ある少女の物語〜マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝より〜 作:転寝
時系列は1章完結後ですが、特に気にしなくても大丈夫です。
よろしくお願いします。
おちてゆく
…気が付くと、暗闇の中にいた。
上下左右、全てが闇一色の場所。その中で自分だけが闇に呑まれずに特異点としてそこに存在している。
なぜ、自分はこんな所にいるのだろう?思い出そうとするが、頭は靄がかかったようにぼんやりとしていて不明瞭だ。
暗闇の中で無闇に動くのは危険だと思い、仕方なくぼんやりとしていると、
「あ……っ」
ふっ、と身体が下に落ちていく感覚を覚えた。先程まであったはずの地面の感覚が急に消失したのだ。
「きゃああああっ!」
落ちる。どこまでも、堕ちていく。訳が分からずに、ただ落下に身を任せることしか出来ない。
落ちても落ちても暗闇ばかりが広がっている。果てが無いんじゃないかと錯覚する程に暗闇ばかりが続き、ただその中を落ちてゆくだけ。まるで不思議の国のアリスだ。といっても、自分は兎を追いかけてなどいないし辿り着くのも不思議の国ではなくあの世なのだろうが。
(これは…夢…?それとも…現実?)
夢にしては落ちる感覚がリアル過ぎる。かといって現実かと言われたら必ずしもそうとは言いきれない。自分が暗闇の中で我に返る前の状況が分かれば夢か現か判断出来るのだが…頭の中は相変わらず靄がかっている。
自由落下をしながら、いつ地面が現れて自分の身体を砕くのか分からない恐怖に怯える。そしてそれは次第に諦念へと変わってゆく。
(ああ…死ぬんだな)
不思議だ。
以前までは、死を望んでいたのに。
今は、死ぬのが怖い…。
(もうちょっと、生きたかったな…)
何故死が怖いのだろう?
自分には何も無かった筈なのに…。
そこまで考えた時、頭の中で桃色の髪の少女が微笑んだ。
(…ああ。そうだった)
自分はあの少女と出会って変わった。彼女が自分を呪縛から解き放ってくれたのだ。
それから友達も出来て、自分はやっと歩き出すことができた筈だった。その矢先にこれだ。つくづく運がないと思い、こんな状況だというのに苦笑する。
…次第に意識が遠のいてきた。
眠さに似た感覚を覚え、目を閉じる。
自分はここで終わるのか。
悲しいけど涙は出ない。
そして…周りの闇と同化するように、意識は完全に途絶えた。
*
暇だ。やることがない。
ああいや、暇なのはいい事なんだが…ここ最近色々とあったもんで暇っていう感覚を忘れていた。だけどそれが唐突に訪れると戸惑うのが人間だ。…何言ってんだろうな俺。疲れてるのか?
家でごろごろしても良かったんだが、なんとはなしに外に出る事にした。といってもどこに行くあてもないんだけどね!
あ、俺の名前は──。工匠学舎の高校三年だ。
で、なんで俺が暇してるのかというと…本来なら今日は後輩である環いろはと出かける予定だったんだが、
ともかく、突然計画が潰れて、なら今日はのんびりと過ごすかなんて思っていたんだが、いざのんびりとしてみると予想以上に暇だった。だから外をぶらついている訳だが。
スマホで時間を確認すると昼の12時。ちょうどいい感じに腹も減ってきた。たまには外食するかな…。
そんな事を思いながら何気なく空を見上げてみる。いつもと変わらない青空だ…そのはずだった。
一瞬、空がぐにゃりと歪んだ気がした。目の錯覚だろうか?それとも疲れ目か?もしかして老眼?…いやいや流石にそれはないか。
目を擦ってからもう一度見上げてみると、
「………は?」
思わず声が出た。そりゃあ空から女の子が降ってきたら誰だってびっくりするに決まってる。…じゃなくて!
俺は反射的に走っていた。女の子を受け止める為だ。ああクソ、俺ってなんでこんな事に逢いやすいんだ!心中で毒づきながら全速力で女の子が落ちてくるであろう場所へと走る。
…でもこれ、普通に走っていたら間に合わないじゃねえか畜生!こうなったら…!勢いを活かしてスライディングし、素早く落下地点の真下に移動。無事、女の子を受け止める事に成功した。確かな重みが腕に掛かり、安堵する。
「おい、大丈夫か?」
肩を叩いてみるも反応無し。というかこの子、見覚えあるぞ。黒髪セミロングの女の子…ああそうだ思い出した、以前別の世界線の神浜に迷い込んだ時に出会った子だ。確か名前は琴音咲ちゃんだったか。
ここは俺が住む神浜だ。
…仕方ない、ここからは遠いけどみかづき荘に行って
このままにしておく訳にもいかなかったので、咲ちゃんを背負い、一度自分の家に戻る事にした。傍目から見たら怪しいヤツなんだろうな…でも仕方ないか。状況が状況だし。
というか、咲ちゃん軽いな。ちゃんと食べてるのか?…そういや俺も昼飯食ってないな。事情聞いたらなんか食べるか。
そんな事をぼんやりと考えつつ、俺は歩き始めた。これからどんな事が起こるのかも分からぬまま…。
(後書きコーナーはパロディです。ご了承ください)
「あ、わわ…もう始まってる?え、ええと…みなさんこんにちは!『ある少女の物語』主人公の琴音咲です!……こんな感じでいいのかな?」
「大丈夫だと思うぞ」
「よ、よかった…あ!今回はコラボということでコラボ先の主人公である先輩と共に後書きのコーナーをやっていこうと思います」
「どうも、──だ。以後よろしく」
「といっても、話すネタがないんですよね…このコーナーも『先輩と魔法少女』のパロディですし。普段はやってないことですから…あ、ちなみに怒られたらボツにするらしいです」
「大丈夫だろ…多分。今度からこっちのキュウべぇでも呼ぼうか?」
「助かります…作者自身こういった事を書くのは向いてないって言ってますし」
「じゃあ何故こんな事を始めたんだ?」
「やりたかったらしいですよ。元々先輩と魔法少女みたいな話を書こうとしてたらしいですし。構想段階でボツにしたらしいですが…」
「そ、そうなんだ…」
「………」
「…………」
(どうしよう…話すネタが…)
(やりにくい…やりにくいぞ…)
「あ、そうだ。コラボしてくださりありがとうございます!」
「ああ。こちらこそ」
「ちなみにコラボ物は短期連載にするらしいです。時系列は…ある少女の物語1章完結後ですね。だからわたしの性格が若干明るくなってます」
「なるほどな。そこら辺も含めてどう転がるか楽しみだな」
「そうですね…それでは今日はこの辺で終わりにします。読了ありがとうございました!」
「こちらの作品もよろしく。ではまた」
登場人物
琴音咲…「ある少女の物語」主人公。気が付いたら闇一色の空間で無限に墜落していた。新手の拷問かなにかかな?
後書きのコーナーでは話すネタがなくてひたすら困惑。慣れないことはするものじゃないね。
先輩(コラボ)…「先輩と魔法少女」主人公。前回のコラボ(先輩と出張 琴音咲の場合 を参照)では先輩が咲のいる世界線の神浜に飛んだが、今度は咲が先輩の神浜に飛んできた。とりあえず保護して様子を見る事に。ちなみに初期の先輩みたいなキャラクターになりそう。理由は私が書くと誰でもシリアス目になってしまうから。