ーカトリーヌー
アタシはアイツに負けた、傷一つ与えることが出来ずに負けたんだ。カロンの大紋章を宿し
伸びた鼻が根元から折れたよ、盛大にポキッ! …とね。
………ルージュ・フォン・コーデリア、噂に
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白蛇のルージュと出会ったのはガルグ=マクの士官学校にて、セイロス騎士団のアロイスさんが連れてきたんだ。威風堂々とした立ち振舞いを見て、このルージュはかなりの遣い手であると感じ取った。その時はその程度でしかなかった、けど…ルージュが白蛇で勇名轟くリントヴルム傭兵団の団長であると知り、更にアタシの年下って知ったらさ…気に入らないじゃないか。
…だからルージュがガルグ=マクへ来ると知れば、わざわざ絡んでは喧嘩を売る。…がしかし相手は毎回軽く流して取り合わない、それどころか馬鹿にするような視線を向けてくる始末。…ムカついたね、めっちゃムカついた。それ以来ウザイくらいに絡む、アタシのプライドが許さないからね。この喧嘩をルージュが買うまで、アタシは懲りずに絡み続ける。ここまで来たらもう意地だよ…!
意地で絡み続けた結果、流石のルージュも苛立ってこの喧嘩を買った。アタシとルージュの勝負にレア様やセテス様、アロイスさん達セイロス騎士団に士官学校の同級生達が見届けるらしい。レア様が見届ける、…アタシのやる気は最高潮だ! …ルージュ、覚悟しな!!
…で始まった勝負だがただ一言、アタシは井の中の蛙だった。アタシの磨き上げてきた剣術が簡単にあしらわれる、
初手でルージュの挑発に乗った、激昂したのは認める。…それでも、…それでもアタシは今まで勝利を掴んできたんだ! こんなポッと出の年下に、選ばれたアタシが手足も出ないなんて!! プライド故か更に攻め立てるが、…一瞬の隙を突かれて一撃。胸を突かれた瞬間に息が詰まり、手にした
悶絶しながらも相手…ルージュを見上げれば、…冷めた目でアタシを見下ろしていた。そしてその口から発せられる言葉に何も言い返せない、悶絶しているから…ではなく本当に言い返せなかった。…ルージュを称える拍手と称賛の声、アタシはそれを聞きながら顔を伏せて涙を流す。不甲斐ない自分に、情けない自分に対して。………くそぉ~っ!!
ルージュに負けた日からアタシは初心に戻って鍛練をしている、同級生との付き合い方も変えた。アタシは自覚無しに皆を下に見ていたようで、意識して同じ目線で見てみれば自分に足りないモノがよく見える。それに進んでセイロス騎士団の仕事を手伝うように、雑用も含めて経験が少ないとアイツに言われたからな。
今からでも遅くない筈、コツコツと経験を積めば今以上に成長出来る。怠けていた分を取り戻すんだ、少しでもアイツに…ルージュに近付けるように!
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月日が経つのは早いもので、ルージュと出会い負けてから5年。アタシも強くなったものだと自画自賛する、やはりセイロス騎士団に入団したことが良かったんだな。カサンドラって名を捨てることにしたけど、そもそもカトリーヌという洗礼名で過ごしてきたから何とも思わない。
…そんなことよりもルージュ、アイツのことだよ! …この5年の間、一度も顔を合わせていないってどういうことなんだ!? …何て思っていると、レア様から有難いお話を頂いた。…勿論その申し出を受けますとも、是非行かせて下さいレア様!
アタシは今、セイロス騎士団からの出向という形で白蛇騎士団へ。久しく見ていなかったルージュの男前ぶりにちょいと驚きつつも、仲良くやろうと言えば嫌な顔をされる。流石に傷付いた! と言えば態度が軟化、言ってみるもんだと笑みが浮かぶ。
これで少しは良い関係が築ける…と思えば、アタシの失態で再び微妙な関係へ。めっちゃ怒られた、凄い剣幕で怒鳴られた。全面的にアタシが悪いです、立場を考えていませんでしたごめんなさい!!
……………うぅ~、………ルージュの怒気がハンパない。言われた通り、生活習慣の改善と最低限の礼儀を身に付けないとダメみたいだ。アタシはともかくセイロス教の、いや…レア様の名に傷が付いてしまう!
…そんなアタシはルージュの妹であるリシテア、ゴネリル公爵家のヒルダに色々と教わることに。若干の呆れが含まれる視線に堪えて学ぶアタシ、唯一の救いはダメダメ仲間のマリアンヌ。彼女はアタシと違う意味でダメ人間、ダメ同士…頑張って学ぼうじゃないか!
………因みにパルミラ戦の参戦は認められるだろうか? …大丈夫? …本当か? …良かった、………本当に良かった!!
不肖カトリーヌ、粉骨砕身で頑張ります!!