とあるオタク女の受難(戦姫絶唱シンフォギア編)。 作:SUN'S
/月`日
鍛え直すために弦十郎さんとスパーリングを行っているのだが、現役の時よりパワーもスピードも衰えている。何度も何度も弦十郎さんへと拳を振るおうと当たらない。
こんなのは想定範囲内だろう。
今はスパーリングに集中しろ、理想の中の自分と重なるようにイメージしろ、理想の中の自分と重なるようにイメージしろ。
ダメだ、遅いッ。
さっきのジャブは理想の中の自分だと掴めた。
もっとだ、もっと意識と身体を合わせろ。
弦十郎さんの左フックを掻い潜り、リングへと倒そうとしたが震脚の余波で弾き飛ばされる。
あと少し、ほんの少しで理想の中の自分とシンクロすることが出来る。
弦十郎さんの弧を描くような蹴りが顔面に直撃しようとした寸前、理想の中の自分と完璧にハマった。
来た、来たぞ、これだ、この感覚だッ!!
これこそ完璧な自分だ。馬乗りの状態で弦十郎さんを抱き締める。戻った、これが現役時代の感覚だ。歓喜のあまり、弦十郎さんに熱烈なチューをしてしまった。
まあ、感謝の気持ちだな。
/月∀日
早朝、肌寒い風を頬で感じながらジョギングしていると立花さんと小日向さんに遭遇した。二人は並んで走っており、完璧に呼吸も揃っている。
あの二人は出会った頃から仲良しだな。
我が家へと帰宅するとクリスとキャロルが朝食のオカズを摘まみ食いしていたので叱っておいた。
詩緒ちゃんが真似したらダメなことは怒るようにしている。まあ、悪いことをしたら叱るのは当たり前だけどね。
そんなことを考えていると弦十郎さんが詩緒ちゃんを抱っこしながらリビングへと入ってきた。弦十郎さんの腕の中は暖かいのか、張り付くように眠っていた。
ほら、寝ちゃダメでしょう?
顔を洗いに行きましょうね。弦十郎さんから詩緒ちゃんを代わるように抱き上げると洗面台に向かう。
寝起きに熱いモノは危ないのでお湯を染み込ませたタオルを絞り、詩緒ちゃんの顔を優しく拭うとお湯の暖かさで目を覚ましてしまった。
エルフナインは何時も通りの寝坊である。
/月ヵ日
弦十郎さんと一緒に詩緒ちゃんを翼さん達に預けに来ている。詩緒ちゃんは不安そうな表情を浮かべているが、翼さんやエルフナイン達も一緒だから大丈夫だと伝えると頷いてくれた。
やっぱり、他の子より成長が早いと思っていても子供だと理解してしまう。サンジェルマンがメソポタミア展覧会を開いていた発案者と所有者から買い取ってきたメスラムの鍵は輸送機に積んでいると教えてくれた。
アレを忘れていたら大変だからな。
弦十郎さんは「シルバースキン」のような防寒服を着ており、私は雪原仕様の迷彩服を着ている。
コレも「ガ=ジャルグ」という服だと教えられた。私は二つの「ガ=ジャルグ」に加えて「ガ=ボウ」という革手袋と軍用革長靴を持っているのだ。