誰よりも作者である自分が一番驚いてます。
No.13 告げられる報告と迫るイベント
オールマイトside
敵襲撃事件の翌日。
私は今、私の“個性”の秘密を知る数少ない友人である塚内君の話を聞くために他の教員達*1と一緒に雄英高校の会議室に集まっている。
「U・S・Jに現れたという
「何もわかってねえって事だな。早くしねえと死柄木とかいう主犯がまた来たら面倒だぞ」
私の隣でスナイプ君がそんな話をしている中、一つの疑問を抱いていた。
「
「何だい、オールマイト」
私の右に座っておられた校長が聞いてこられたので質問に答える。
「思いついても普通、行動に移そうとは思わぬ大胆な襲撃。用意は周到にされていたにも拘わらず!。生徒達の報告では、自分の“個性”は明かさない代わりに、脳無とやらの個性を自慢気に話したり…。そして思い通りに事が運ばないと露骨に気分が悪くなる」
「それにしたって、対ヒーロー戦で「個性不明」というアドバンテージを放棄するのは愚かだね」
「“もっともらしい稚拙な暴論”、“自分の所有物を自慢する”。そして思い通りになると思っている単純な思考。襲撃決行も相まって見えてくる死柄木という人物像は、幼児的万能感の抜け切らない、いわゆる、“子ども大人”だ」
「“力”を持った子どもってわけか!!」
「小学時の「一斉“個性”カウンセリング」受けてないのかしら」
「で、それが何か関係あんのか!?」
ブラド君の質問に塚内君が答える。
「先日のUSJで検挙した
塚内君が話を終えると校長が。
「“子ども大人”。逆に考えれば生徒らと同じだ。成長する余地がある…。もし優秀な
校長の話に私は一言だけ返した。
「………考えたくないですね」
そして会議の後。
「オールマイト、少し良いかい?」
塚内君に呼び止められてしまった。
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出久side
U・S・Jの事件の翌日は臨時休校となった。
そして休校明けの次の日。
「皆、席についてる?」
「ついてるよ!」
怒鳴りながらだけど、かっちゃんが代表して言ってくれた。
そして、
「お早う」
包帯でミイラみたいになった相澤先生が教室に入ってきた。
「先生、無事だったんですね」
「無事言うんかなぁ、アレ……」
飯田君と麗日さんがそんな話声がしていた。
先生が教壇に立つと、
「俺の安否はどうでも良い。何よりまだ、戦いは終わってない」
「戦い?」
「まさか…」
「また敵が!?」
かっちゃん、僕、峰田君*2の三人でそんな反応した直後。
「雄英体育祭が迫っている」
『クソ学校っぽいの来たあああ!!』
大多数の生徒がそんな反応をするなか、誰かが。
「待って待って。敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか?」
すると先生は。
「逆に開催する事で雄英の危機管理体制が磐石だと示す。って考えらしい。何より、雄英の体育祭は……最大のチャンス。敵ごときで中止にしていい催しじゃねえ。ウチの体育祭は日本のビックイベントの一つ!!。かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ、全国が熱狂した。今は知っての通り、規模も人口も縮小し、形骸化した。そして日本に於いて今、「かつてのオリンピック」に代わるのが、雄英体育祭だ」
ここまで先生の話を聞いて僕の後ろに座る峰田君が口を開いた。
「その意見も一理あるけどよ、やっぱり中止にした方がよくねえか?。入り口のゲートだってそこまで治ってるわけでもないし」
峰田君の質問に対して先生は。
「峰田の考えも尤もだが、警備は例年の五倍に強化するそうだ」
その答えに納得したのか峰田君は首を縦に降っていた。
「卒業後はプロ事務所に
「そっから独立しそびれて万年サイドキックってのも多いんだよね」
「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓ける。年に一回、計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ」
先生はそれだけ言うと、朝のHRは終了した。
そして四限目終了後の昼休み。
「あんなことあったけど、なんだかんだ、テンション上がるなオイ」
「活躍して目立ちゃプロへのでけぇ一歩を踏み出せる」
切島君と瀬呂君がそんな話をしていた。
「皆、すごいノリノリだ」
「君は違うのか?。ヒーローになる為在籍しているのだから燃えるのは当然だろう!?」
お昼を誘いに来てくれた飯田君が独特な燃え方をしていた。
「飯田ちゃん、独特な燃え方ね。変」
蛙吹さんにまで言われていた。
そして麗日さんは顔がちょっとかっちゃんぽくなっていた。
芦戸さんにもうららかじゃないよなんて言われていた。
そういえば、麗日さんに聞いてなかったな…。
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「え、お金!?。お金欲しいからヒーローに!?」
階段を下りて食堂に向かう途中麗日さんにヒーローを目指す聞いてみたところ、そんな風に返された。
「究極的に言えば。なんかごめんね、不純で。飯田君とか立派な動機なのに、私、恥ずかしい」
顔を赤く染める麗日さん。
そんな横で腕を激しく動かしながら飯田君が。
「何故?。生活の為に目標を掲げる事の何が立派じゃないんだ?」
「ウチの実家、建設会社やってるんだけど全然仕事なくてスカンピンなの。こういうのあんま人に言わん方が良いんだけど」
「なるほどね。麗日さんの“個性”なら許可取ればコストかかんないね」
「でしょ!?。それ昔父に言ったんだよ。でも、父は「気持ちは嬉しいけどな、お茶子。親としてはお茶子が夢叶えてくれる方が何倍も嬉しいわ。したらお茶子にハワイ連れてってもらえるしな-!」なんて頭撫でられながら言われた。だから私は絶対ヒーローになって、お金を稼いで、父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ」
憧れだけじゃなくて現実を加味したうえで…。
飯田君が隣で、
「麗日くん…!。ブラボー!!」
と言っていたので僕もおじさんに教えてもらった言葉を麗日さんに終えてあげた。
「麗日さん。僕の師匠にあたるおじさんが言ってたんだ。憧れだけじゃ力は手に入らない。けど憧れる事で目標を目指して努力する手助けにはなるって」
麗日さんの両肩を叩いてそう言うと麗日さんはさっきよりも顔を赤くしていた。
「ありがとう、二人とも。ウチの夢を応援してくれて」
そして放課後。
僕達の教室の前には沢山の生徒達がいた。
「出れねーじゃん!。何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ」
そう言ってかっちゃんは教室の入り口に向かっていき。
「意味ねえからどけ、モブ供」
かっちゃんがそう言うと。
「どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだな。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい」
「ああ!?」
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅しちゃうかな。普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ。知ってた?、体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ。敵情視察?。少なくとも
宣戦布告ねえ。
だけど今回ばかりは。
「かっちゃんの意見に僕も賛同かな」
そして軽く力を入れて他クラスの人を睨み付ける。
次の瞬間、その場にへたり込む他クラスの生徒達。
「君達が僕達を倒してヒーロー科に編入するのは無理だよ。こんな所で宣戦布告してるようじゃ、ね」
僕の隣に立っていたかっちゃんは。
「俺に賛同者なんて要らねえんだよ」
そう言って教室を出ていった。
僕達もその後、未だにその場にへたり込んでいたり、気絶している人を避けながら下校した。