ある少女の物語〜マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝より〜   作:転寝

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一気に纏めようと思ったけどキリが良かったので投稿する事にしました。
少し短いですがよろしくお願いします。


魔法少女の真実Ⅰ〜突きつけられた真実〜

 願いを力に変えて希望を運び、軈て絶望を振りまく哀れな少女達―それが、魔法少女という存在である。

 

 

 琴音咲が神浜市を訪れる少し前の事。

 「マギウスの翼」という組織が、魔法少女の宿命からの解放を求めて活動していた。

 彼女達の行いを此処で詳しく書く事はしない。それはこの物語とはまた違う別の物語である。ただ、彼女らの行いは、ある意味では正しく、ある意味では間違っていた事は特筆すべき事柄である。

 魔法少女の宿命からの解放―それは正しい事だ。ならば何が間違っていたのか。

 彼女らは魔法少女だけに留まらず、一般人までも犠牲にして宿命から解放されようとしていたのだ。

 言ってしまえば、利己的な方法を持ってして救われんとしたのである。結果的にそれを間違っていると判断した環いろはらと敵対する事になり、組織は崩壊した。大小の差はあれど神浜市全体が被害を受ける事になった神浜大災害は、その戦いの最終局面に起こった事件だ。

 

 では、そこまでして成し遂げたかった「魔法少女の解放」とはどういったものなのか。

 それは、「魔法少女の魔女化」である。

 魔法少女がキュゥべえと契約した時に生まれるソウルジェム。これは魔力の消費やダメージ、心の変調により穢れを溜め込み、次第に濁っていくのだがこの穢れが最大まで溜まり、ソウルジェムが真っ黒になるとどうなるのか。

 多くの魔法少女はその答えを知らない。皆「魔力が使えなくなる」だとか「変身出来なくなる」などと解釈している。キュゥべえならその答えを知っているのだが、その時を迎えないと教えて貰えない事が多い。最も、彼からしてみれば聞かれなかったから教えなかっただけに過ぎないのだろうが。

 ソウルジェムが穢れ切るとどうなるか、その答えは「魔女になる」である。穢れ切ると同時にソウルジェムはグリーフシードに転化し、魔法少女は魔女になる。

 そもそもキュゥべえが少女と契約するのは、増大する宇宙のエントロピーを引き下げるために地球の第二次性徴期の女性(つまり少女)の魂をソウルジェムに加工し、その後少女の感情が希望から絶望に変わる事によりソウルジェムがグリーフシードに変わる(魔法少女が魔女になる)際に発生するエネルギーを回収する為である。

 勿論キュゥべぇは契約時にそんな事を一々説明したりはしないので多くの魔法少女はその事実を知らない。彼女達からしてみれば「キュゥべえに騙された」事になる。

 ちなみにソウルジェムは魔法少女の魔力の源であると同時に体内から抽出された「魂」そのものであり、これを砕かれると魔法少女は絶命する。どんなに健康で無傷であろうと、あっさりと死ぬのである。そしてこの事実も多くの魔法少女は知らない。

 マギウスの翼とその上に立つマギウスはこういった真実を知り、その上でその宿命から解放される為に活動していたのである。

 そしてマギウスの翼が壊滅した今、その責任は環いろは達が背負っている。彼女達は魔法少女の宿命からの解放を平和裏に行う為に団結し、大きな環を形成しようとしていた。

 そんな時、咲が神浜にやって来たのだ。

 

 

 傾きかけた陽の光が地面を赤く染め上げる。まるで血で染まったかのような不気味な色だった。

「それ、本当の事なの…?」

「うん、これが魔法少女の真実だよ…」

 驚愕の表情を浮かべた咲にいろはが言う。重苦しい表情が、嘘では無い事を示していた。

 此処はいろはと咲が度々訪れる小さな公園だ。二人が出会った場所であり、咲が過去の呪縛から解き放たれた場所でもある。公園とは名ばかりで遊具は少ないがその分ベンチが多い。一息つくにはうってつけの場所だった。

 万々歳を出た後、いろはは咲と森岡に魔法少女の真実を話した。重い口調で語られた内容に二人は驚き、それから顔を曇らせた。魔法少女では無い森岡は兎も角、当事者である咲は彼以上に深刻な気持ちだろう。実際咲は俯き、蒼白な顔をしていた。

「じゃあ、わたしは…」

 軈て絶望を振りまく魔女になるのか。戦い続けた、その果てに…。

「琴音君…」

 咲は俯き、小さな溜息と共に呟いた。

「…バカみたいだ」

 自分の願いが。

 あんな下らない願いで、自分は―。

「なんで、わたしはいつもこうなんだろう…」

 自嘲する様に、言葉を紡いで行く。

「魔法少女になんて、ならなければよかった…」

 誰かを救う願いで魔法少女になったのなら、この結末も受け入れられたのかもしれない。魔法少女になった事で救われたものが一つでもあるならば…それで良かったのかもしれない。

 だが…自分の願いは、結果的には何も救わなかった。願いによって救われる筈だった自分自身でさえも救われる事がないと知ってしまった。

 つまり…全てが無駄だったのだ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その事実を突きつけられ、彼女は…。

 

 …咲はゆらりと立ち上がった。

 いろはと出会った時と同じ様に、何処か虚ろな雰囲気を漂わせている。

「咲ちゃん…」

 咲は振り向き、寂しそうに笑った。

 目から涙が一筋零れ落ちる。

 

 

 ―ごめんね、いろはちゃん。

 

 

 咲を中心に凄まじいエネルギーの渦が巻き起こる。

 それは魔法少女の感情が希望から絶望に変わる時のエネルギーそのもので…咲のソウルジェムは、魔女化の真実に耐え切れずに真っ黒になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 琴音咲は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …黒くて冷たい闇の中に、堕ちていった。

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