主君に甘えてもらえましたね!
日本滞在も今日で終わりだ。
初任務も無事に終わらせる事ができ、ベルフェゴールを弟にした。ひばり君とも友達になれた。
日本は、食べ物が素晴らしかった。露天温泉も良かった。
剣術も柔道も空手も合気道も弓術も槍術も薙刀も見学させてもらった。相撲はひばり君のご両親が国技館に連れていって下さった。土俵近くの席って迫力が有りすぎて少しだけ怖かった。
偽物だけど、侍と忍者を見れた。江戸村と撮影村に行って正解だった。日本旅行は本当に楽しかった。
…わかっている。逃げていた。ごめんなさい。家光さんが、消えたままだ。きれいに忘れていた。だってさ、ボンゴレ医療班が家光さんを回収すると思うだろ?家光さんはボンゴレファミリーのNo.2だ。お兄様達が未成年者で、後継者が定まっていないいま、ドン・ボンゴレの次に優先し守られるべき存在だ。
意識を刈ってから、建物から離れた場所に寝かせておいた。
マイクでも《家光さんを確保。回収をお願いします。俺は任務を継続します》と伝えたし、任務終了後も医療班が俺と人質だった子供達の健康状態を診てくれたし。家光さんを回収して治療してくれたと思うじゃないか。
ほんと、どこに消えてしまったのかな?家光さん。
先生達も様子を見に来てくれた九代目のお使いの方も《気にしなくて大丈夫です。初任務お疲れ様でした》労いの言葉をかけてくれただけだった。
…家光さんは、俺と違って大人だ。きっと自分の部下を呼んだか自力で帰宅したはずだ。
そう。この沢田家のチャイムを鳴らせば出てくるはず。
《遅いぞ、ディーノにザンザス》と不機嫌そうに言いながら。
「ザンザス?大丈夫か?なんか、眉間に皺が寄っているぞ?」
「あ、ああ。大丈夫だ。ごめんなディーノ。さ、チャイムを鳴らそう」
「あ、俺が鳴らしたいっ。呼び鈴押したいっ」
正しく箱入り娘なディーノには初めての経験なのだろう。俺が泊まった部屋のノックも護衛の兄さんの様だし。いつでも一生懸命で頑張りやさんだよな。俺も見習わないと。
「良いよ。でも、連打は駄目だからな。玄関までの移動距離を考慮しないといけないぞ」
「わかる。わかっているよ。お父様は俺の歩く遅さとか部屋の広さも考えてくれないんだ。たいていドアを蹴り破って《ディーノたんっ!パパが助けに来たからもう大丈夫だよ!》と叫びながら入ってくる。で、控えの部屋にいた俺の専用メイド達に叱られるんだ。お父様のねえやのばあやが俺の部屋にいた時は、泣くまで叱られてた。大丈夫だよ。俺の座右の銘は《他人からされて嫌だった事は絶対に相手にしない》だから」
俺の弟妹分で親友のディーノが尊い。
「ディーノは、偉いな。親友として誇らしいよ」
「褒めすぎだよ。でも、嬉しいよ。ありがとう」」
ピンポーン。ガチャ。
押した直後に、ドアは開かれた。
早すぎる。ドアの内側で待機していたのか?
「いらっしゃいませ、ザンザス様、ディーノ様。お待ちしておりました。さあ、中にお入り下さいませ。裏切り者、いえ。家光氏の狭いウサギ小屋ですがどうぞおくつろぎください。ザンザス様、此度のご活躍素晴らしかったです。このオッタビオ感服いたしました」
「いらっしゃいませ。ディーノ様、ザンザス様。お待ちしておりました。ディーノ様っ。ご立派になられてっ。家光めのご内儀は善き方かも知れませんが、念のためクレアがお側に控えております。お心を強くもって会談にお臨み下さいませ」
バタン。
玄関を閉めた。で、ディーノ/ザンザスと手を繋いで走った。行き先は途中で見かけた公園だ。
なんで?なんで?オッタビオさん/クレアが日本に沢田さんのお宅に執事服/メイド服でいるのっ!?奈々さんは?家光さん/家光はいったいどうしたの?
全力疾走したからツライっ。
「ごめんディーノ。なんか、日本に居ちゃいけない人がいた」
「ごめんザンザス。なんか、日本に居ちゃいけない人がいた」
「「オッタビオさん/クレアは優しくて頼りになる大好きな人なんだけど、俺に対してかなり過保護で忠誠心が強すぎるんだっ。助けてっリボーン先生っ/ロマーリオっ」」
「「呼んだか?ザンザス/ディーノ坊っちゃん」」
呼んだら現れてくれた、自分達の真なる保護者に抱きついて泣きついた。
そうして、沢田家でスタンバっていた日本にいてはいけない忠臣を見たことを話した。
だって怖かったんだ。日本にいないはずの真なる忠臣が、日本に来ていて被害者女性(彼と彼女からしたら、一族郎党連座待ったなし。うちの主君の敵に慈悲は無いよ。当たり前だよね)にどんな態度をとってどんな酷い暴言を吐いたのかなんて考えたくなんかなかった。俺達はまだ十歳と八歳だっ。泣いている(確定)大人の被害女性を慰める方法なんかわかんねーんだよっ!(逆ギレしまくる子供達の図)
「えっ。マジでクレア嬢ちゃんがか。…うちのNo.1戦闘メイドじゃねーか。俺達三人で止めれるか?いや、ムリだな。ボスにだって無理だ。…ディーノ坊っちゃん、毅然とした態度でクレア嬢ちゃんに《イタリアのキャバッローネ本邸にて俺の留守を守れ》と命じるんだ。クレア嬢ちゃんの忠誠はディーノ坊っちゃんにだけにある…泣かないで下さいディーノお嬢様っ」
「オッタビオがか。あいつもな、家光がぶっ壊れた日と同じ日にぶっ壊れたからな。
《間違った。間違ったんだ。完全に間違った。ザンザス様を裏切ってしまった。間違った間違ったんだ。忠誠を誓い愛していたのになぜ裏切ってしまった?なぜ私は穏健派などを選択した?ボンゴレを解体?馬鹿がっ。なんてことをしたなんてことをしてくれた。伝統を歴史を軽くみるなっ。マフィアとしか生きられない、マフィアとしか存在できない人間だっているのにっ…許さない許さないっ。九代目に家光、お前らの選んだ後継者はボンゴレを完全に潰したぞ。潰した潰すくらいならザンザス様がお継ぎになっても良かったではないかっ。違う違う。私が裏切ったからだ。ザンザス様ザンザス様貴方が正しかったっ。貴方こそが真理を理解していたっ。償わないと償わないと私の命をかけて、いや私は貴方の為だけに生きる生きて貴方の幸せだけを祈りその為だけに尽力いたします貴方を愛しています貴方だけに永遠の忠誠を捧げます》
なんて言い始めた。父親としては子供に近づけたくねーランキング一位になっちまったな。…ディーノの儀式の日に家光の暴言を聞いて無表情になっていたから…ザンザス、お前の大好きで信頼しているオッタビオが、お前がオッタビオと同じくらいに大好きで信頼している家光を殺していたらどうする?泣くなっ。俺が悪かったっ泣き止んでくれ」
ザンザス/ディーノと声をあげて泣いた。泣いて泣いて泣きつかれてうとうととし始めたら、一番安心できる温もりに後ろから包みこまれた。だから温もりに抱きついてから寝た。俺達はまだ子供だ。だから大人に甘えても許されるんだ。(子供達の主張)
次に気がついたら、イタリアのアパートのベットにベルをまぜた三人で寝ていた。
リボーン先生/ロマーリオの頬に複数の赤い紅葉ができていた。なんとなく誰が犯人達なのかを察した。オッタビオさん/クレアは居なかった。ほっとしたような寂しいような……。いやいや、いつまでもオッタビオさん/クレアに甘えていてはいけない。
ひばり君/ひばりと直にお別れできなかったのと、ひばり君/ひばりのご両親にお礼をいえなかったのが、日本旅行の心残りだった。沢田家で謝罪を受けるイベントなんて最初から旅程に含まれていなかったんだ。いなかったんだよ。うん。俺/ザンザスは最初にひばり君/ひばりを救出して、それから要人二人を救出したんだよ。俺/ザンザスは頑張った。家光さん/家光?旅行前も旅行後も、最近はお会いしていませんよ。(子供達の現実逃避)
※※※
日本において、俺は初任務を無事に達成することができた。
で、俺は今恐れおののいている。
リボーン先生から渡された、俺名義の通帳。それには、俺が始めて目にする大金が記帳されていた。
「ザンザス、受け取れ。お前に渡された成功報酬だ。この金額に見合う仕事をお前は成し遂げた。胸を張って受け取れ。返すなんてバカな事を言うなよ。これは正当な報酬だ。殺し屋なんてもんはこんな報酬当たり前の世界なんだからな。自由に使え。だが、薬と酒に手を出す事だけはまだ許さんぞ」
無理です。自分には無理です。こんな大金自分には無理です。薬?酒?無理です無理です無理です無理です。俺はお薬でラリってる馬鹿に殺されかけました。お薬怖い絶対ダメ人間です。お酒も無理です。殺されかけた時の酒臭さに未だに嫌悪感があります。お酒は一流の暗殺者になれた時の祝杯までは飲みません。飲みたくありません。
返すのもダメ。…どうしよう、どうしたら良い?貯金か…そうだ、貯金をして、ディーノとベルと、お世話になっている人達全員に感謝の気持ちとしてプレゼントを贈ろう。で、九代目とリボーン先生に養育費と生活費を渡す。うん、そうしよう。思い付いた考えは、とても素敵に思えた。
プレゼントと一緒に、感謝の気持ちを手紙に書いて贈った。勿論、ひばり君とひばり君のご両親にもプレゼントと手紙を送った。ベルとひばり君も文通を開始した。なんか、微笑ましくて羨ましく思った。
俺の世話役をしてくれていたオッタビオさんにも、俺が九代目と血の繋がりが無いこと。御曹司としてではなく殺し屋として生きていくこと。何の相談もしないで本邸を去ってしまったこと。世話役になってくれてマナーや常識を教えてくれて助かりました。ありがとうございますとお手紙を出して万年筆を贈った。
ディーノもクレアさんに感謝のお手紙を書いて、ディーノが作った焼き菓子を贈っていた。
※※※
ザンザスから頼まれた、ザンザスからの贈り物と手紙をボンゴレの本邸と本部に届けてやった。
ほぼ全員が喜んでいた。
三人の御曹司とオッタビオは特に狂喜乱舞していて、ぶっちゃけ引いた。俺達父親と教師を兼ねたアルコバレーノを見習って静かに喜べないものだろうか?
四人、いや、みんなとは真逆で、九代目だけは一人で燃え尽きていた。御愁傷様としか言えない。ザンザスがボンゴレに引き取られてから、俺のアパートに来るまでにかかった生活費や養育費を、丸っと全額+利子+謝礼金を返金されちまったからな。因みにオッタビオが見積書をザンザスに渡していやがった。
そう。もう、ボンゴレファミリーは、ザンザスに借りを返されちまったのと同じようなもんなんだ。
さあて、ザンザスはもう俺達アルコバレーノの息子なわけだな。九代目、ザンザスは俺達アルコバレーノが面倒を見るから安心してくれ。しかし、まだオッタビオがいやがるな。でも、なんか俺達ザンザスの保護者とディーノとベルには無害で友好的だから大丈夫だろう。ベルはなんか一方的に嫌っているが。なんでだ?お前は家光やオッタビオみたいに変な電波を受信するんじゃねーぞ。ザンザスが悲しむからな。
ザンザス氏 「カス共、使えそうなオッタビオが登場したぞ。ディーノにもオッタビオの女版のメイドがいるみたいだ」
ザンザス氏の守護者達「なにそれこわいっ」
家光氏 「待ってっ。俺はどうなった!無事なのかっ?」