ールージュー
1174年…貴族になって4年目、重要なイベントがありました。コーデリア伯爵家的には良いことになるか? コーデリア領的には良くないことか? 判断に困るんだけど、この俺ルージュは傭兵から足を洗いました。それに伴いリントヴルム傭兵団も解散、直後にコーデリア騎士団の一つに白蛇騎士団が誕生したのです。
何てことはない、単純に傭兵団が騎士団に変わっただけ。個人それぞれの格好も統一され、赤いトサカ付きの白い兜がトレードマークの白鎧一式になりました。…そうです、団長である俺に似せた白蛇騎士団専用の白鎧一式です。団員全員が俺の信奉者、何かセイロスっぽいよね?
貴族となっても傭兵稼業を続け、常勝無敗の傭兵団と有名になった。特に俺個人の勇名がフォドラを駆け巡り、赤頭の白蛇…所謂俺は畏怖されるように。
『獰猛なパルミラ人も裸足で逃げ出す白蛇ルージュ。』
何て言われてるのよ、それにあやかって我が騎士団はその姿に。一目で分かる、白蛇ルージュの騎士団だと! それだけで敵対する者は逃げ出す始末、そして味方は士気がアゲアゲ。嬉しいような悲しいような、俺的には微妙に感じるのです。
騎士団になった理由は単純に妬みっす、同盟領のゴネリル公爵家以外の殆んどの貴族達からのね。コーデリア伯爵家が傭兵稼業で家名を上げている、そして報酬金にて領地を潤わせている…と。これは決して悪いことではない、同盟領貴族の間にあるルールにそれを咎めるものが一切無いのだから。
何を問題にしているのか? …それは、俺が傭兵団を率いて縦横無尽に同盟領を駆け巡っていること。即ち、コーデリア伯爵家の者が他領へ許可無く好き放題侵入している、…そう言いたいのだ。傭兵の領地移動は不問とするのが暗黙の了解、故にただの言い掛かりであると主張すればいい。現に他家でも自身の子を傭兵にしている者もいれば、私的に傭兵団を雇っていたりするのだから。
…まぁ実際、傭兵がどうのっていうのも微妙なわけで。リントヴルム傭兵団が強すぎて有名になりすぎている、現在ジェラルト傭兵団とリントヴルム傭兵団の二強。その影響で他の傭兵団の名が埋もれ、無駄に俺達を有するコーデリア伯爵家の家名が上がっている。率いている白蛇のルージュはコーデリア伯爵家の子、同盟領にコーデリア伯爵家あり! …っていう世間の評価が気に入らないのだ。…本当に、マジでただの嫉妬なのです。
義父上的には俺の勇名は嬉しい、他貴族からの嫉妬も特に気にしていなかった。…が余りにも小言が多かった為、仲の良いゴネリル公爵と共にやらかした。
『貴卿等の言い分、承った。なれば義息子率いるリントヴルム傭兵団を解散させ、新たな騎士団を設立させて貰おう。設立後は自領を中心に活動することを約束しよう、…これで問題ありませんな?』
と同盟領貴族の集まりで宣言したらしい。義父上に続けてゴネリル公爵が、
『それはめでたいことですな、有象無象の賊徒を相手せずに済むのだから。…ということは、対パルミラに期待しても良い…ということですかな?』
と言い、
『勿論ですとも! 同盟領を守る為に手を取り合いましょうぞ!』
と返せば、
『ははははは! これで奴等もそう易々と攻勢に出れまい!』
最後にゴネリル公爵がそう締めくくり、二人でバカ笑いしてきたとのこと。妬みまくっていた貴族の青い顔が痛快愉快だったみたい、…義父上とゴネリル公爵の性格が悪い。
簡単に言えば、傭兵団から騎士団に変えます。傭兵活動はしません、自領の警護・警戒のみにします。よって今までのように賊徒討伐に手は貸さない、自分達で頑張ってね。でも同盟領を守る為にパルミラとは戦います、その際の移動には文句を言わないよね? だってパルミラと戦う為だもの。とにかく、コーデリア伯爵家とゴネリル公爵家はこれまで以上に協力し合います。他の方々は此方を気にせず、どうぞ自分達のことだけを考えてください。
ようはもう知らないってこと。賊徒討伐を依頼として助力してきたけれどもうしない、どうぞ自分達の手勢で撃退してねって。…そりゃ厳しいよね? その中にはたまに魔獣が含まれているし。自惚れじゃないけど俺達がいたから犠牲無く討伐出来た、…よってこれからはそうもいかないだろうな。
とにかくこれからは白蛇騎士団として、コーデリア伯爵領とゴネリル公爵領を行き来することになった。…というか、場合によってはゴネリル公爵家に長期間留まることもあったり。まぁ傭兵時代よりは楽かな? 対パルミラのことだけに集中出来るのだから。