カラテだいおうの弟子、チャンピオン目指します!   作:左回りの変態

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グレンじま

翌日、治療を終えたオニドリルにまたがって海を渡り、グレンじまへとたどり着いた。

 

「なぁ、オニドリル。俺と一緒にチャンピオンを目指さねぇか?」

 

ライトはオニドリルをすっかり気に入っていた。リルとの戦いを見ても、その戦闘力の高さは目を見張るものがあり、今後旅をする上での移動手段として空を飛べるというのは非常にありがたい事であるからだ。

 

「(悪くねぇ。だが、可愛いガキ共を待たせてるんでな)」

 

「そうか、残念だがしょうがないか」

 

オニドリルの勧誘に失敗したライトだが、予想は出来ていたので、それ程落ち込みはしなかった。ライトはここまで運んでくれたオニドリルに感謝をし別れを告げた。

 

ここグレンじまにはジムのほかに寂れた屋敷や研究所などがあるが、ライトにとっては興味がない。早速ジムの扉を開く。すると、目の前のディスプレイにクイズが表示されていて、隣に立っていた理科系の男が話しかけてきた。

 

「挑戦者かい?」

 

「はい、ライトっていいます。よろしくお願いします」

 

「これはご丁寧にどうも。では、グレンジムの説明をしましょう。見ての通り、ディスプレイに表示されている問題に正解すれば、目の前の扉が開く仕掛けになっています。しかし、間違えてしまうと、その部屋にいるトレーナーと戦わなくてはいけません。勝つことができれば扉は開きます。負けたら、最初からやり直しです」

 

「途中退出って出来るんですか?」

 

「可能ですが、次に挑戦する時は、また最初からになります。このジムは、トレーナーの知識を試しています。なるべく戦闘を回避して、万全の状態でジムリーダーと戦うということが求められています」

 

その他諸々の細かい説明を聞いたライトは早速ディスプレイの画面に目をやる。そこには説明の通り問題が表示されていた。

 

[第1問、キャタピーが進化するとバタフリーになる]

 

下に[はい]と[いいえ]のボタンがある。キャタピーの最終進化は確かにバタフリーだが、間にトランセルをはさむ三段階の進化ポケモンのはずだ。キャタピーの進化はトランセル。そして、トランセルの進化がバタフリー。つまり、答えは[いいえ]だ。ライトは[いいえ]のボタンを押した。

 

ばか はずれです…

 

「え?」

 

「残念、では私とポケモンバトルをしましょう」

 

「待ってくださいよ!キャタピーの進化はトランセルでしょ!?」

 

「しかし、トランセルの進化はバタフリーだ!」

 

「問題の書き方が悪いと思います!」

 

「問答無用!」

 

抗議も虚しく理科系の男はロコンを繰り出した。毛並みの綺麗な可愛らしい狐ポケモンだ。しかし、見惚れる暇もなくリルがワンパンで仕留める。ライトが問題の内容についての抗議をしている間にリルは【ビルドアップ】を積んでいたのだ。あまりの一瞬の出来事に理科系の男とライトは硬直した。

 

「(次に行くぞ。ライト)」

 

「あ、ああ。そうだな…」

 

問題に間違えても結局バトルに勝てばいい。リルにそう思わされたライトは真面目に解くのがばからしくなった。

 

[第2問、ポケモンリーグ認定バッジは全部で9種類]

[はい]

ばか はずれです…

どかーん(リルのパンチの音)

 

[第3問、ニョロモは3回進化するポケモンである]

[はい]

ばか はずれです…

ぼこーん(リルのパンチの音)

 

[第4問、でんきタイプの技を繰り出したとき、じめんタイプのポケモンにはよく効く]

[はい]

ばか はずれです…

ばきーん(リルのパンチの音)

 

[第5問、同じレベルのポケモンでも、捕まえるたびに強さが違う]

[はい]

あたりです

 

[第6問、わざマシン28とは、しねしねこうせんである]

[はい]

ばか はずれです…

ぼかーん(リルのパンチの音)

 

6問目の戦いが終わって扉を抜けると、そこは今までの部屋とは違ってディスプレイが無く、部屋の真ん中に白い髭のハゲがグラサンをかけて立っていた。

 

「うおおーす!儂は燃える男!グレンじまポケモンジムのカツラ。儂のポケモンは全てを炎で焼いて焦がしまくる強者ばかりなのだー!それにしてもお前、1問しか正解してないのか?よっぽどの馬鹿だな!」

 

2問目から問題も読まずに[はい]を押していたが、結局正解はひとつ。全部[いいえ]にしていれば馬鹿にされずに済んだのにとライトは嘆いた。

 

「お前、バッジは何個だ?」

 

「3個です」

 

「そうか、なら3対3のシングルバトルだ!見事儂に勝てればバッジをくれてやろう!」

 

かくして始まった4つ目のジム戦。グレンジムのジムリーダーカツラは、ほのおタイプ使い。ならばこそ、みずタイプのコダックの出番だ!

 

「いけっ!コダック!」

 

「(私じゃないのか!?)」

 

「(いや、リルが出たら余裕で勝っちゃうし、コダックの戦闘力も測りたいしね)」

 

「(………そうだな)」

 

「(それに3対3のシングルバトルは初めてだろ?仲間の勝利を信じて待ってろ)」

 

モンスターボールから出てきたコダックは相変わらずアホっぽい。頭を押さえて、ぼーっとしている。

 

「みずタイプのポケモンか!セオリーは理解しているようだな!だが、燃える男にタイプ相性など関係ないのだ!ゆけっ!ポニータ!!」

 

カツラが繰り出したのは、ほのおタイプのポニータ。燃え盛るたてがみを持った馬のポケモンだ。まさに、燃える男カツラに相応しいポケモンである。

 

「ポニータ!【とっしん】」

 

「かわして、【みずのはどう】」

 

しかし、コダックはポニータの攻撃をかわせずに吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。

 

「コダックゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

ライトの悲痛な叫びに応えたのか、コダックは何事も無かったように立ち上がる。しかし、命令した【みずのはどう】を使う事は無くボーっとしている。そんな様子のコダックにライトは必死に声をかけるが、コダックが動く事はない。

 

「言う事を聞かないのか?トレーナーとしては未熟だな!ポニータ!追撃だっ!」

 

次々に技を繰り出すポニータに為す術もなく、攻撃を受け続けているコダックは苦悶の表情を浮かべていて、明らかにダメージが蓄積されているようであった。

ポニータは一切反撃してこないコダックに対して最初こそ不信感を抱いていたものの、今では技の練習のようにコダックに攻撃を浴びせていた。しかし、その気の緩みが勝敗を決した。

ポニータの【とっしん】に対して見事なカウンターの頭突きを食らわしたコダック。ポニータはジムの壁まで吹き飛んだ。

 

「ポニータ!!」

 

叫ぶカツラ。しかし、土煙が霧散した先に倒れていたのは気絶したポニータだった。

 

「ポニータ戦闘不能」

 

カツラは審判の声でポニータの敗北を後から実感する。それ程までに一瞬の出来事だった。

コダックが使った技は【がまん】。相手の攻撃を我慢して受けて、そのダメージを倍にして返す技である。ただ、【がまん】している間は他の技を使えないという欠点がある。

 

「ふっふっふっ、俺の言う事を聞かなかったのは演技です。本当は【がまん】をしていたから、それ以外の行動が出来なかったんです」

 

嘘である。ライトはコダックが勝手に【がまん】して勝利をしたことを自分の手柄にして未熟なトレーナーというカツラからの評価を覆したいだけである。

 

「うおおーす!そういう戦いがある事はわかっているが、わしは正々堂々と戦うぞ!ゆけっ!キュウコン!」

 

続いてカツラが繰り出したのはキュウコン。先ほどの理科系の男が出してきたロコンの進化系のポケモンだ。

対するライトはコダックを労ってボールに戻しカビゴンを繰り出した。出てきたカビゴンが必死に何かを訴えてくるのでリルに訳してもらった。

 

「(働きたくないでござる)」

 

「(よしカビゴン。勝ったら、ちょっと値段の高い木の実を買ってあげよう。負けたら飯抜きな)」

 

「(やる気に満ち溢れてきましたぞ)」

 

飯で釣られるカビゴンはやっぱり可愛いと思うライトであった。そして、カビゴンはキュウコンの【かえんほうしゃ】をその身に受けながら繰り出した【ギガインパクト】の一撃でカツラのキュウコンをねじ伏せた。

 

「なんだと⁉︎」

 

「つ、つえぇ〜」

 

驚くカツラとライト。しかし、そんな事は全く気にせずに、ぽちゃぽちゃと踊っているカビゴン。リルに訳して貰うと「(きっのみー、きっのみー)」と言っているらしい。おそらくカビゴンの特性である[あついしぼう]で炎タイプの攻撃を半減していたために、キュウコンの【かえんほうしゃ】があまり効いていないのだろう。だが、何故カビゴンは動けるのだろうか?【ギガインパクト】は強力な技だが、使った後に反動で動けなくなるというデメリットがあるはずだ。だというのに、カビゴンは全く意に介さず踊っている。食欲の為せる技とでもいうのだろうか?

カビゴンに高い木の実を買ってあげる約束をしてボールに戻し、リルに視線を向ける。

 

「(待ちくたびれたぞ。ライト)」

 

「(そんな待ってねぇだろ。つか、どうだ?3対3のシングルバトルは?)」

 

「(別に、どうという事はない。他の2人が負けても、私が3回勝てばいいだけの話だ)」

 

「(ははっ、リルらしいな。でも、仲間の勝利を信じて待つってのは面白いだろ?)」

 

「(……まぁ、悪くはない……かもな。それよりもコダックには説教をした方がいいと思うぞ)」

 

言葉とは裏腹に嬉しそうなリル。常にライトと2人で修行をしてきたリルにとって、ライト以外で一緒に1つの勝利を目指す仲間がいるという事は不思議な感覚だった。

彼の周りには、いつも好敵手しかいなかった。道場の先輩やナツメのポケモン達ともしのぎを削るするばかりで、共に戦うという経験は無かったのだ。だからこそ、この不思議な感覚に包まれている。だが、それだけではない。同時に、カビゴンに負けたくないという意思も心の中で燃えている。それは、リルの生い立ちからすれば当然の事である。強い仲間もリルにとっては好敵手なのだ。

 

熱く燃えるリルの気、否、波導に気圧されたのか、カツラの輝く額から汗がつたう。しかし、燃える男カツラは怯まない。むしろ、これ程熱いポケモンと戦える事に喜びを覚えていた。

 

カツラの出した最後のポケモンは、相棒のウインディだ。ボールから出てきたウィンディはリルの波導に負けずに【とおぼえ】のごとく咆哮をあげる。そして、メラメラと炎を纏う。対するリルも気、波導といった力を次の一撃に込める。お互いに睨み合い集中力を高めていく。まるで西部劇の決闘のように緊張感が高まっていく。それはポケモンだけでなくトレーナーにも伝播し、審判も唾を飲む。

 

ウィンディとリルの間の空間が歪む。比喩ではなく本当に歪む。それはウインディの熱によるものか、それともリルの光を屈折させるほどの気か。ともあれ、気圧され足元がおぼつかなくなった審判の膝が折れる。そして、審判の尻が地面に着くまさにその瞬間、2人のトレーナーが同時に声をあげる。

 

「リル!【きあいパンチ】!!!!」

 

「ウィンディ!【フレアドライブ】!!!!」

 

両者共に、地面が抉れる程の踏み込みから放たれた技。ウインディの頭とリルの右の拳がスタジアムの中央で接触する。

ウインディは吠える。こんな小さき者に敗れるものかと。

リルは吠える。ライトとのチャンピオンへの道がこんなところで終わる筈がないと。

 

刹那の拮抗。その後、ぶつかり合う2つのエネルギーが大爆発を引き起こしグレンジムを半壊させる。いや、ほぼ全壊といっていいだろう。

 

荒れ果て窪んだスタジアムの中央で拳を高々と上げているリルを見たのは、吹き飛ばされながらも意識を保っていたライトと、意識が飛ぶ寸前に微かに見ることができたカツラの2人だけであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「すいませんでした〜っ!」

 

目が覚めたばかりのカツラに見事な土下座を見せるライト。幸い、怪我人がゼロという奇跡が起こったが、ジムは酷い有様だった。

 

「別に怒ってないぞ!熱いバトルだったからな!それに、もうすぐ「ふたごじま」にジムを移設する予定だったからな!予定が少し早まっただけだ!」

 

ライトは、本当に怒っていない様子のカツラに安堵した。弁償なんて言われても払えるわけ無い。

 

「それよりも、ポケモンは休ませたのか?」

 

「いえ、まだです。カツラさんの意識が無かったので」

 

「なら、一緒にポケモンセンターにいくぞ!話はそれからだ!」

 

カツラと共にポケモンセンターに行きポケモンを預けた後、そのままポケモンセンターに泊まった。

 

翌日、カツラにマサラタウン行きの船は出てないのかと聞くと、マサラタウンに居るオーキド博士に用があるということでカツラの自家用の船に乗せてもらうことになった。水タイプのポケモンを持っていないので、船を使っているらしい。何故グレンじまにジムを建てたのか……

 

そして、クリムゾンバッジを貰った。これでバッジは4つ。残りのバッジはトキワシティ、ニビシティ、ハナダシティの順に取って、最後にヤマブキシティでナツメと戦うつもりだ。




実際、ジムが壊れたらどうなるんですかね?
ジムが壊れても生きてる人達、いやー不思議ですね(白目)
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