とあるオタク女の受難(戦姫絶唱シンフォギア編)。 作:SUN'S
昼頃、あたしは甘ったるい匂いで充満している喫茶店へと来ていた。…理由はバカと小日向に呼び出しを受けたからだ。
変な事や騒動を起こした覚えはないんだが、並んで座っている片割れのバカは問題事に首を突っ込まないと気が収まらないのか。
「それで?あたしを呼んだ理由はなんだよ」
「クリスちゃん、富士山の樹海から怪物の唸り声が聞こえてるのは知ってるよね?」
「それってあれか?小日向がニュースで喋ってたやつか?」
バカの隣に座っている小日向へと視線を変えると「クリス、見てくれたんだ」と感激したような表情を浮かべていた。
いや、ニュースぐらい誰でも見るだろ?
そんなことを考えているとバカの「樹海探索の護衛役をお願いします!」とアイスコーヒーを掴んでいる手とは逆の手を掴まれた。
お前、本当に暑苦しい奴だな。等と思いながら見ていると入店してきた子供が「ご飯の女王様だっ!」とバカを指差して騒いでいた。そう言えば、コイツってテレビの大食い番組で優勝してたな。
あんだけ食ってるのに脂肪とか増えねぇのか?
「クリスちゃん、どうかな?」
「…まあ、そんくらいなら…」
「響、やったね!」
「いやぁ~っ、断られると思ってたよ!」
富士山の樹海に行くことはオヤジとカーサンにも伝えとかねぇと…。あの人達、過保護の領域を越えてるような気がすんだよな。
◆
携帯端末を調整しながら待っていると登山家みたいな格好のバカと小日向、カメラマン達がゾロゾロと富士山の樹海前に集まっていた。
しかし、監督らしき男の服装はお遊び感覚の私服だった。
男の目線は小日向へと向けられており、その目は薄汚れた欲望に染まっているような感じだった。
バカと話している小日向の肩を触ろうとした瞬間、あたしの持っていた拳銃とバカの右拳が男の顔面を撃ち抜く前に停止させた。
拳銃をホルスターに納めると富士山の樹海地図を眺めている小日向を呼び寄せる
「小日向、バカを一人にさせんなよ~っ」
「あっ、響、ごめんね!?」
「そのくらいへーき、へっちゃらだよ!」
小日向とバカの前を歩いていき、予め下見していたコースと場所から外れないように唸り声や怪物の影が目撃された場所へと向かっていると…。
あの男は一人だけ「こっちに進もう!」と叫んでいた。渋々と言いたそうなカメラマン達と申し訳なさそうにペコペコと頭を下げている監督補佐に同情してしまった。
なんと言えば良いのか、動物園で嗅いだことのあるような獣の臭いが漂ってきた。
数多く存在している野生動物は縄張り意識が強いため、同族のみに理解することが出来る。独特のサインを残していることが多いのだ。
傾いている大木を見る。すると、モノを叩き付けたような傷痕が残っていた。
クマより大きなモノが捕獲した動物は縄張りを主張するための道具として利用されているのか。