一か月一万円で生活するアルトリア・ペンドラゴン   作:hasegawa

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 なにぃ? 続きが読みたい? 続編を書けだとぅ?

 ――――だ っ た ら 書 い て や る よ ッ !!


 もぉ~う♪ ホントみんな欲張りさんなんだからっ♡
 これで満足かッッ!!







一か月一万円で生活する天津飯。

 

 

『どうも、天津飯だ。今日からこの一か月一万円生活に挑む事になった』

 

 

 衛宮家のTVに、なにやら上半身裸に胴着のズボンだけを履いた男が映っている。

 

『不慣れな事で戸惑いはあるが、やるからには精一杯励むつもりだ。宜しく頼む』

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 そして、それを見て言葉を失っている第五次サーヴァント一同。

 

『さて、まず今後の買い物の方針についてだが。これは友人であるランチのアドバイスに従い、

 小麦粉をメインにいくつもりだ。

 聞く所によると、これさえあれば何とかなるらしい。

 後は光熱費などの節約術については……』

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 モニターの中、淡々と所信表明や今後の方針を語っていく天津飯。

 ちなみにサヴァ勢4人のすぐ傍には、「キャッキャ♪」とランスと戯れているセイバーの姿もあったりする。

 

『日中は極力電気を付けず、太陽の光のみで生活する。

 豆電球などはあらかじめ取り外しておき、不要な時は冷蔵庫のコンセントを……』

 

「おい、坊主よ」

 

 今まで黙ってモニターを見つめていたランサーが、一切の表情を無くした真顔で士郎に声をかける。

 

「こいつは、いったい誰だ(・・・・・・)?」

 

 ――――知らん。ランサーはこの男を見た事も無ければ、名を聞いた事も無い。

 気が付けば、この場に居る4人のサーヴァント達も、感情の無い瞳で士郎の方を見ていた。

 

「……えっと」

 

 士郎は冷や汗をかきながら、ただただバツの悪そうな顔で4人からの視線に耐える。

 

「……ごめん、俺もよく知らないんだ(・・・・・・・・・・)

 なんか今日郵便受けを見たら、この天津飯って人からのDVDが送られて来てて」

 

 士郎は嘘偽りなく、正直に話す。

 俺はこの天津飯なんて人と会った事も無ければ、話をした事も無いのだと。

 

「宛先を間違えたのかな……って思いはしたんだけど、

 何故がしっかりと宛先には俺の名前と住所が書いてあるし……。

 これに同封されてた俺宛ての手紙には、なんか『ご覧になって下さい』って、

 そう書いてあって……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 今もTV画面には、今後の方針や自分の考えてきた節約アイディアをフンスフンスと興奮気味に語る天津飯の姿が映っている。

 セイバーが我関せずといったように、いちゃいちゃランスと戯れる中……4人は一切表情を変える事の無い真顔のまま、ギギギッと画面に向き直る。

 

『買い物はもちろんだが、例えば野草の採取や、

 山の幸を採りに行くといった食料調達も重要だ。

 俺は山での修行経験も多く、食べられる植物についての豊富な知識が』

 

「なぁ、坊主よ」

 

 画面には、今回の挑戦に自信ありげな天津飯氏のドヤ顔が映し出されている。

 それを余所に、再びギギギ……っと士郎の方を向くランサー。

 

「じゃあよ……なんで俺たちは、これを観せられてんだ(・・・・・・・・・・)?」

 

 いま居間のテーブルで、セイバーがランスと一緒にニコニコしながらポテトチップを食べている。

 それを余所に、士郎が目を泳がせながらその問いに答える。

 

「いやっ……あの、手紙にさ? 『どうぞ皆さんでご覧になって下さい』って、

 そう書いてあって……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 感情の視えない、ハイライトの消えた瞳。

 サーヴァント達は三度ギギギ……っとモニターに向き直る。今も自信に満ち溢れた顔で熱っぽく語る3つ目の男の方へ。

 

『世間ではその戦闘力ゆえか、サイヤ人ばかりがもてはやされ、

 俺たち古参のキャラ達に日の目が当たる事は少なくなってしまった。

 だが皆、今一度思い出して欲しい。

 俺を始めとする初期のライバル達が作品を支えてきたからこそ、

 今日(こんにち)のドラゴンボールという作品の素晴らしい大成が』

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 なんかもう、一万円生活と関係の無い事まで語り始めている天津飯氏。その拳はギュッと固く握りしめられ、熱のこもった声で自らの考えを熱弁している。

 

『まぁ世界中にファンを持つドラゴンボールという作品、

 当然サイヤ人以外のキャラの話も、雑談の場に上がる事はある。

 ……しかし俺が許せないのは、その場においても話に上がるのは、

 地球人最強と“世間的には言われている“クリリンと、

 本作のヒロインキャラであるブルマという恋人に逃げられたばかりか、

 サイバイマン戦におけるその情けない死に様が妙に愛されているヤムチャばかり。

 どうだ? これはとても不公平な事だと、そう思わないか?

 セル戦における、命を賭してまで気功砲を打ち続けた俺の素晴らしい雄姿は、

 もちろん今も君達の脳裏に焼き付いている事と強く確信して』

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……なぁ、坊主よ」

 

 ランサーは、三度(みたび)士郎の方へギギギ……っと向き直る。

 

 

「こいつは、何なんだ(・・・・)?」

 

 

 何なんだコイツは。いったい誰なんだコイツは。

 なぜコイツは士郎の家に、この恐らく自撮りであろう自主制作の映像を送り付けて来たんだ。

 

「分からないよ……さっきも言ったけど、俺この人と一切面識が無いんだよ。

 なのに何で俺にコレを送り付けてきたのか……俺が知りたいくらいなんだ」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

『良いか? 本当に称賛されるべきは、そいて愛されるべきは、

 俺のような初期から作品を支えたキャラクターであって、

 決してベジータやトランクスや悟空の子供たちといった、サイヤ人達ではなく』

 

 よく見ると、今モニターに映る天津飯とやらの目には、感情が高ぶっているのか、ほんのり涙が浮かんでしまっている。

 きっと今までの鬱屈や、不遇だった自身の境遇を語っている内に、涙が出てきてしまったんだろう。

 

 ちなみにセイバーは今もランスと共に、のほほんとカラムーチョを食べている。そろそろピザポテトに取り掛かるようだ。

 

『ゆえに今回、この一か月一万円生活という企画へと挑戦してみた次第だ。

 至らない所も多いだろうが、これも俺というDB最大の功労者の復権の為だ。

 ぜひ俺の活躍をその目に焼き付け、大きな声援を送ってくれ』

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 恐らくなのだが……彼はどこぞで「セイバーという娘が一か月一万円生活という物にチャレンジし、冬木市でちょっとした話題になっている」という話を聞きつけたのだろう。

 そして最近はDB本編も終了して暇な事も多いし、そもそもセル編以降はあまり出番も無く暇を持て余していたし……そういった事情からまるでユーチューバーにでもなるようなテンションで「いっちょ自分も」と思い立ったのだろう。

 

 自分を主人公として人気企画をやれば、不遇だった自分の株も復権するハズ。

 そんな二匹目のドジョウ、もしくは勝ち馬に乗るというか……。

 そういった理由で、こちらにすり寄って来たのかもしれない――――

 

 

「「「「…………」」」」

 

 今キャスターが音も無くスッと立ち上がり、ライダーは何気なしというように立ち上がり、ランサーアーチャーも黙ってその場を立つ。

 そして、スタスタと玄関の方に歩いて行った。

 

 天津飯が仲間にして欲しそうにこちらを見ている。

 仲間にしますか?

 

  はい

 →いいえ

 

 

「ちょ……!? ちょっと待ってくれよみんな!! 番組は?! このDVDは?!」

 

「あ~無駄足だったぜ。ここに来りゃ坊主の美味いメシでも食えるかと思ったが、

 あんなモン観せられながらじゃな」

 

「同感だよランサー。別に小僧の料理など食いたくもないが、

 あのような物、観る謂れは無い。」

 

 士郎が慌てて駆け寄るも、もう4人は出ていく気まんまんだ。制止を聴き入れる素振りも無い。

 

「あのね坊や? 私は家事とか宗一郎のお世話とかで忙しいの。

 こんな事で呼びつけられたらね? たまった物じゃないわ?」

 

「ですです。では私は暫く自室で本を読んでいますので、

 また夕食時になったら声を掛けて下さい。

 それまでは、決してノックをせぬようお願いします」

 

「待ってくれって! じゃ……じゃあこれどうするのさ?!

 このワケのわからないDVD,まさか俺ひとりで観ろって……!」

 

『いいか? 子供たちが真似るべきは、決してカメハメ波やギャリック砲ではなく、

 ドドン波や気功砲といった鶴仙人流の』

 

 今もTVからは、まるで涙ながらに訴えるような天さんの声が聞こえている。

 サーヴァント達は「知るかアホ」とばかりに士郎の制止を振り切り、それぞれの居場所へと帰還すべくイソイソと準備にかかる。

 

 だが……。

 

 

『――――ちなみにチャオズは置いてきた。

 はっきり言って、今度の戦いには付いて来れそうにない』

 

 

「「「 お前が言うな! お前がッ!!!! 」」」

 

 

 

 

 

 

 ハモッた。綺麗に全員の声がハモッた――――

 

 みんなこの人を知らないのに。見た事もないハズなのに。

 でもそこだけは「お前が言うな」と、何故か心の底から叫んでしまった。

 

 

 

 ちなみに、皆がこのDVDの続きを観る事は無かった。

 

 

 






 本当にすいませんでした(謝るとは言ってない)

 では改めまして……お読み下さいまして、まことにありがとう御座いました!
 さよなら、天さん。



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