そして虫でも払うかのように刀を薙ぐ。

 するとアキラの首と胴が分かれ、道路に崩れ落ちた。

 

「馬鹿が」

 

 氷川はアキラの死体を一瞥して吐き捨てるように言い、アキラの頭を掴んでアパートへ視線を戻した。

 トラップは無効化したが、そんなのは玄野達も予想していたことだ。

 氷川が電線を切ったのを合図に、周囲に隠れていたガンツメンバー……桜丘、加藤、和泉、西が既に飛び出している。

 勿論全員ステルス機能を発動させており、その姿は吸血鬼には見えない。

 次々と撃たれ、斬り殺されていく仲間を見ながら吸血鬼達は焦る。

 

「やべえッ! 他にもいるッぞッ!」

「何やッてんだ! 早くサングラス付けろッ!」

「もう付けてるッ! なのに何でだ……見えねッあがあ!」

 

 サングラスを付けているのにガンツメンバーが見えずに、どんどん死んでいく。

 先も述べた通り、既にそれはほむらによってすり替えられているのだ。

 だから見えるはずもなく、狩る側だったはずの吸血鬼は気付けば一方的に狩られる立場になってしまっていた。

 玄野もアパートから飛び出し、次々とガンツソードで吸血鬼を切り伏せていく。

 彼を頭上から強襲しようと、唇の厚い新入りの女吸血鬼が跳びあがったが……次の瞬間、足が破裂して地面に転がった。

 

「あッがあああ!」

「はい残念~。お前隙だらけだッつーの、バーカ」

 

 撃ったのは西だ。

 彼は加虐的な笑みを浮かべて姿を現し、女吸血鬼を見下す。

 西は更に二発Xガンを撃つと女吸血鬼の両手が破裂し、悲痛な叫びが木霊した。

 

「いいねェ~……俺さァ、前からこれで人間撃ッてみたかッたんだよね。

小動物じゃ満足出来なくてさァ……星人はホラ、何か人間と違うし?

なあ、今どんな気分だ? アンタみたいなスカした女が死の間際にどんな顔になるのかさァ、俺に見せてくれよ」

 

 西丈一郎は精神破綻者である。

 身近で親しい者には深い愛情を示す事もあるが、それ以外に対しては極端に冷たく、痛めつけても罪悪感を覚えないどころか快感すら感じる。

 そんな彼の異常性は幼い頃から虫や小動物を殺す事で発散されてきたが、今では星人を殺す事が生き甲斐となっていた。

 ある意味、あの部屋に招かれるべくして招かれた人間と言えるだろう。

 もしも部屋に招かれなければ、いつか関係のない人間を衝動のままに殺していたかもしれない。

 皮肉な話だが、彼が今日まで殺人者にならずに生きて来られたのはあの部屋に招かれたからとも言えるのだ。

 

「あッ、ハァッ、ハァッ、や、やめ……て……ッ!

おねがッ……ころさなッ……わたし、最近ッ吸血鬼になッたばかりで……」

 

 女吸血鬼の命乞いを無視して更に西が撃つ。

 すると今度は脇腹が吹き飛び、臓物が零れた。

 

「あああああ゙あ゙あ゙ッ! ぎゃああああッ!」

「何か……違うんだよなー……。あいつならもッとこう、違う反応見せてくれそうッていうか……。

まァいいや。もうお前は死ね」

 

 西は女吸血鬼の顔にXガンを当てて引き金を引いた。

 それから少しして顔が砕け散り、女吸血鬼が動かなくなる。

 

「西! 悪趣味だぞッ! そんな甚振るような真似をして楽しいかッ!」

「うッせーよ、偽善者。楽しいからやッてるに決まッてんじゃん」

 

 西のその残忍さは味方であるはずの加藤からも非難されるようなものだ。

 しかし西丈一郎とはこういう男である。

 他人から言われたくらいで更生する類の人間ではない。

 

「ちッ……」

 

 氷川は流石に形勢不利と見てこの場から離脱しようとする。

 だがそんな彼の前にバチバチと音を立てて、一人の男が立ち塞がった。

 それは氷川とも因縁がある和泉だ。

 

「どこに行くんだ……逃がさねーよ」

「お前か……」

 

 氷川はいつも通りの涼し気な表情のままだが、冷や汗を流していた。

 見せしめにする為に持っていた裏切者……玄野アキラの生首を捨て、剣を構える。

 それを見て玄野は硬直してしまったが、和泉には何の効果もない。

 彼もまたガンツソードを構え、氷川と相対するだけだ。

 二人が同時に踏み込み、剣を衝突させる。

 火花が散り、両者譲らぬ互角の戦いを繰り広げた。

 氷川の刀を和泉が避け、和泉の斬撃を氷川が避ける。

 だがこの戦い、有利なのは和泉である。

 何故ならスーツの耐久が残っているうちは、和泉は刀で斬られる事はない。

 故に氷川が和泉に勝つには、まずスーツを壊さなければならないのだ。

 対し、和泉のガンツソードは一撃で氷川を斬り殺す事が出来る。

 両者の技量が互角である以上、耐久の差はそのまま勝敗へと繋がってしまう。

 

「くッそッ!」

 

 幾度も剣が衝突し、氷川に傷が増えてきた。

 結論から言えば、氷川は一対一では和泉に勝てない。

 彼が和泉に勝つには、まずスーツを壊す事を大前提に置かねばならず、仲間に動きを止めて貰ってスーツを壊して、ようやく二人は対等になれるのだ。

 二人の剣が交差し、氷川の刀が和泉の腹に当たった。

 それと同時に和泉のガンツソードが氷川の胸に当たる。

 血飛沫が舞い、二人の影がすれ違った。

 

 

 

 ――刹那。和泉は一つの未来を視た。

 それは今とは異なる景色だ。

 自宅のマンションの前で大勢の黒服を相手に戦う自分が見えた。

 そして恋人の涼子を庇い、氷川に斬られて死んでいる自分が見えた。

 

『いいもの、見せてあげるよ。

キミがどんな存在か、“鍵”にどんなに届かないか、ゴミみたいな存在なのか』

 

 これは誰の台詞だ?

 これはいつ、どこで見た映像だ? 誰に見せられた映像だ?

 続けて更に過去の映像が和泉の脳裏に蘇る。

 今度は他のガンツメンバーを率いて、何かに怯えるように戦う自分の姿だった。

 そのミッションの中で氷川と出会い、和泉は必死に戦った。

 だが倒す事は出来ず……そして100点を獲得した時に和泉は意思に反して口走った。

 

『一番を……一番を頼む』

 

 

 

 和泉の意識はスーツからキュゥゥン、という音が聞こえた事で現実へと戻された。

 氷川の一撃でスーツの耐久限界を迎え、壊されてしまったのだ。

 しかし和泉は表情を変えずに振り返り、氷川を見た。

 ――彼は、胸から下が切り離されて倒れていた。

 

(……何だ、今のは……? 俺が以前にこいつと戦ッた時の記憶……か?)

 

 和泉は脳裏に過った映像を疑問に思うも、今は戦闘の最中だ。呆けている場合ではない。

 気を引き締め直し、冷たく氷川を見下ろす。

 

「終わりだな」

「ハアッ……ハアッ……くそ……ここまでか……」

 

 氷川は恨めし気に血を吐きながら呟くが、こうなればもうどうしようもない。

 何人かの吸血鬼は逃げたが、これではもう組織の立て直しは出来ないだろう。

 ……いや、立て直しどころではない。今日で全滅だ。

 逃げたはずの吸血鬼の断末魔が曲がり角の向こうから響き、そこからほむらが歩み出てきた。

 

「暁美か。お前が来たッて事は向こうも終わッたんだな」

「ええ。クラブにいた吸血鬼は全て始末したわ」

 

 和泉の問いにほむらが淡々と答える。

 その会話を聞きながら氷川は笑った。

 それは余裕とか、そんな笑みではない。

 諦念の笑み……分かりやすく言えば『笑うしかない』という心境だった。

 ほむらはそんな彼を意にも介さず、自らの首元に触れる。

 

「そろそろ、ガンツからの呼び出しが来るわね」

「ああ。いいタイミングだ」

 

 ガンツに呼ばれる直前、それを知らせるようにゾクゾクとした独特な悪寒が首元を中心に感じられる。

 ガンツメンバーが部屋に転送されて消えて行き、それを見ながら氷川はほむらへと話しかけた。

 

「なァ……最後にいいか?」

「何?」

「俺の胸ポケットに……煙草とライターがある……。

最後に……一服、させてくれねえか……」

「…………」

 

 どうせ放っておいても死ぬ男だ。

 両手もないし、最早何も出来まい。

 ほむらは一応警戒しつつも胸ポケットから煙草を出し、氷川の口にくわえさせて火を付けてやった。

 

「ありがとうよ……」

 

 人生最後の一服を味わう氷川にほむらは何も言わず、そのまま転送されていった。

 そうしてその場には誰もいなくなり、氷川の吸う煙草の煙だけが漂う。

 やがて彼は煙草をしっかりと味わい――そして、目を閉じて二度と動かなくなった。

 

 

 吸血鬼は殲滅した。

 だが戦いは終わらず、今日も夜が始まる。

 ほむら、玄野、加藤、桜丘……東郷、ライス、ホイホイ、和泉の馴染みのメンバーに加えて前回からの新規枠である西。

 以上七人と二匹がガンツの部屋に集まり、沈黙が場を支配した。

 毎度の事だがキュゥべえは誰も数に含まない。

 玄野は実の弟の死を目の当たりにした事で落ち込んでおり、加藤と桜丘はそんな彼を何とか慰めたいが何を言えばいいか分からない。

 そんな中でほむらが、ガンツの中から武器を引っ張り出した。

 

「前回の100点達成の武器があるわ。皆、今のうちに持っておいて」

 

 前回は大勢が100点を取り、何人かは武器を選択した。

 和泉と東郷、桜丘がZガンを手にし、それからほむらはライス用のZガンを取ると、玄野の前に置く。

 

「これ、貴方が使って。ライスはZガンなんて使えないから、貴方が持っている方が役に立つわ」

「あッ、おい暁美! それなら俺にくれよ! 絶対玄野より俺が持ッた方が役に立つッて!」

 

 西が何か言っているが、彼は味方ごと潰しそうなので出来れば渡したくない。

 それを抜きにしても玄野の方が実力は上だ。

 なのでほむらは今後もライス用の武器は全て玄野に渡すつもりでいた。

 

「そういえば……暁美の武器はどうなんだ? 前回2回も100点武器取ッてたろ」

 

 加藤に言われ、ほむらは思い出したようにガンツの中を漁った。

 するとそこには、今まで無かった新しい武器が見えたので手に取る。

 一つはXガンとよく似たデザインの武器だが、銃身がすこし長めだ。

 もう一つは大きな筒状の銃であり、バズーカ砲のように見える。

 

「私のは……何かしらね、これ。マシンガンと……バズーカ?」

 

 見た感じではなかなか強力そうな武器だ。

 一応二回クリアで得たパソコンがあるので使い方を覚える事は出来なくないが、流石に今からでは時間が足りない。

 こういう所は本当にガンツは配慮がないというか、いい加減だ。

 とりあえず持って行って向こうで試せばいいだろう。

 そう考え、ほむらはコート裏のホルスターにマシンガンを仕舞い込んだ。

 それから引き出しを開けると、そこからベルトを取り出して手際よくバズーカを固定し、肩からかける。

 今やほむらは、ちょっとした歩く武器庫だ。

 足のホルスターにはXガンとYガン。コートで隠れているが腰付近にXショットガンを括りつけて固定しており、反対側にはガンツソードを差している。

 その上で右手にZガンを装備し、左手には今回入手したマシンガン。

 更に肩からはベルトで繋いだバズーカをぶら下げている。

 実は両腕の袖にもXガンを隠し持っているのでまさに武装少女といった状態だ。

 こう武器が多くなると、魔法少女時代のあの四次元シールドが恋しくなってしまう。

 とりあえず武器置き場として今回はガンツバイクも持っていくとしよう。

 

「あ……誰か来たぞ」

「新規の参加者かしら」

 

 加藤の声に皆が反応し、桜丘も興味深そうに顔をあげた。

 ガンツからレーザーが照射され、見覚えのない誰かが再生されていく。

 下は黒いスラックスで、上は黒いビジネススーツ。

 黒い長髪と唇の厚いエキゾチックな顔立ち……。

 そこまで見てほむらは、再生が終わる前にその新人の首を斬り飛ばした。

 

「あッ! こいつ、さっきの吸血鬼女じゃねえか!」

 

 西の言う通り、危うくこの部屋に現れそうになっていたのは先程西が殺したばかりの女吸血鬼であった。

 流石にこんなのは味方に必要ない。ほむらの判断は非情だが正しいと言えるだろう。

 西は気持ち悪そうに女の顔を蹴り、部屋の隅に転がす。

 

「危ないわね……全く、ガンツももう少し連れて来る人間を選んで欲しいわ」

「おい……また来たぞ」

 

 二度ある事は……というやつだろうか。

 またしてもガンツが新人を連れて来るが、何と再び黒スーツだ。

 ほむらはすぐにガンツソードを構えるが、慌てたように玄野が叫んだ。

 

「待ってくれ暁美! そいつ……もしかしてッ!」

 

 すぐにでも斬り殺そうと思ったのだが、玄野は再生される人物に気が付いたのか待ったをかけた。

 確証があるわけではない。

 まだ顔も出ていない。

 だがそれは、兄弟だからこその勘なのだろうか……玄野には、彼が誰か分かったのだ。

 そしてその予想は正しく、現れたのは端正な顔立ちの美青年であった。

 

「アキ、ラ……」

「……兄、貴?」

 

 

 こうして新たな参加者を加え、今日も長い夜が幕を開ける。




【新規武器(オリジナル)】
・Xマシンガン
100回クリア3回目で手に入る捏造武器。
実際は原作では3回目の武器は不明となっている。
Xガンをフルオートで連射出来るようにした武器で、少し大きくて使いにくい。
Xガンと違って着弾から爆発までのタイムラグがほとんどないが、その分Xガンのように内部に浸透してから破壊する効果がなくなり、表面を破壊するので一発の威力はXガンに大きく劣る。
見えない弾丸が体の内部に入り込んでから爆発するのがXガンで、内部に入り込まずに着弾と同時に爆発するのがXマシンガン。
これを使う位ならZガンを持って行った方がマシ。
大阪メンバーが持って来なかったのは、単純に使えないからという事で。

ノブヤン「連射出来るのはまァいいとして……威力低いわマルチロックオン出来んわ、でかくて持ち歩きにくいわ……いらんわ、こんなん」

・バズーカ
100回クリア4回目で手に入る捏造武器。
実際は原作では4回目の武器は不明となっている。
撃つ前に若干のチャージがあり、敵を抹消する光が発射される。
ハードスーツの腕ビームだけを携帯出来るようにしたものと思っていい。
やはりほむらにはマシンガンとバズーカを持たせないと(使命感)
威力に関しては一見強そうだが、ぬらりひょん第8形態には全く通用しなかったので案外見た目ほど強くないのかもしれない。
大阪の4回クリアした奴が持ってなかったのは、使えない事はないけど発射までにラグがある上にでかいからという事にしておく。

ノブヤン「威力は悪くないが……こんなん持ち歩いてたら他の武器を持てんやろ。
片手で使える上に発射までのラグも短くて威力も高くて攻撃範囲も広いZガンがぐう有能すぎてなあ……」

【武装少女暁美☆ほむら】
ガンツスーツを服の下に着た上で装備出来るだけ装備したほむら。
その上で更にガンツバイクに乗る。
ほむらは大量の銃火器を持ち歩く姿がよく似合う。

【吸血鬼全滅】
原作でも『こいつら結局何だったの?』という感じでフェードアウトした吸血鬼を折角なので全滅させて、しっかりケリをつけました。
ついでに玄野&和泉生存で大阪ミッションに参加します。
それと何の為にいたかも分からないアキラを参戦させました。
アキラがあっさり生首になった時は『あ、こいつこの後ガンツ部屋に来るな』と思ったものです。
来ませんでしたけど……。
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