ールージュー
去年リントヴルム傭兵団から白蛇騎士団へ、義父上とゴネリル公爵の手によって。賊徒や魔獣の討伐は自領限定、主にゴネリル公爵領での対パルミラにてその武力を発揮させる日々。騎士団として参加するようになり、数回パルミラ軍と戦った後に恐れられるように。…というか最初に気付けパルミラよ、前とは違う鎧姿だが君らの嫌いな白蛇であると。…パルミラにとって赤トサカの白鎧軍団は恐怖の対象、更に俺の勇名が広まりフォドラに白蛇ありと。
いやもう本当にさ、ゴネリル公爵家とは家族ぐるみの付き合いになっているのよ。今年からホルスト君はガルグ=マクの士官学校へ、
『…ルージュさん、ヒルダのことを頼みます! 悪い虫が付かぬようくれぐれも、…どうかくれぐれもよろしく頼みます!!』
とヒルダちゃんのことを念入りに頼まれました。…悪い虫って言うけどさ、俺もそれに入ると思うんだけど。まぁ俺の場合、ヒルダちゃんは妹…そう思っているからね。男女の関係にはならんと言える、…だから頼んできたのか?
義妹のリシテアも大きく…なってはいないが10歳になった。俺の妹愛で蝶よ花よと育てた結果、病弱は鳴りを潜めて普通の健康体になったと思う。いつも本と杖を持っては庭に飛び出し魔法の練習、俺が見守る目の前でメキメキと魔法の腕を上げている。たまに俺のゴネリル公爵領への遠征に同行、ヒルダちゃんと親交を深めている。…ぶっちゃけ対パルミラに参戦する気か!? …と戦々恐々としていたが、そうじゃないと知って安心しましたよ。まぁリシテアがいるから俺の気力は十分だ、たまたま侵攻してきたパルミラ軍を散々に蹴散らしました。
「お義兄様凄いです、…カッコいい!」
の一言で俺は天にも昇るぐらいの幸福感を得る、…リシテアは本当に天使だ。…ん? ヒルダちゃんは…妖精じゃないかな? ごめんね? 天使はリシテア専用なんだ。………ってぇ!? 脛を蹴っちゃいけないぞヒルダちゃん!!妖精も十分可愛いじゃないか!?
そんな日々の中でイベントが2つ発生。1つは我が白蛇騎士団に見習いとして一人の少女が、その名をマリアンヌという。…いやダメだろ、まだ少女だし。しかも小領主とはいえ貴族の娘だろ? 行儀作法の勉強なら分からぬもないが、騎士は…荷が重いのではなかろうか? せめて数年後、士官学校入学とその後の卒業を待ってからで良いのでは? …と義父上に進言すれば、
「そうしたいのはやまやまだが、どうにも彼女の身の上がな…。何とかしてやりたいと思い、苦渋の決断でルージュの下へ送ると決めたのだ。」
…何だそりゃ?
わけを聞けばなるほど、それは何とかしてやりたいと思うわ。件のマリアンヌちゃん、どうにも身に宿す紋章のせいで周囲から虐げられているらしい。特に何かをしたわけでもないのに、何か不幸があれば彼女のせいになる。その積み重ねで彼女は自身を呪い子と、存在そのものが罪として日々祈り続けているという。家族として助けてやりたいがどうすれば良いか分からない、考えた結果…他領へ送り出すことに。地元に残っても周囲の目がある、ならば新天地へ…と。
そこで頼ったのが義父上、コーデリア伯爵である。それは何故か? と問われればただ一つ、俺の存在があるから。2つの紋章を持ちながらそれをひけらかさない、持たぬ者を差別せず対等に付き合う度量。俺の影響かどうかは分からんけど、我が家族を含めて領民達も差別をしない稀有な領地。故に藁にもすがる気持ちで義父上を頼ったとのこと、…なるほど。
白蛇騎士団設立時に他貴族とは距離を置いているが、この件に関しては関係ないとするわけね。俺としても娘を想う親心は理解出来る、だから文句は無いものの本当に良いのだろうか? 騎士団は危険だぜ? 常にゴネリル騎士団と共にパルミラと戦っているし。…え、何? 俺の傍が色んな意味で一番安全? …何で?
………俺なら不幸を跳ね返せるし、あっても笑い飛ばせるだろうと? 彼女自身のネガティブ評価を覆させるのは俺しかいない、…そこまで言うなら頑張ってみようか。やるだけやってみるよ、それでいいんだろ? 義父上。
会ってみればマリアンヌちゃん、可愛い娘じゃないか! …がしかし、暗い雰囲気が全てを台無しにしている。陰気を纏っているんですよ、話し掛けても…、
「私如きに時間を取らせて、………ごめんなさい。」
毎回最初にこれなんですよ。この娘を普通に戻す、…手強そうだなぁ。…まぁいつも通りにやれば何とかなるか? めげずに絡めばきっと、…うざったいって思われなければ。
そしてイベントがもう1つ、我が白蛇騎士団にマリアンヌちゃんとは別に一人期限付きで加わった。入団とは違い出向という形で加わった者、その名をカトリーヌ。…お前セイロス騎士団に入ったんだろ? こっち来んなよ! …対パルミラで腕を磨く? レアさんの意向でもあるから受け入れろ? ………マジか。