ザンザスが、殺し屋を目指すお話。   作:黄色いうちわ

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 ザンザス、悪魔を弟にする。


 憤怒、日本旅行をする。5

   「べる、泣け。今、お前は死んだ。美しい死体のお前を報酬でもらった。お前は俺のもんだ。生き返ったお前も当然俺のものだ。お前は俺が連れて帰って育てる。俺の王子なんだから胸を張って生きろ」

 

   「なっ、何を勝手な事を言っているのだっ。俺にこんな事をしてただですむと思うなよ!」

 

   「黙れカス。今死体になるか、《ベル様は殺されていた。死体は救出の報酬として望まれたので渡しました》と告げる為に生きるかを選べ。俺を脅そうなどと考えるなよ?俺はベルを守ると決めた。邪魔をするのなら王族も国も関係なくかっ消す。要らないと否定してきたんだろう?俺には必要だ。だからベルを俺によこせ。俺がベルを愛して育てる」

 

   その言葉が、どれだけ俺にとって嬉しかったか。どれほど救われたのか。あの瞬間に決めた。俺の王様はこの人で、この人がいる場所が俺の生きる国だって。自分を殺し屋だと名乗る人の行き着く先は地獄だ。なら、自分も地獄まで喜んで着いていこう。

 

   ひばりのお父様とお母様も、俺の境遇を知り悲しみ怒ってくれた。日本という大国で、かなりの権力を持っていた二人は、俺を王様の異父兄弟という事にしてくれた。感謝しかない。

 

   異父というのは、王様の生きてきた人間関係が複雑だからだ。俺を王様、ザンザスが巻き込まれる事を恐れている後継者問題から逃がす為でもある。

 

   王様とひばり、ひばりのご両親と一緒に捕らえられていた場所から離れた。

 

   代理人はザンザスからあてられた殺気に動けなくなった。片割れの顔には落書きを残した。もう、会うことはないけど、ザンザスが兄上になるのだから構わなかった。

 

   ひばりとひばりのご両親は、何度も何度も、王様に頭を下げて感謝をしていた。

 

   王様が四人の赤ん坊に誉められて嬉しそうに笑っていた。赤ん坊の一人が、ひばりにそっくりだったので驚いた。ひばりが睨み付けていてちょっと怖かった。

 

   おじいさんと護衛ともすれ違った。王様を誉めていたし、俺の頭を撫でてくれた。だけど、目が険しかった。王様が、「ディーノの、俺の親友のお父様だ。とてもディーノを愛して可愛がっている方だ。これから報復に向かわれる。イタリアから駆けつけるくらいなら、最初から一緒に日本にくればよかったのに」と話してくれた。

 

    ディーノにも会った。

 

   彼は泣いていた。そうして、泣きながら王様に抱きついていた。

 

   恋をしているのがわかった。

 

   とても綺麗な人だった。

 

   ディーノを馬鹿にされた事にすごく怒っていたザンザス。

 

   だから、ザンザスもディーノを愛していて恋をしているのだと思った。

 

   「ほほえましいよね」

 

   「ししし。おうじがあのふたりのなかがしんてんしたら、ひばりにおしえてやるよ。けっこんするときにひばりとおうじでうたをうたってやろう」

 

   「うたか。いいね。いたりあごをまなんでおこうかな。ざんざすやべるみたいにすうかくごをはなせるようにならないと」

 

   「おうじにできたんだからひばりにだってらくしょーだよ」

 

   そんな会話をしていたけど、ザンザスのお父様達が俺とひばりに説明してくれた。

 

   魔王ザンザスの魔王の由来が、乙女ディーノの健気な恋心にまったく気づく事がないあんぽんたんでぽんこつぼくねんじん系の残念魔王だと。

 

   「「そんなばかなことがあるものかっ。あんなにつよいんだ・よ/ぞ」」

 

   ひばりと声がハモった。

 

  だけど、四人の赤ん坊と三人の護衛は悲しそうな表情になった。そして、幼い恋人同士に視線を向けた。

 

   「ディーノ、親友で兄ちゃんの俺が心配だからって泣くなよ。もう、ベルやひばりという弟分ができたんだから泣くなって。ほら、ちゃんと自分が女の子だけど、立派なボスになる為に男の子になっていますって説明してこよう」

 

   「…なあ、ひばり。おうじはぜんりょくでおうさまとおひめさまのこいをおうえんするんだ。おまえもおうさまのけつをいっしょにけらないか?おうじのともだちになってくれ」

 

   「いいよ。でも、きみとはもうともだちだよ。かれはつよい。つよいくせににぶくてじょせいをかなしませるなんてうつくしくない。いっしょにがんばろうね」

 

   「あ、ありがとうっ。ひばり」

 

   兄と養父達と、友達ができた。未来の兄嫁の恋を応援し隊に入団した。

 

   「どうした、ひばり。なんかへんなかおをしているぞ?」

 

   「なにかをわすれているきがしてね?」

 

   「あ、おたがいのれんらくさきだな。ボスたちにきいてくる」

 

   「それだねっ。いたりあにあそびにいくから、きみたちもにほんにあそびにくるんだよ」

 

   「あたりまえだって」

 

   ひばりとはずっと仲良しの友達になった。

 

   ザンザスは殺し屋になりたいみたいだけど、マフィアのボスも天職だと思う。俺はマフィアのボスに、王様になってほしい。だから、殺し屋ザンザスとマフィアのボスのザンザスに飼われる悪魔になろうと決めた。

 

   で、ひばりにはマフィアのボスになったザンザスの相談役になってほしいと思っている。ボスは冷静で冷酷でカッキーけど、家族やお姫様を侮辱されるとブチ切れを起こすから、冷静なストッパーがほしい。

 

 

         ※※※

 

   初任務における、ザンザス坊っちゃんの装備は親のエゴが濃縮&凝縮されていた。

 

   パンツ一枚状態の時に、虫除けスプレーを吹き掛ける。この段階で笑いたかったが、ディーノ坊っちゃんがディーノお嬢様だった時のハイキング前もこうだったなと思い出して切なくなった。

 

   《えっ?これっておかしくないですか?》

 

   ザンザス坊っちゃんは目で俺達に訴えていた。

 

   「ザンザス、これで虫刺されの心配はないな。よかった。俺もハイキング前はこうだから大丈夫だ」

 

   …ディーノ坊っちゃん、うちとボンゴレだけのお話しだから余所のファミリーの前では言わないで下さいね。

 

   「そ、そうなのか。まあ、先生達の指示だしな」

 

   諦めたらそこで終わりですぜ、ザンザス坊っちゃん。

 

   着々と準備を整えていくザンザス坊っちゃん。纏う空気も目の鋭さも変わっていった。

 

    純粋に欲しいと思う。

 

   正式に婚姻が結ばれれば、ドンナ・ディーノの婿君としてキャバッローネファミリーに入ってくれる。だけど、叶うのなら今すぐに、このたぐい稀なる才能を持つ戦士が欲しかった。

 

 

   「装備完了。地図と見取図は頭に入れた。…カメラとマイクをつける意味はなんだろうな?近くに先生達とボンゴレ医療班がいてくれるのに」

 

   「何でかな?あ、携帯電話を持っても安全にならないと使えないだろう?その時までの保険だよ。カメラは敵の数が多かった時に、直ぐに助けにいけるようにだよ」

 

   「そっか。そうだな。でも、聞かれてしまうとわかると、鼻歌とか泣き言を言えないな。気を引き締めていかないとな」

 

   「がんばれっ。まったく、ペットじゃなくて要人救出じゃないかっ。危なくなったら逃げてくれよ。怪我をしないようになっ。神様に無事を祈っているからっ」

 

   「ありがとう。でもな、ディーノ。頼むからわ・ら・え・っ・!。泣くなっ。俺が死ぬフラグを立てるなっほら笑えよ!」

 

   「いひゃいいひゃい笑うからほっぺをのばすなよっ」

 

   いいぞっ。もっとやれっ。俺達が和むからもっとやれ(*´ω`*)

 

 

   …だが、ザンザス坊っちゃんの父親達の愛が、うちのボスの愛に重なっていて…完全に同調していてドン引きした。言えない。ザンザス坊っちゃん、あんたに怪我をさせたり暴言を吐いた奴等の面を覚えて報復するためですよって。

 

   これってさ、両刃の刃なんだよな。

 

   場合によっては、パーティで、ボスがいきなり鬼の形相になって、子供専用の会場に愛銃二挺持って走り出した時の再現じゃないですかやだー。ボス一人でも止めるのに満身創痍になったのに、今回は四人だなんてムリゲーですって。

 

   ボスは途中で乙女座りをして、

 

   《うんっ。ディーノちゃん惚れた?惚れたよね?うん。パパもわかるよ。ボンゴレ子息三匹と害虫を一掃しようと思ったけど、うん、王子様がディーノちゃんを守ってくれるのなら、パパは別のお仕事をするね。ああんっメイドさんっ。ディーノちゃんに優しくしてくれてお風呂に入れてくれるのはありがたいけど、イヤリングとネックレスとティアラはとらないでっ。ディーノちゃん視線とディーノちゃんの聞いた声が聞こえなくなっちゃうからっ」

 

 

   愛息子の初陣を心配して盗撮盗聴する父親達と、外出先で離れてしまう愛娘を心配して盗聴盗撮する父親。

 

   そっか、同じ穴の狢かぁ。

 

   父親達が似た者同士だから、ザンザス坊っちゃんとディーノ坊っちゃんは仲良しなのかな。

 

 

   ホテルで、ザンザス坊っちゃんの活躍している姿・ザンザス坊っちゃん視点を見た。

 

   ただただ、感嘆のため息しかでない。この完成された暗殺者が、まだ十歳の少年だとは信じられない。

 

   一緒に見ているディーノ坊っちゃんは映像に釘付けだ。

 

   アルコバレーノ達も満足そうに見ている。

 

   「戦っているときの乱暴な口調もかっこいい…。あ、そっか…俺はやっぱりザンザスにふさわしくないのか…」

 

   「ディーノ、馬鹿な事を言ってんじゃねーぞ。ザンザスブチ切れてるじゃねーか。好いてもいない人間の為に怒るほど殺し屋は暇じゃねーよ」

 

   「そうだぜ、科学者は常に理知的でないとダメなんだ。惚れた人間か家族や仲間の侮辱に対しては怒る事を許している。お前はザンザスにとって大切な存在だ」

 

   「ありがとう、リボーンにヴェルデ」

 

   リボーン先生とヴェルデ先生ナイスフォローです。あの暴言吐き野郎は許さん。

 

   ボスにもリアルタイムで聞かれているから、自殺して早くあの世に逃げればいいのに。

 

   人質の居場所を聞いたザンザス坊っちゃんが向かった部屋には、要人はいなかった。代わりに少年となぜか家光がいた。ナンデヤネン。

 

   「ザンザスっ。やっぱり貴様が黒幕かっ」

 

   殴りかかってきた家光を殴って気絶させたザンザス坊っちゃん。

 

   「「「家光の野郎。なんでまだ生きてる?売られて掘られてばらされて魚の餌になっている時間だろうに。まさか誘拐されたのか?チッ、使えない奴等だな」」」

 

   「なんだよ、風。なんでいきなり俺の耳を塞ぐんだ?」

 

   「いえ、つい。幼い子供に聞かせる内容ではありませんから」

 

   ありがとうございます風先生っ。俺は風先生に感謝をした。

 

   ちみっこのひばり君とベル君がザンザス坊っちゃんになついた。…ディーノ坊っちゃんは送られてきた監視カメラ映像を見て溶けた。俺達も目を奪われたからな。ザンザス坊っちゃんに恋をしているディーノ坊っちゃんなんて瞬殺内容だ。あーあ、マジで戦力として欲しいわ。

 

 

   ひばり君のご両親とベル君達の代理人がやって来た。ひばり君のご両親は善良な方達だったが、代理人は糞だった。聞いてもいないのに、ベル君を如何に不当に差別してきたのかを誇らしく語る。純粋に死ねと思った。

 

   ザンザス坊っちゃんのブチ切れと宣言には、満場一致で喝采があがった。

 

   ほんとに、強くてかっこ良くて優しくて真面目で謙虚なのに、恋愛面では鈍さに定評のある魔王様で困っちゃう。

 

   ひばり君とひばり君のご両親、ベル君が《ザンザス/坊っちゃん/君/お兄さん/ボス・王様とディーノ/坊っちゃん/君/ちゃん/さんの恋を応援し隊》に入隊してくれた。ありがたい事だ。

 

  ちみっこ二人にもアルコバレーノ達が護身術を教えていくらしい。ちなみに風先生いわく、ひばり君とは遠縁にあたるらしい。




 

  増えていく、隊員達。
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