ザンザスが、殺し屋を目指すお話。   作:黄色いうちわ

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    一番最初でございます。ザンザス幼少期です。


 憤怒、事実を知り逃走する。

  

 

    ほんのすこしだけ、お父様のお仕事を知りたい。そんな軽い気持ちだった。

 

 

 

    内緒で忍び込んだ、お父様の執務室。

 

    執務室のお父様の机には、書きかけの手紙があった。来ると、必ず自分と遊んでくれる家光さんへの宛名書き。自分の事が書いてあるのかなと思い、中身を読んでしまった。

 

    自分にとっての絶望がかかれていた。

 

 

    お母さん、貴女は、俺を置いて消えてしまった貴女は、どれほど残酷な事をしたのかをわかっていますか?

 

 

    ぐちゃぐちゃな胸の中に宿った想いは、この場所から、ボンゴレファミリーから逃げ出さないといけないという想いだった。

 

 

    優しいお父様や優しいお兄様と弟から逃げなければならない。あの優しい人達にとって、自分は疫病神そのものだ。

 

 

 

    洗ってもらって保存していた、…棄てる事を進められていたけれど、お母さんが俺にプレゼントしてくれた一番上等の服に着替えた。

 

 

    この屋敷に来てから与えられた物は、すべて置いていく。ありがとうございました。いつか、お金も返しにきます。

 

 

    与えられた知識や技術で、大人になったら必ずボンゴレファミリーに貢献します。

 

 

 

    「あれ、ザンザス君じゃないか。出掛けるのか?護衛を誰かに頼むんだよ。そうだ、兄さんがお小遣いをあげよう。おみやげなんか考えなくていいから、楽しんでおいで」

 

 

    「兄さんばっかりズルイですよ。ザンザス君、僕からもあげるよ。エンリコ、君は飴玉で大丈夫だよ」

 

 

    「ザンザスおにいさま、はい」

 

 

    「あ、ありがとうございますっ」

 

 

    泣き出さずに、お礼を言えたのは奇跡だった。

 

 

   

   優しいあなた達に弟と、兄と呼ばれた事をけして忘れません。あなた達か お父様九代目の後を継ぎ十代目になる事を心から祈ります。

 

 

 

    見咎められぬ様に注意しながら、屋敷を出た。出たところで、声をかけられた。

 

 

 

    「ザンザス、どこに行くんだ?」

 

 

    「…リボーン。今日はお父様の護衛をしないのですか?」

 

 

    「たまにはな…ズル休みだ。ザンザス、悩みがあるのなら聞いてやる。お前は九代目の息子だ。お前の兄弟も認めている。外野が何を言ってもかまうな。お前はガキでも男だ。泣くな」

 

 

    リボーンの言葉に、自分が泣いていると気がついた。ああ、屋敷から出てやっと泣けたんだ。

 

 

    俺は泣きながら、リボーンに伝えた。自分がお父様の血を継いでいない事を。屋敷から、ボンゴレから離れて生きていく事を。

 

 

    「戻れと言っても聞かねー面構えだな。わかった。俺がお前を弟子にしてやる。一人で生きていく強さを持った一流の殺し屋にしてやる。お前はボンゴレファミリー専属の暗殺者になればいい。それで、親父と兄弟を助けてやれば良い。だからもう泣くな」

 

 

     逃走を決めて、一時間いないに、俺は人生の師を得て人生の目標を得た。

 

 

     リボーン先生は、ご自分の隠れ家のアパートの一室を俺に貸し与えてくれた。

 

 

    「本邸の私室と比べたらゴミ箱みてぇなもんだろ?帰りたくなったら直ぐに言え。九代目には、お前が町で迷子になって泣いているのを保護した。泣いて瞼が腫れたのを恥ずかしがっているから治るまで俺が預かると伝えてやる」

 

 

    「…?いえ、お母さんと暮らしていたスラムと比べたら天国みたいな環境ですよ。死体が転がってないしネズミもゴキブリもいない。セックスのあえぎ声も矯声も聞こえないし銃声も断末魔の叫びもない。屋根を支える柱がいつ崩れるかを心配する事もない。リボーン先生がくださったパンも柔らかくて美味しいです。カビても腐ってもいない。まあ、耐性がついたのか、お腹をこわさなくなりましたけどね。…リボーン先生、俺はできたらお母さんを探したいです。たぶん、もうお母さんは自分で命を絶っています。だけど、ちゃんとしたお墓をつくりたいです。ボンゴレで行方つかんでいますかね?俺が偽物と知って預けたのは、俺をまともな環境で育ててやりたいと思ったからですかね」

 

 

     「…ああ、そうに決まっている。もう、寝ちまえ。俺は屋根の上で星を見てるから、なんかあったら声をかけろ」

 

     「はい、おやすみなさい」

 

 

     「おやすみ」

 

 

     精神的に疲れていたのか、夢は見なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

      貧困がみんな悪い。心を病んでしまった母親が気の毒だ。傷つけられた息子は俺が弟子にして守ってやる。

 

 

 

 

     九代目に、ザンザスが全てを知ってしまった事と、俺が弟子にした事を話したら酷く取り乱した。ああ、こいつはこいつでザンザスを息子として愛していたのだとわかった。

 

 

     問題の手紙にも、血の繋がりなどないがザンザスが愛しい。家光、君にもし娘が生まれたのなら私の息子ザンザスと婚約してほしいと続けるはずだったと。…書き終えてから席を外せよ。

 

 

 






リボーン先生はザンザス過保護になります。






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