No.1 出会いは突然に
原作開始 出久side(回想)
時は遡ること、10年前。
「無個性、か」
病院で言われたその一週間後の話。
その日はお母さんは夕方までお出かけしているので一人で近くの森まで一人で散歩に来ていた。
すると一人のおじさんが展望台から町を見ていた。
「おじさん、どうしたの?」
「ヒーローの活動を、見ていただけだよ」
僕が話しかけるとおじさんは一言だけ呟いた。
僕はそのおじさんにもう一度話しかけてみた。
「おじさんもヒーローなの?」
「いや、ヒーローではない。ヒーローになれなかった人だよ。坊や、時間は有るかい」
僕が頷くとおじさんはたった一言。
「ついておいで」
それだけ言うとおじさんは山を登り始めた。
僕はそのおじさんの後について行くことにした。
直感だけど、この人は悪い人じゃないと思った。
ちなみに、その山は遠足で来たことはあったけど、私有地だから頂上までは行ったことがなかった。
前に先生から聞いた話だと頂上にはお金持ちの人が住んでいて、その人は子供好きのため、毎年幼稚園や小学校の遠足に使っても良いと許可を出してくれてる人らしい。
おじさんにその事を話すと、そのお金持ちの人がおじさんだということを教えてくれた。
僕が登るのに疲れた時はおじさんがおんぶをしてくれた。
おじさんには子供はいたけど、こういった事をした経験が無いそうだ。
登り始めて10分くらいした頃、そのお屋敷が見えてきた。
僕が知ってる一戸建ての家よりも大きな家が建っていた。
中に入ると客間のような場所に案内してもらった。
僕が周りをキョロキョロしているとおじさんは金色の装飾が付いたベルトの様な物を持って来た。
「おじさんは、これを使ってヒーローになろうとしたんだよ」
「なんなの、これは?」
疑問に思った僕が聞くとこれはヒーローに変身するための道具らしい。
僕が「使ってみせて」と言うとおじさんは「衝撃が凄いから別の場所にいこうか」と言って僕とおじさんは客間の窓から見えている中庭に移動した。
中庭に着いておじさんがベルトを腰に巻き付け「変身」と叫ぶ。
次の瞬間、ベルトから声が聞こえてきた。
『祝福の刻!最高!最善!最大!最強王!オーマジオウ!』
するとおじさんはそのベルトを着け、黒と金でできた様な鎧のような姿になっていた。
「これが私、最高にして最善のヒーロー。その名もオーマジオウ」
「…オーマ…ジオウ」
僕はそう呟いていた。
僕の憧れているオールマイトとは真逆の、だけど、それと同時に引き込まれる様な存在感を感じていた。
おじさんは変身を解くと直ぐ様に僕に渡してきた。
「このベルトは君にあげよう。おじさんはもうヒーローをするつもりはないからね」
「で、でも僕は無個性だし。それにこのベルトも」
「良いんだ。おじさんも無個性だったからね。それにベルトが大きいというならそのベルトが合うほど大きくなれば良い」
「おじさん…」
「おじさんはそのベルトを使って沢山の人を助けてきた。だけどおじさんはヒーロー免許を持っていなかった。だからヒーローやマスコミ達からは最低最悪の存在と言われてたんだ。だけど、君は違う。未来という可能性を持ってる。だから君がオーマジオウを最高最善のヒーローと呼べる存在にしてくれ」
「うん、わかった。約束するよ」
「頼んだよ。さて、遅くなっても困るから君を自宅まで送るとしようか。玄関で待っていてくれ」
その後、おじさんの運転する車で自宅まで送ってもらった。
別れ際におじさんは大量のノートを僕に渡してきた。
オーマジオウの力を使いこなすのに必要なものだと言われたので受け取っておいた。
夕飯の時にお母さんにその事を話すと、どこか悲しいような、懐かしむ様な顔をしながらただ一言、「良かったね」とだけ言ってた。
そして僕は10年後、僕は憧れのあのヒーローに出会う事になる。