とあるオタク女の受難(戦姫絶唱シンフォギア編)。 作:SUN'S
∀月←日
夏休み中盤、スズ君との他流試合を行うことになった。いつもの修行の一環としてじゃなくて、本気で戦うことをママとパパから言われたけど。
まあ、たぶん、大丈夫だと思う…。
そんなことを考えながら目の前に立つスズ君を見詰める。私よりも小さな身体で数多くの研鑽を積んできた。
私の知る人界最高の剣士だよ。
スズ君の正眼の構えで迎え撃つ体勢を築いており、崩すには正面突破しか無いな。
イマイチ、構えの必要性を考えてしまう。なにより構えると技を繰り出す瞬間が少しだけ遅れるんだよね。
故に、私は「構えない」構えを使う。
そうだね、敢えて名前を付けるなら豈眼流"初期型完成形"果断かな?
ゆったりとした足並みでスズ君に歩み寄り、踏み込めば木刀の射程距離に突入する一歩手前にて立ち止まる。うん、唐竹(面)と思わせて逆風(切り上げ)を狙ってるのかな?
木刀の切っ先に左手を添えるように、右手でスズ君の左手首を掴む。いや、まあ、瞬きするのは良いけど。相手から眼を離すのはダメだよ?等とアドバイスを言いながら投げようとした瞬間、スズ君が身体を押し付けるように近付いてきた。
そっかぁ~っ、密着状態で短刀を使うつもりだったんだね。でも、ごめんね?私ってば勘が良いからさ。
直ぐに見破っちゃったぜ。
∀月≡日
昨日の他流試合は引き分けとして終わることにした。パパとママは「あの密着状態なら発勁を撃てただろ?」と言われたけど。私は考えて行動してるから安心して良いよぉ~っ。
玄関の扉を開けるとスズ君が立っていた。なぜか、木刀を腰に携えて…。
いつから待ってたの?と尋ねると五分前と教えてくれた。いや、まあ、うん、普通に呼び鈴を鳴らせば良いんじゃないかな?
木刀を玄関の中に立て掛け、近くの公園で話すことにしたんだけど。スズ君は「私は強くないですか?」とか「いつも擽りや押さえ込み」等と言ってきた。
ふざけたのは悪かったけどさ…。
昨日の他流試合、すっごく嫌そうな顔してたよね?止めるならアレしか無い訳じゃん?等と言いながらスズ君を落ち着かせ、次の試合ではボコると伝えたらガタガタと震え始めた。
ほらぁ~っ、この前のオバケ騒動の時からビビってるじゃない。
∀月∪日
エル姉の作った気力計測スカウターを右目と耳に被せるように装着する。試しにエル姉を測ると「3」とレンズに表示された。
おぉっ、最新技術の集大成的なヤツだね。
クリ姉の前に立ち塞がり、スカウターのスイッチを押す。すると「450」と表示された。う、うん、桁が二つも上がると凄い威圧感を覚えるね。ついでにキャロ姉も測っておこう。……うん、眼の錯覚じゃないね。キャロ姉は「580」だった……。
怒らせるのは控えよう。うん、そうしよう。
よし、パパとママの気力を測ろう。リビングでテレビを視ているパパをスカウター越しに見ながらスイッチを押し込む。
うん、まあ、なんて言えば良いのかな?こういうのって実在するんだね。パパは「当代無双」としか表示されなかった。
ママは大丈夫だよね?数字で出てくるよね?出てきてよね?キッチンのママをスカウター越しに見ながらスイッチを押し込む。
はい、出ました!
ママは「測定不能」だってさっ!
可笑しくない!?スカウター、故障してないよね!?いや、まあ、さっき貰ったばかりだから壊れてないと思うんだけど…。