とあるオタク女の受難(戦姫絶唱シンフォギア編)。 作:SUN'S
早朝、詩緒と共にジョギングから帰ると味噌の煮える匂いが漂ってきた。グウゥゥゥッという動物の唸り声のような音が腹から鳴り響き、詩緒に笑われてしまった。いや、しかしだな、叶の作る食事は美味いんだ。
「パパってば焦りすぎだよぉ~っ」
「美味い物の事を考えると鳴らないか?」
「えっ、普通に鳴るけど?」
詩緒の言葉に「やっぱり、鳴るよな?」等と言葉を返しながら洗面台に並んで、少しだけ汚れた手を洗っているとパジャマ姿のエルフナインがキャロルを引き摺ってきた。
二人とも酒臭かった。
…詩緒は夏休み中だが、俺もお前達も仕事は入っているだろ?なんて思いながら見ていると「オトーサン、見すぎですよ」と言われた。
うむっ、そこまで見ていただろうか?
リビングと廊下を隔てる扉を押し開け、ソファを見ると欠伸を噛み殺しながら小日向君の映るテレビを眺めるクリスが視界の端に映り込んだ。
ふむ、今日は昼頃から雨なのか。念のために二つほど傘を持っていくとしよう。しかし、慎次の子煩悩には驚かせることばかりだな。
アイツは甘やかそうとして引かれているのが分からないのか?等と考えると家族が揃ったことを確認したのか、クリスが詩緒の正面の席に座ろうとするのをキャロルが阻止していた。
我が家の朝の行事と化している席争奪戦は詩緒の座る前の席を奪い合う行為である。俺と叶は詩緒を挟むように座っているので必然的に争奪戦から除外される。
今回の勝者は二人の連携を打破したクリスで決まったのだが、三人は料理の前で暴れたことを叶に怒られていた。
やはり、我が家の家族序列第1位は叶だな。
「いただきます」
両の手のひらを押し合わせ、食材や作ってくれた叶に感謝しながら言葉を口にする。
「「「「「いただきます」」」」」
みんな、俺のあとに続くように言葉を呟いて個々の皿へと箸を伸ばしていたのだが、気が付いたら俺の皿の中のニンジンが増えていた。
不思議に思いながら白米を掻き込んでいると詩緒がバレないように自分の皿から俺の皿へとニンジンを移していた。ニンジンが嫌いなのか?等と考えていると一瞬にしてニンジンが詩緒の皿へと戻っていた……。
「ふふっ、好き嫌いはダメよ?」
詩緒の皿には小さなニンジンの山が築かれていた。いや、それは、流石に大人気ないぞ?と注意しようかと思ったのだが、好き嫌いを無くすのは良いことなので注意するのは止めよう。
「みんな、時間は大丈夫なの?」
叶の疑問を尋ねるような言葉を聞いて壁に掛けられた時計を見上げると朝礼まで二時間を切っていた。
「すまん、俺は先に行くぞ!!」
「あっ、おい!あたしも乗せてけ!!」
「エルフナイン、オレも先に行くぞ!!」
「うえぇっ!?三人とも待ってよおぉぉ!!」
やはり、我が家の朝は騒がしいな。
この作品は完結しました。
活動報告に技などの元ネタを記載しておきます。