一か月一万円で生活するアルトリア・ペンドラゴン 作:hasegawa
~一か月一万円生活、最終日~ (ナレーション、言峰綺礼)
「「「 ラスボス!?!? 」」」
彼の素晴らしいミドルボイスで紡がれる、しかしどこか「イラッ☆」っとするようなナレーションの事は置いといて……。
現在、時刻は朝6時。
漁の為の装備を身に纏ったセイバーが海岸に立ち、万感の想いを込めて朝日を見つめていた。
『――――行ってくるぞランスロット、これが最後の漁だ』
まるで出陣していく主の戦いを祝福するかのように、ランスロット(雌鶏)が大きな声で「コケェーー!!」と鳴く。
そんなこの上ない声援に心強さを感じながら、今セイバーが勢いよく海へ繰り出す。
『海へ~~! ピョォォオオーーーーン!!!!』
大きな水しぶき、そして〈ドッボーーン!!〉という大きな音を立て、雄々しく海に飛び込むセイバー。
なにやら思いっきり水面でお腹を強打していたようだが……、剣の英霊である彼女にとっては屁のカッパなのだ!
『……サーヴァント、セイバー。推して参りゅッ!!』
「噛んでる噛んでる。涙目になってんぞ」
やっぱちょっぴり痛かったのか、なにやら泣きそうな顔をしながらセイバーが泳ぎ出していく。(お腹を押さえながら)
狙うは、家族全員分のお魚。
お世話になった人達へ贈る、感謝の印なのだ!!
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『エクスモリバァァーーッ!!』
鋭く突き出されるセイバーのモリ。見事その先端に獲物を捕らえた。
『ハマチ獲ったどぉぉーーーッ!!
これは食いでがあるっ、大河へのお土産としましょう!』
獲物を網にしまいながら、セイバーが満足そうに頷く。
『エクスモリバァァアアーーーーッッ!!
……おぉ、なんと立派なカレイ! この魚は煮付けにすると美味しいと聞く。
近年見事に料理上手となったキャスターへ贈るとしましょう』
「……セイバー」
キャスターの目が、思わずうるんでしまっている。
得物を手にし、嬉しそうな表情を見せるセイバー。
『フグ獲ったどぉぉーーーーーッッ!!
調理の難しい魚と聞きますが、まごう事なき高級魚!!
これは桜に贈ります! 彼女ならばなんとかしてくれるハズだ!!』
「ふふ♪ 一度お魚屋さんにお願いしてみますね♪
そしたらみんなでお鍋にしましょう♪」
フグは毒があるので素人には捌けないが、セイバーの為にも美味しい料理を作る事を桜は誓う。ニコニコと嬉しそうだ。
『ハリセンボン獲ったどぉぉーーーっ!!
……うむ、これは凛に贈るとしましょう! 彼女にピッタリだ!』
「 なんでよっ!! 」
まぁハリセンボンは意外と愛らしい魚であるし、実はとっても美味しいので、セイバーが凛にハリセンボンを選んだ理由は不問としてあげて欲しい。
『何故こんな所に太刀魚が?! これはアサシン(小次郎)へのお土産で決まりです!
ライダーには蟹、アーチャーにはヒラメ、ランサーは青いので鯖を贈ります!』
「色かよオイ! まぁ立派なサバみてぇだけどよ」
「ふふ、蟹の私は勝ち組ですね。ありがとうございますセイバー」
「ヒラメか。ムニエルにするのが定番だな。やってみるとしよう」
その後もお世話になった人達の為、次々に魚を獲っていくセイバー。
身体の大きなバーサーカーには何が良いかと悩むのだが、どこかにマグロでも泳いでいないものだろうか?
あーだこーだ言いながら、海を泳いで周る。
『……ん、あれは?』
幾多のお魚との戦いを制し、悠々と海を泳いでいたセイバー。
今その目の前に、今まで見た事も無いような立派なカサゴが姿を現した。
『……大きい! カサゴは比較的ありふれた魚ですが、
このように立派な物は初めてだ!!』
カサゴは日本の海に広く生息し、原典である番組でも毎回のようにお世話になる魚である。
唐揚げ、煮付け、どのように料理しても美味しい優秀なお魚さん。
それもこのような見た事の無いほど立派な物となれば、さぞとんでもなく美味しい事だろう。
『……決めたぞ、これはシロウへの贈り物だッ!!
いざ勝負だカサゴよ!!』
今セイバーが猛然と潜水していき、一気に頭上からカサゴに襲い掛かる。
⦅――――
『ぐぅわあぁぁーーーッッ!!』
その時、突然セイバーの身体が大きく跳ね飛ばされた!
岸壁に衝突するセイバーの身体!! 対してカサゴは今も悠然と泳ぎ、じっとセイバーの方を見つめている。
「なんだあのカサゴはッ!? 何者だっ!!」
「今なんか宝具みたいなの使わなかった!? 水流が巻き起こったわよ!?」
「!?!?」
激しく背中を打ち付けられ、暫し硬直するセイバー。
その表情は驚愕に染まり、ただ目の前にいるカサゴを見つめる事しか出来ない。
⦅――――そうか、相手は“女子供“だったな。
少し手加減をしてやるべきだったか⦆
『ッ!?!?』
今カサゴが、セイバーの脳に直接語りかける。謎の不思議な力を使って。
⦅――――来るがいい騎士王よ。モリの整備は充分か?⦆
『……おっ、おのれぇぇぇええーーーーーーッッ!!』
ここが水中だという事も忘れ、雄たけびを上げながらセイバーが襲い掛かる。
しかしてカサゴはヒョイヒョイとモリを躱し、雄々しく悠然と泳ぎ続けている。
⦅――――
『黙れッ! 黙れぇぇぇええーーーーーッッ!!!!』
セイバーが渾身の力を持ってモリを突き出す。しかしその矢じりは〈ガキン!〉と音を立ててカサゴの鱗に弾かれる。水中であるハズなのに。
⦅――――見事、だが未熟。
カサゴエリッシュッッ!!!!⦆
『ぬわーーッッ!!!!』
再び大きく吹き飛ばされ、セイバーの身体が〈ザッパーン!〉と海面まで放り出される。その後プカプカと海面に浮かぶ。
⦅――――騎士王よ、まだ挑んで来るが良い。
この海は余すところ無く、我の庭……。
決して貴様を退屈させぬ世界である事を、我が保証しよう⦆
やがてそのカサゴは悠然とセイバーの前から姿を消し、辺りは静けさを取り戻す。
今観た光景を受け入れられず、サーヴァント達はただただ呆然とする。
「……な、何だったの? 今の……」
「凄まじいオーラでした……。画面越しでも、肌がピリピリする程の……」
「KASAGO……」
詳しい事は、分からない。
ただあのKASAGOは並みの魚ではなく、きっとこの海の英雄的な存在であったのではないかとサーヴァント達は思う。
その武勲や人々の信仰によってサーヴァントという存在が作られるように……、もしかしたらあのKASAGOも、この海の魚たちにとっての“英霊的な存在“であったのかもしれない。
この海の全ての魚たち……。
その願いを受けて、あのKASAGOはセイバーの前に姿を現したのかもしれない――――
『私は、帰ってくる……。
必ず貴公の前に帰ってくるぞ、KASAGOよ……!』
いつか戻る王、アーサー王――――
確かあれはそんな意味ではなかったような気がするけど、どうでもいい話であった。
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『帰って来たぞ! 冬木市に!』
海での激闘を終え、片道一時間をかけて冬木に戻ったセイバー。
沢山の荷物とお魚の入ったクーラーボックスを背負い、久しぶりにこの街に帰還した。
『最後の一日は、あの部屋で過ごそうと思います。
所持金は703円ほど残っていますし、まだまだやり残した事もある』
思えばこの生活の前半は、買い物や料理で苦労していたものだ。
あのカツ丼での大失敗や、ソーセージで過ごした9日間は苦い思い出となっている。
ゆえにこの最終日は、残されたこの軍資金を使い、ひとつ豪勢にいこうと思っている。
一日分としては充分な軍資金があるし、これを使って食材を買い、再び料理に挑んでみよう。さて何を作ってみようか?
そうホクホクしながらルンルンと駅前を歩くセイバー。……すると突然、彼女に声を掛けてくる者の姿があった。
『すいませんお嬢さん! ちょっといいですか!?』
『ん? なんでしょう?』
声を駆けてきたのは、見知らぬ中年の男。
なにやら彼はオロオロとした様子で、その表情に困惑しているような色が浮かぶ。
『実は財布を落としてしまい、家に帰る事が出来ずにいるんです……!
申し訳ないのですが、もし良かったら、
電車代を貸してはもらえませんか……!』
『ぬぬっ、それは大変だ。さぞお困りだった事でしょう』
話を聞くやいなや、即座にイソイソとがま口を取り出すセイバー。
そして迷いなくほぼ全財産である700円を、彼に手渡す。
『あぁ……ありがとうございますお嬢さん! 感謝します!』
『いえいえ、困った時はお互い様という物です。
気をつけてお帰り下さい』
頭を下げる男に対し、フリフリと手を振るセイバー。そして相手の連絡先を訊ねる事も無く、そのまま帰路に着いていった。
「あら……、お金あげちゃったのね。今夜どうする気なのかしら?」
「また料理に挑戦する気だったでしょうに……残念です。
しかし彼女の性格からして、見過ごす事は出来なかったのでしょう」
のほほんと話す女性サーヴァント達。しかし今の光景を見て、アーチャーが苦い表情を浮かべている。
「……馬鹿者ッ! それは詐欺だッ!!
一時期問題になった詐欺の手口だッ!!」
「!?!?」
それを聞いた二人は驚愕。対してアーチャーとランサーは未だ渋い表情をしている。
今画面に映る、笑顔で家路を歩くセイバーを見つめて。
電車代を貸して欲しいと言い、通りすがりの人間からお金をだまし取る手口。
これは決して大金ではないが、だからこそ騙される方も相手の連絡先など聞かず、善意によってお金を騙し取られてしまう。
一時期話題となり、警察からの注意がニュースで流れた事もある、詐欺の手口であった。
「いや……でも本当に困っていたという事も……」
「駄目だな、アレを見ろよ? やっこさん嬉しそうな顔してやがんぜ」
立ち去っていくセイバーの背中をニヤリと笑いながら見送った男は、その足でタバコの自動販売機に向かい、さっき受け取った小銭を投入する。
まるで「ちょろいちょろい」とでも言うかのような表情を浮かべて。
「……ッ!! なんなのよあの男ッ! すぐ警察に!!」
「映像も残っているのです! これを届ければ!」
「ふん、それも良いが……。どうやら必要は無さそうだぞ?」
腕を組み、ニヒルな顔をするアーチャー。
今モニターには、取り出し口からタバコを取り出そうとする男……その肩にポンと手を置く者達の姿があった。
『――――御仁、すまんが少し顔を貸してもらえるか?
近頃腕が鈍っていてな。このゲイ・ボウの冴えを取り戻したいのだ』
『■■■――――ッ! ■■■――――ッ!! セブンスタァァーーッッ!!』
『神は決して人を罰したりはしなぁ~いッ!
いつだって人を裁くのは、人間なのでぇすッ!!』
『 ……ヒィィッ!? 』
見知らぬ屈強な……なんか二本槍もってたり、モヤのかかった黒い鎧を着てたり、眼が異常にギョロついてたりする男達に取り囲まれ、中年の男が額に脂汗を浮かべる。
「へいへい、これにて一件落着ってか?」
「金は戻って来んが、セイバーの自業自得という物だ。
それにアレは、まごう事無き彼女の善意からの行動……。
知らぬが華という言葉もあるさ」
今モニターには、久しぶりに自宅に帰還したセイバーの姿。
ランスと共に嬉しそうな表情を浮かべる彼女を見て、アーチャーがニヒルに鼻を鳴らした。
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今日の夕食は、塩おにぎり。ランスのたまごを使った玉子焼きもある。
それを笑顔でモグモグと食べるセイバー。
「結局、寂しい夕食になっちゃったわね……」
「でも、美味しそうです。
がんばって作った玉子焼きも、良い出来でしたから」
やがてお腹がいっぱいになり、満足気な顔のセイバー。ご馳走様でしたと元気に手を合わせ、たまごを産んでくれたランスに感謝を伝える。
『どうやら、貴方の羽の生え代わりは終わったようですね。
とても綺麗ですランスロット。カッコ良いですよ』
今もセイバーに背中を撫でられ、「コッコッコ」とのんきな声で鳴くランスロット(雌鶏)
これからはランスの体調も万全な物となり、きっと頑張り屋な彼女は毎日のようにたまごを産んでくれる事だろう。それをとても楽しみに思うセイバーだ。
『思えば、辛い時期であったにも関わらず沢山たまごを産んでくれたからこそ、
私はこの生活を成し遂げる事が出来た。挫けずにいられた。
ランスロット、貴方に感謝を――――』
抱き上げて、優しく頬擦りする。ランスも気持ちよさそうに目を細め、ご満悦の様子だ。
そんなセイバーらの姿を、いまモニターの前のサーヴァント達が、言葉もなく見つめている。
騙され、お金を無くし、決して良いとは言えない寂しい食事。……それでもセイバーとランスが今、心からの笑顔を浮かべている。
一人と一羽が共に寄り添い、幸せそうに笑っている。
それを、「美しい」と――――
これはとても尊い物だと、彼らは感じるのだ。
『明日からは、また衛宮家での生活が始まります。
きっと貴方も、皆に良くしてもらえる。今から楽しみです』
セイバーは暫し天井を見上げ、じっと思いにふける。
シロウ、リン、サクラ、ライダー、大河――――また家族と一緒に、楽しく暮らせるのだ。
『帰ったら、何を報告しましょうか?
買い物の事、料理の事、そして無人島の事……。
シロウへの土産話は、抱えきれない程ある』
いつのまにやら、ポロリと零れていた涙。それを「いけないいけない」とグッと拭い、彼女がとびっきりの笑顔を浮かべる。
『残り所持金は3円……ゼロではない。
私はこの一か月一万円生活を、やり遂げたのだ――――――』
電気を消し、ランスとお布団に入る。
明日からの生活に想いを馳せながら……、セイバーは眠りにおちていった。
―――一か月一万円生活、終了―――
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~一か月一万円生活、その後~ (ナレーション、衛宮士郎)
『……さ、さあ帰って来ました。なにやら胸がドキドキします』
衛宮家に辿り着き、門の前でソワソワしているセイバー。
魚の入ったクーラーボックス、そしてこの生活で得た大切な友達(雌鶏)。それを早く士郎に見せたくてワクワクすると共に、なにやら緊張してきたのだ。
『こんにちわ……、お邪魔しますも変ですね……。
いけないいけない、ここは主であるシロウの家。私の居るべき家だ。
――――ただいま帰りました! シロウ!!』
勢いよく門を開け、全ての想いを振り切るように一歩を踏み出す。
そこには夢にまで見た愛しの主の姿。出迎えに来てくれた士郎の姿があった。
『――――ッ』
思わず、息が詰まった――――
溢れ出す想いと共に、じんわりと瞳に涙が滲む。士郎の顔を見た瞬間、いままでの思い出が一気に脳裏を駆け巡る。
泣いた事、笑った事、寂しかった事……、そして自分が胸を張って「頑張った」と言える、あの一か月一万円生活の事全てが。
零れ落ちようとする涙を振り切るように、ようやくゴールテープまで辿り着いたランナーのように……、いまセイバーが一歩を踏み出す。
万感の想いを込め、まっすぐに男の子のもとへ。
愛しのマスター、士郎の胸に向かって――――
『し……シロウ!! 会いたかっ……』
――――その時、突然閃光のように駆け抜ける白い影。
セイバーの横をすり抜け、一瞬で士郎の胸に飛び込む何かの姿。
『あ、こらっ、ランス! くすぐったいよっ!
あはは、おかえりランスロット。元気してたか?』
『…………へっ?』
彼の胸に飛び込もうと……駆け出そうとしていた足を止め、ただ茫然とするセイバー。
今彼女の眼前には、もう「はーん♡」とばかりに士郎の胸にスリスリ抱き着く、一羽のニワトリの姿があった。
『お、
『えっ……』
抱きしめてもらえる。やっと思う存分イチャイチャ出来る。それを心の支えとして今まで頑張って来た。
……しかし、いま愛しの士郎の胸にいるのは、自分ではなくニワトリだ。
今まで共に過ごして来た、自らが友として信頼してきたランスロット(雌鶏)である。
『あ……あの? シロウは、ランスロットとは……』
『ん? 仲良しだぞ俺達。
無人島でもセイバーが漁に出てる時とか、俺がランスの世話してたんだぞ?』
(はーん♡ スリスリ♡)
嬉しそうにランスを撫でてやる士郎。「これから一緒に暮らせるな」と暖かな眼差しでランスを見つめる。セイバーにでは無く。
『ん? ……ん?』
おかしい。なんか思ってたのと違う。
セイバーの脳裏に、いくつも「?」が浮かぶ。今の状況が全く理解出来ない。
ふとランスに目を向けてみれば、彼女がいま士郎に抱きしめられながら、確かにセイバーを見て「フッ!」と笑ったような気がした。
⦅――――友情と恋愛は別です、王よ⦆
『 !?!?!? 』
何か不思議な力により、セイバーの脳に直接届いた言葉。
それはランスロット(雌鶏)からの宣戦布告。「彼は私のです」という宣言。
――――――
『 ほ……ほわぁぁぁあああ!! ほわぁぁぁああああーーーーッッ!!!! 』
『お、おい! セイバー!!』
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駆ける、セイバーが駆ける――――
荷物も、魚も、裏切りの騎士(雌鶏)も置いて、彼女が外に向かって飛び出して行く。
『 うわぁぁぁぁあああああ!! うわぁぁぁぁああああああーーーーーッッ!! 』
漫画みたいに涙をまき散らしながら、セイバーが冬木商店街を駆け抜けていく。
それに驚いた顔の八百屋さんやたい焼き屋さんも気にする事無く、駆けていく。
友を失い、主を取られ――――もうセイバーの心はグシャグシャだ。
何をどう思えば良いのか分からない。
『 わああああああああああ!! わああああああああああ!!!! 』
――――とりあえず走ろう! 無人島まで!!
あの無人島に帰ろうッ!!
セイバーはそれだけを想い、再び海へ向かって走って行った。
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「…………おい、映像終わっちまったぞオイ」
「こ……これがオチなの? この一か月一万円の……?」
画面は暗転し、全ての映像が終了した事を示している。
それを見て、驚愕しているサーヴァント達。
「か、彼女の戦いは何だったのですか……? 何の為に彼女は……」
「海へ帰ったと言うのか、セイバーは……」
帰りましょう……海へ帰りましょう……。
まるでそう言わんばかりに涙をまき散らしながら走り去って行った彼女の背中。それが当VTRにおける最後の映像であった。
これが終わりだと示す「完!!」という文字も、画面に表示されている。
「うん、とりあえず終わりだ。みんなお疲れさん」
「 ――――おめぇ思う所はねぇのか!! 何とも思わねぇのかよ!!!! 」
のほほんと終了を告げる士郎に、思わず叫んでしまうランサー。
「えっ? ……あーランスの事だけど、これから衛宮家で一緒に暮らすぞ。
昨日は俺と一緒の布団で寝たよ」
「 そんな事を訊いているのではないッッ!! 彼女はどうなったのだっ!?!? 」
思わずアーチャーも叫んでしまうが、士郎は今ものほほんとした顔だ。
凛や桜や慎二、彼らも苦笑を浮かべつつ、今ものほほんとしている。
「セイバーか? それならもう少しだけ待っててやってくれ。
もうすぐ、ここに来ると思うから」
「セイバーさんは、いま調理場にいますよ♪
頑張ってお魚を捌いてくれてます♪」
「「「 !?!? 」」」
その声と同時に、居間の襖が開く――――
そこから、沢山のお刺身が乗ったお盆を抱えたセイバーが、この場に現れた。
「――――ただいま帰りました皆さん!
今日は皆さんに、私の獲って来た魚を食べて頂きたいのです!」
元気な声、はじけんばかりの笑顔――――
いま衛宮家の居間で、沢山のお魚を囲んでの宴会が始まった――――――
☆スペシャルサンクス☆
猫屋敷さま♪
かのとさま♪