とあるオタク女の受難(戦姫絶唱シンフォギア編)。 作:SUN'S
あたし達の戦っていた「パヴァリア光明結社」は壊滅したとオッサンから伝えられた時、どんなバケモンに潰されたのかを想像していた。
手元の資料を流すように読んでいると見慣れた顔写真が挟まっていた。あの「パヴァリア光明結社」をブッ潰した張本人はアイツの写真だった。
考えてみれば不思議じゃねぇな。
オッサン並みの身体能力とあたし達の作った「RN式回天特機装束"ガ=ジャルグ"」を身に付けてればアルカ・ノイズ相手でも勝てんだよな。
なんて考えながら学生寮に帰ってきた訳だが、あたしの寮室ではガキ相手に肉取り合戦を繰り広げるアホ共。エルフナインやキャロル、プレラーティに肉と野菜を均等に入れたお椀を手渡しているアイツの姿だった。
「あーしの肉うぅ!?」
「私の豚肉だ、貴様は春雨でも食べていろ」
「おぉ、感謝するワケダ」
後頭部を掻くような仕草をやめ、服を着替えるために自室へと向かう。
そう言えば、マリアとクソ眼鏡が手を繋いでるところを見たな。まあ、キャロルの引き起こした事件での吊り橋効果的なモノだと思うけどな。
「クリス、おかえり」
「ん?ああ、ただいま」
普通の家庭では何気無い言葉だろうけど。
カ・ディンギルの時にアイツの住んでいたアパートは潰れていたし、ちょっとの間だけ鬱ぎ込んでいたのも事実だから言い訳もしねぇ…。
その、なんだ、兎に角、大切な言葉なんだよ。
「あーしだけ春雨の鍋なんだけど」
「ふっ、貴様の脳では私の箸捌きには勝てまい」
カカカカカッと補助器の付いた箸を持ちながらフンスと自慢するアホは無視する。
ありゃあ、ダメだな。
マジで平穏な日常に染まってやがる。
「あ、あの、喧嘩しないで…」
「エルフナインが怖がってるだろ、プレラーティもバカ共を止めろ」
「それについては無理なワケダ」
リビングで鍋を囲んでいる奴らの中へと入り、すでに装われている白米と鍋の具材に胡麻ドレッシングを掛けようとしたら手を掴まれた。
「雪音クリス、そこはポン酢の筈でしょ?」
「いや、知らねぇよ。個人の趣味嗜好だろうが」
「醤油も有りなワケダ」
「私も胡麻ドレッシングを入れているぞ?」
「くっ、ダメなワケダ」
「私の口調を真似する必要は無いワケダ」
アホみたいな会話を聞きながらお椀の中へ胡麻ドレッシングを投下する。大体、お前らは人の指図を受けるとは思えねぇんだよ。
味付けは自己流で良いんだよ。
好きなものは好きな味で食べる。嫌いなものは好きな味で誤魔化して食べる。
そうすりゃあ、なんとか口の中で噛み砕かれる嫌いなものの味を誤魔化せるだろ?なんて言おうと思ったが、アイツの前で言えば嫌いなものを克服するまで忍ばせてくるからな。