三人称視点
「さて、今回は優秀なヒーローの卵はいるかな」
プレゼント・マイクこと山田の言葉に、人でも犬でも熊でもない、ネズミの校長、根津校長が口を開いた。
「限られた時間と広大な敷地。そこからあぶり出されるのさ。情報をいち早く把握する為の情報力。遅れて登場じゃ話にならない、機動力。どんな状況でも冷静でいられるか、判断力。そして純然たる戦闘力……」
「その事ですがH会場でトラブルです」
寝袋に身を包んだ男、相澤が根津校長に報告していた。
「試験前に入念に準備したよね。どんなトラブルが?」
「H会場の仮想
「……は!?」
その場に居た教師全員が口をぽっかり開いていた。
「イヤイヤイヤ、前日にパワーローダー君が入念に整備をしてたじゃないか」
いち早く言葉を発したのは根津校長であった。
「ですが事実ですので」
録画映像であるH会場の試験の様子を見ていると確かに一斉に壊れていた。
「仕方ない。H会場の試験を受けた者には悪いがレスキューポイントだけで計測をしよう」
相澤はそんな事を呟いていた。
しかし、根津校長はあることに気付いた。
「もし壊れるとしても、一斉に、それも全部が壊れるなんて事はあるだろうか」
根津校長の言葉に相澤は口を挟む。
「ですが事実ですので」
「だったら映像をスロー再生してみてくれないか?」
相澤は溜め息を付きながらスロー再生すると。
「な!?」
教師達は驚いていた。
一瞬の内に0ポイント
時間にしてみれば、開始から0.01秒程。
次の0.02秒には自分の最初の立ち位置に戻っていたのである。
「つまり、ロボは壊れたのではなく、破壊されたのね」
教師の一人である香山はそんな感想しか出来なかった。
「だとしたら、彼の「個性」はなんなんだ?。分身とかか?」
山田の言葉に根津校長が口を開く。
「いや、違う。きっと高速で移動してるんだろうね。ただ、彼の持つ力はこれだけじゃ無いような気がするんだよ」
根津校長の言葉にオールマイトはただ、鋭いとしか思えなかった。
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試験から数日後、僕の家に雄英高校から手紙が来たとお母さんが持ってきてくれた。
手紙を開けるとホログラム装置が入っており、起動すると。
『私が投影された』
オールマイトが投影された。
『私が投影された事で君は驚いているかもしれないが、私も驚かされたよ。筆記試験は1位タイ。実技試験の方は雄英高校歴代トップの940ポイント。そしてもう1つ隠されたポイント。その名もレスキューポイント。しかも審査制。君はそれでもトップの60ポイント。なぜ、レスキューポイントってのが存在してるかって。決まってるじゃないか。人救けをした正しい者を排斥しちまうヒーロー科などあってたまるかって話だよ!!。きれい事!?。上等さ!!。命を賭してきれい事を実践するお仕事だ。主席合格だってさ。来いよ、緑谷少年。雄英が君のヒーローアカデミアだ!』
この事をおじさんに報告すると。
「頑張ったな、出久」
と初めて名前で呼んでもらった。
ただ、それだけなのに物凄く嬉しかった。
その時はまだ、一人前に1歩近づいた。
その事で呼び方が変わったと思っていた。
その時は……まだ。