カラテだいおうの弟子、チャンピオン目指します! 作:左回りの変態
「まさか、サイクリングロードを通れないとは…」
「(当たり前だろう)」
サイクリングロードを徒歩で通ろうとしたところ、入口のゲートで警備員に止められ、叱られた。仕方なくライトはクチバシティを目指すべく歩みを進めていた。クチバシティはヤマブキシティの南にあるため、一度ヤマブキシティを経由しなければならない。これがライトの歩みを遅めていた。旅立って1日でヤマブキシティに戻ってくるなんて恥ずかしいところを道場の仲間やナツメ、両親には絶対に見られたくない。
ライトの計画ではクチバシティより更に南のセキチクシティにサイクリングロードで向かい、そこからクチバシティ、地下通路を使って北のハナダシティに行く計画だったが、変更を、余儀なくされた。
ライトは昨日通ったゲートを今度は逆方向に通りヤマブキシティへと入った。
そこには自分と全く同じ格好の人が立っていた。
「おい、何してんだモノマネ娘」
「おい、何してんだモノマネ娘」
いつものオウム返しだ。
「お前のことが好きだ」
「ごめん、タイプじゃないんだ」
そう言ってくるりと回転すれば、瞬く間に少女の姿へと戻った。ヤマブキシティでは有名人のモノマネ娘。主に悪名だが。しょっちゅう人やポケモンの真似をする事からモノマネ娘と呼ばれるようになった。
「もう一度聞くぞ、俺の姿で何してんだ?」
「昨日旅立ったライトが街にいたら、ホームシックって噂がたって面白いと思ったんだけど、本人が帰ってきてびっくり!もしかして、ホームシック?」
「ちげーよ!お前、なんて恐ろしいこと考えてやがんだ!!」
「人をからかうのって楽しいことだからやめられないの」
ライトはモノマネ娘とは長い付き合いになる。それなりの対処法を熟知しているので、モノマネ娘がからかってきても怒るような事は無い。感情を表に出せば喜ばせる結果になってしまう。1番いいのは無視する事だ。
「じゃ、俺はクチバシティに行くから」
「待って、これ貸してあげる」
そう言って取り出したのは、くろいメガネだった。
「これをかければ、多少はバレないんじゃない」
「お、ありがてぇ、サンキューな」
メガネをかけて誰にもバレずにクチバシティに行けたとしても、モノマネ娘のせいで結局、ホームシックの噂が流れるから変装の意味ないじゃんとライトは思ったが、面倒くさいので考えるのをやめた。
モノマネ娘に別れを告げクチバシティへと歩き始める。自然と早足になりゲートにすぐについた。ゲートを抜けた先は6番道路。目と目が合ったらポケモンバトルの無法地帯だが、ライトとリルの敵ではない。全てのポケモンをワンパンで沈めクチバシティへとたどり着いた。
町に着くと目の前にジムがあった。ライトは親切設計と一瞬思ったが、入口が奥側なので裏に回らなければならない点は不親切だと感じた。
「入口逆だろっ!」とツッコミたいのを我慢し、ジムの中へと入った。
「オー、ミーはチャレンジャーですネ!このジムのなかに、スイッチを2つ、かくしまーした!みつけられたら、ミーのエレクトリックポケモン、みせるよ!」
「あ、どうもライトっていいます。よろしくおねがいします」
いきなり片言の日本語で話しかけてきたのはクチバシティのジムリーダーマチス。でんきタイプのポケモンを使い戦場を生き抜いた兵士だ。
「(このジムの中からスイッチを見つければいいのか?)」
「(待ってリル、俺がやる。これは俺に課せられた試練だ)」
ライトは集中力を高め波導を使う準備を整える。ソナーのように波導を飛ばし、跳ね返った周囲の波導を感じとる。結果、不自然な突起がある場所を二ヶ所見つける。そこに移動すると案の定スイッチがあり、マチスの課題を難なくクリアする。
「なんと、アメイジング!こんなに早くスイッチをみつけるなんて!ユーはすばらしい!」
「さぁ、マチスさん。ポケモンバトルをしましょう」
「ユーはバッジなんこ、もってますか?」
「あ、一個です。あと、ポケモンも1匹です」
「オーケー、ミーはタイマン、まけたことアリマセーン!!ユーもビリビリしびれさせるよ!」
ルールを確認しライトとマチスはお互いに所定の位置につく。ライトが出すのは当然リル。いつも通り【ビルドアップ】も積んである。マチスが出したのはビリリダマだ。でんきタイプのポケモンで見た目がモンスターボールに似ている。
「これより、挑戦者ライト対ジムリーダーマチスのバトルを始めます」
「始めっ!」
エリカ戦と同様に、開始の合図と同時にリルは一気に距離を詰め【はっけい】をビリリダマにくらわせた。回避行動を取る間もなく吹き飛ばされたビリリダマは壁に叩きつけられ目を回していた。
「えっと……ビリリダマ戦闘不能………マチスさんどうします?」
「おい!審判、俺の勝ちだろ!」
「オーノー、ユーはストロング!ほんとうにバッジいっこですか?ミーのかんぱいですネ!オレンジバッジやるヨ!ただ、もういっせんバトルしてほしーネ!ミーはぜんぜんビリビリできてないヨ!」
「えっ、そんなこと、俺のしったこっちゃねーよ」
「(ライト!私もあれではつまらない)」
「(しゃーねーなぁ)」
「あー、わかりました。いいですよ!続きやりましょう」
「センキュー!これがミーのエレクトリックポケモンですヨ!」
マチスが出したポケモンはライチュウ。でんきタイプのねずみポケモンだ。あのピカチュウの進化系である。
「(リルどうだ?【きあいだん】は撃てそうか?)」
「(先程からずっと集中力を高めていた。いつでもいけるぞ)」
ビリリダマを殴った後もずっと【めいそう】をして集中力を高めていたリル。それを聞いたライトは直ぐに仕掛ける。
「フリーバトルだろ!じゃぁ、こっちから行くぜ」
「(リル、【きあいだん】だ!)」
リルの手から放たれる眩い玉は一直線にライチュウに襲いかかった。
「ライチュウ!【エレキボール】」
【エレキボール】と【きあいだん】がぶつかる。凄まじい衝撃かバトルフィールドを駆けるが【エレキボール】では【きあいだん】の威力は殺せずに、収縮し消えてしまう。
「オーノー、ライチュウ!【ひかりのかべ】でス!」
ライチュウは咄嗟にはった【ひかりのかべ】で【きあいだん】の威力を殺しクロスアームブロックで【きあいだん】を受けきった。
「(流石ジムリーダーのポケモンだな。集中力切れてねぇか?)」
「(大丈夫だ)」
「こんどは、ミーからいきますヨ!ライチュウ!【かげぶんしん】からの【エレキボール】です!」
リルを囲むように分身したライチュウは四方八方から【エレキボール】を放つ。リルは紙一重で回避しているが、ライチュウの攻撃の密度はどんどん増していっている。このままでは時間の問題だろう。
「(リル!波導で本体の位置を特定できないか?)」
「(やろうと思えば出来るが、今は難しい)」
「マチス!これはフリーバトルだったよなっ!」
「イエス!このバトルにまけたからといって、バッジやらないなんてこと、ないヨ」
その言葉を聞いたライトはフィールドへと駆ける。リルが出来ないなら俺がやるという思いで波導を使いライチュウの本体の特定に成功する。
「お前が本体だ!」
ライチュウは【かげぶんしん】をしている。分身といっても高速で動いて増えているように見えてるだけだ。だから、殴るのではなく拳を置く。案の定、置いた拳に突っ込んできたライチュウに発勁を当てライチュウの【かげぶんしん】を止める事に成功するが、ライトも後ろへ吹き飛ばされる。転がりながらもライトはリルに指示を飛ばす。
「(リル!【スカイアッパー】!」
不意をつかれたライチュウは防御姿勢を取ることが出来ずモロに受け、体が宙を舞った。そして、地面に落下したライチュウは気絶していた。
「エレガント!すばらしい、ファイトです。ミーはユーともたたかいたいヨ!」
「いや、遠慮しときます。流石に軍人に勝てそうにないので」
「ハハハ、ユーはスペシャル!ミーはまんぞくだヨ!」
その後、きちんとオレンジバッジを貰った2人はクチバジムを後にした。ワンパンで終わるはずだったジムなのに疲れた。主にマチスのせいで精神的な疲れなのだが。ライトはぐいぐいくるタイプが苦手なので気疲れしていた。
「ポケセンで休むか」
「(動き足りないから、草むらに行ってくる)」
「まって、じゃぁ、組手でもしようか」
「(いや、見知らぬ敵との戦いの経験を積みたい)」
「おっけー、ポケセンで待ってるから、あんま遅くならないようにな」
「(ああ、わかった)」
ライトはリルと別れてポケセンへと向かった。明日は、セキチクシティに行くために迂回して向かわなくてはいけないため、体を休めたいと思ったライトは早めに床に着くことにした。
「今日の夜飯は何かなぁ」
ポケセンの料理は意外と美味しいのでライトの楽しみの1つでもあるのだ。
リアルにマチスの喋り方おもろい