とあるオタク女の受難(戦姫絶唱シンフォギア編)。 作:SUN'S
私には二つ年上の従姉妹が居る。
良く言えば天真爛漫な女の子、悪く言えば猪突猛進なお節介さん、この前も私とクラスメイトの喧嘩を仲裁するために九尾さんを連れながら割り込んできた。でも、彼女のおかげで陰湿なイジメは無くなった。
クラスメイトの半数以上が男の子だと思っていた事には泣きそうになったけど。
髪の毛だけじゃ、分からないのかな?
なんて考えていると跳ねるようにステップを刻みながら詩緒さんが手招きしてくる。そんな見え見えの誘い乗るのは愚か者のすることです。
「むぅ…っ、来ないなら近付けば良いよね!!」
詩緒さんがステップを止め、急速旋回としか言い表せない角度から駆け寄ってきた。人間、身体を斜めに倒した体勢でも走れるのか…。
なんて思いながら右切上を放って体勢を崩そうとしたが、あっさりと身体を持ち上げられていた。母様の先生は詩緒さんより強いんですよね?本当に人間なんですか?
「スズ君、これは何かな?」
「その、詩緒さんに刀を当てるのは至難の技なんです。だから組み技で対抗させて貰いますッ」
詩緒さんの首を右脇に挟み込んで右足を持ち上げるように倒す。意識を落とすまで時間は掛かるけど、攻撃することは出来ないはずです。
「"新不殺"鬼哭き十指!!」
「えっ、それって、ひゃっ!?ふみぇあぁああぁぁ!?ちょ、やめ、やめぇっ、あはははははははっ!!ほんとにぃひいぃぃ!?」
「さあ、固め技を解かないと擽り地獄からは逃げること出来ないぞ!!」
「んみゃああぁああぁあぁ!!」
私は道場の床で無様にもピクピクと痙攣しています。うぅっ、こんなところを母様に見付かったら「防人五ヶ条」を言わされてしまうぅ…!!
「スズ君、私の勝ちで良いね!」
「ふぇあい」
詩緒さんが腰に巻き付けていた薄い空色のジャージの上着を羽織りながらフンスと胸を張って聞いてくる。あんな即興の技に負けるなんて普通は思わないよぉ…。
しかし、負けた事に対する言い訳はしない。
そんなこと考えている暇が在るならば剣を鍛えるために研鑽を積まなければならんのです!!
「スズ君、シャワー行くよ~っ」
「えっ、あ、はい!」
「いや、防具は仕舞おうね!?」
あっ、そうでしたね。危うく忘れてしまうところでしたよ。まあ、しかし、詩緒さんを倒す日は来るんでしょうか?来ると良いなぁ…。なんて考えながら詩緒さんの後を追い掛ける。
今は遠いですけど。
半歩先、一歩先、貴女より強くなってみせます。そうすれば一文字流や倭刀術の使い手として母様に認めて貰えます!!