ザンザスが、殺し屋を目指すお話。   作:黄色いうちわ

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   王子と教師は激怒した。




 王子と教師の憤慨。

 

 

  自分が生きてきた世界が、異常で不幸だったとわかった。

 

   自分は今、正常で幸せな世界で生きている。

 

   王族としての生活とは違う生活。王族とは一転して暗殺者見習いだ。でも、こちらの方がずっと人間らしく生きられている。

 

    家族愛や隣人愛、友愛で満たされているのだ。

 

  俺は今、笑っている。嘲笑ではなく心の底から笑えている。家族や友人と他愛ないことで一緒に笑えている。それが、どれほど嬉しくて幸せなことか。俺がずっと望んでいたものが、いま、ここにある。

 

   近所に住む子供達と一緒に遊ぶ。姫と一緒に料理やお菓子作りに挑戦する。ボスと一緒に買い物をする。ヴェルデに勉強や化学を教わる。風にパンダや中国武術について話してもらう。コロネロにイタリアや軍隊について教えてもらう。リボーンに護身術や世界史を教えてもらう。ボスにお母さんの事を聞く。ボスと姫に絵本を読んでもらう。姫のお母さんに服を買ってもらう。姫のお父さんに男の美学を教えてもらう。姫の護衛のお兄さん達とため息をついたり和んだりする。学校に通う。ひばりと文通をする。ボスと姫と一緒に訓練を行う。ボスに姫からの恋心に気づいてと念を送る。ひばりに会いに行って遊んで、遊びに来てくれたひばりと遊ぶ。

 

   毎日が楽しくて楽しくて幸せだ。寂しいと、寒いと感じていた場所は温かくなった。

 

   全部、ボスがくれた。

 

  ひばりを抱っこして現れた王様が、俺を幸せにしてくれた。ひばりが俺の隣に座ってくれた。対等な友達になってくれた。

 

  嬉しくて幸せな世界。でも、やっぱり嫌なことはある。

 

   《家光》と《オッタビオ》この二人が嫌だ。

 

   家光はボスを嫌っているから嫌だ。昔はボスを可愛がっていたけど、少し前からボスに対して意地悪になったと、リボーン達が困った顔で教えてくれた。

 

   オッタビオを見ると、マジで駄目だ。本人は俺に対して優しいし親切だ。ボスに絶大の忠誠を誓っているのが、見ていてわかる。ボスを裏切るくらいなら笑いながら、自分の死を選べてしまうような狂人だ。

 

   世界で一番、ボス・ザンザスに忠誠を誓い、けして裏切らない存在。それがオッタビオだと言えてしまうくらいだ。

 

   だけど、それが俺には許せない。

 

   お前じゃない。その場所はお前にだけは譲らない。お前は俺達とは違う。お前は俺達とは違う。お前はボスを裏切った。一番近い場所にいたくせに、一番最初からボスを守っていたくせに俺の王様を俺達のボスを裏切ったじゃないか。俺達を裏切った。俺達を置いていなくなった。ボスが待ち望んでいた弁解も謝罪もしないで毒を飲んで勝手に死んでしまったじゃないか。自分が許せないだなんて、自分が全部考えてボスに濡れ衣をきせたなんて手紙を残してあんたの死体を渡せなんていう奴等から、あんたの死体を守るために炎を使わざるを得なかったボスに謝れよ。

 

   …なんであいつを見るとこんな言葉や思いが浮かんでくるのだろうか?最近では夢をみる。ボスに従い暗殺者として生きる自分と顔のぼやけた仲間達。最初から男性なままの姫、ボスの近くで献身的に尽くすオッタビオ。クーデターを起こし失敗する俺達。氷に閉じ込められてしまうボスの姿。氷に閉じ込められて眠り続けるボスの前で泣くオッタビオと俺達の姿。現実と虚構の区別がつかなくなり、静かに狂っていくオッタビオ。それに引きずられかけ、狂いはじめる※※※※※と※※※。止められない自分達の無力さ。目覚めたボスに喜ぶ俺達。未来へと生き、歩き始める俺達と違い俺達とは違う場所へ行ってしまったオッタビオ。心臓を足を腕を無くしたボスと※※※※※。※※※※の呪いを解くための戦い。解けて平和に穏やかに過ごせる静かな毎日。やきもきしつつ、見守っていたボスと※※※※※の結婚。幸せなのに、満たされているのに彼が彼だけがいない世界。

 

   …夢は夢だ。俺の王様は、俺のボスは、ボンゴレファミリーや九代目を大切にしている。クーデターなんか起こさない。だから大丈夫。親バカなアルコバレーノが、ボスを止める…か協力してクーデターを成功させる。オッタビオも、ボスがクーデターを考えたら、実行前にクーデターを成功させて、ボンゴレファミリー十代目の椅子を献上してくる。

 

   だから、俺は夢の中の事はあまり考えない。囚われてしまうよりは笑い飛ばした方がずっと前向きだ。前世とか、違う世界の俺達の関係なんだなくらいでいいと思う。

 

   家光と違って、ボス至上主義者な狂信者だから、俺が撮ったボスの写真を売って日本への旅費を貢がせよう。うん、我ながらいい考えだ。流石は王子じゃん。

 

 

           ※※※

 

 

   俺のベルと俺のオッタビオさんは、なんか仲が微妙だ。

 

   歩み寄ろうとしているオッタビオさんだけど、ベルの

 

   《…おっさんはさ、今回は、王子の王様を裏切らないよね?ああその…あんたは王様を裏切るくらいなら、平気で自殺だけを一択するのは知っているしわかっているよ。だけどさ、前もだけど今回の王様は優しい人だよ。悪かったと思ったら素直に謝ろうね。

 

   前も《オッタビオのカスは仕方がない奴だ。まあ、ザルな計画を立てちまった俺も悪かったな。カスが謝罪したら許してやるし守護者のままにしておいてやるか》と言っていたしさ。謝れよ。狂って服毒自殺なんか選びやがって。馬鹿。残された俺達やボスがどんだけ泣いて悔やんで悲しんだか。泣きながらあんたの死体を燃やしたボスに謝れよ》

 

   発言を受けて固まった。フリーズした。リボーン先生がため息をついた後に、タクシーを呼んでボンゴレファミリー本部へ着払いで届けていた。

 

 

   で、オッタビオさんの俺達の自宅訪問の回数は増えた。が、野生の勘でベルが在宅時は来ない。ベルもベルで、ちょっと気まずそうにしていて、なんか可愛い。

 

 

   俺としては、弟のベルの可愛い前世ごっこの内容が超絶気になった。前世ごっこの中の俺の傲慢さに引きました。ええ、ドン引きです。えっ?この憤怒の炎って、人の肉体も燃やせてしまえるのですか?やだっ。怖いっ。リボーン先生達が、そろそろ憤怒の炎について訓練をはじめると言っていたけど、真剣に訓練しないと。

 

         ※※※

 

 

   リボーンさん、毎回毎回突っ込みとフォローをありがとうございます。

 

   お代官様、リボーン様。お手元に届きました小切手は、わたくしからのお礼の金子でございます。ええ、純然な感謝の気持ちでございます。

 

   《ベルの言っていた事はほんとか?盗聴の心配はいらねぇ。正直に話せ》

 

   ええたぶん。正直、クーデターの失敗は解りきっていましたし、情報をリークしてザンザス様とあの子供達の助命は約束されていました。クーデター前に猛反対をして、ちょっとザンザス様と子供達のご機嫌を損ねてしまったけど、大丈夫。私から謝るし。そんな風に軽く考えていました。

 

   …だけどね、ダメでした。

 

   ザンザス様を筆頭にして、幹部のあの子達、ヴァリアーの隊員達は善戦しすぎたんです。

 

   十代の子供達が本部を襲撃し、全壊近くの損害を出し、九代目の守護者を征し九代目とザンザス様の一騎討ちにまでに行ってしまったんです。

 

   《ヴァリアー隊員の、俺達の帰還をヴァリアー本部で待っていろ。勝利を持って帰るからな》

 

   《後方で俺達の支援を頼む》

 

   《王子とマーモンの活躍を見てなよ》

 

   《君が残ってくれているから、僕も全力を出してくるよ》

 

   《行ってくるわ。ボスとあの子達は私が守るわ》

 

   《オッタビオ、行ってくる。俺は十代目のボス・ボンゴレになる。お前らの期待に応えてやる。お前達はどこまでも、地獄の底までも俺についてこい》

 

   …裏切らない選択を選べば良かった。信頼に答えて、一緒に怪我をすれば良かった。ボロボロになるまで傷つけば良かった。地位も名誉も捨てれば良かった。こっそりと後をついていって盾になって死ねば良かった。ザンザス様とともに氷に閉じ込められて、それこそ永遠の眠りにつければ良かった。

 

   私が見たのは、傷だらけで放心している子供達と隊員達。

 

   物言わぬザンザス様でした。

 

   まさか、この私が狂うとかね。…狂っていたなんて。まあ、所々記憶があったり無かったりしていた時点で、既に私は壊れていたのでしょう。たぶん《ザンザス様の憤怒の炎で消されて死んだ記憶》は、私の願望で、狂った私の最後の妄想でしょうね。

 

   ああ、本当に私を着払いで送って下さいましてありがとうございます。

 

   あのままだったら、ザンザス様から、私を心配する声をかけられた時点でザンザス様の目前で謝罪をして、拳銃自殺をしていましたからっ。ザンザス様とベルのトラウマ待ったなしなんて許せません。

 

   ベルの言う世界が、私の死後にあったのなら、私の犯した罪は重すぎますね。結局は償いなどではなく自己満足でしかなかった自殺です。

 

   ああ、そんな慰めの言葉はやめて下さい。

 

   …ザンザス様から賜る死と老衰からの死、ザンザス様の身代わりとなっての死以外はもう選びませんから。約束します。 

 

   でも、私や家光の馬鹿以外にも記憶持ちや記憶がどこかの世界の自分と繋がっている人間はいるのですね。

 

   …ザンザス様がこれから出逢う《ザンザス・様大好きっ子》達に記憶があったりしたら、私袋叩きになってしまいますね。いやあ、幼いベルで良かった良かった。

 

   《されてやれ。お前はトラウマ量産機械じゃねーか。自分を責めた結果狂っちまって非業の死をむかえた可哀想な兄貴分が、ヘラヘラと幸せそうに笑って自分達の大好きな主にお仕えしていたら誰だってキレて殴りかかってくるぞ。猛省しろ》

 

 

   …やっぱりマズイですかね。私としては、狂っていたとしても幸福の中で満足して死んだのですが。それに、私は昔っからザンザス様の前では常にヘラヘラと幸せそうな満面笑顔でしたし。

 

   生まれ変わって、ザンザス様の未来を知り、ザンザス様に関連した作品を読みまくって幸せな毎日を過ごせてハッピーエンドな人生でしたし、今は前と比べて強くて知識のあるニューゲーム状態なのですが。

 

   食いついてきましたね。それでこそザンザス様の父上っ。ええっ。たくさん読みまくっていましたよ。

 

   ザンスクにスクザン、ザンベルにザンマモ。ザンレヴィにザンルッスリーア。あのくそ家光の遺伝子継承者ともありましたしおぞましくもろうがいとのもありましたが、それらは見てません。見たくない。ザンザス様の相手はうちの可愛い子供達が良い。個人的な見解ですが。

 

   《地雷回避は自己防衛》に繋がりますからね。《私の萌えは誰かの萎え。私の萎えは誰かの萌え》腐男子・腐女子・貴腐人・腐男の持つべき嗜みですよ。

 

   ザンザス様に関しては、ザンスクにスクザンが主流でしたね。

 

   リボーンさんのはけっこうありますよ。流石は主人公の一人。

 

   えっ?私の聖書ですか?勿論、ビオザンにザンビオですね。あまあまな作品を神のサイトのキリ番ゲットして描いてもらいました。ツンデレなザンザス様尊いっ。私と真実を知り絶望したザンザス様が駆け落ちして幸せになる系の話が一番萌えました。エロ系の方は、ザンザス様が尊いので手を出しませんでしたが、悪友が私の誕生日にプレゼントしてくれた一冊がエロでした。十五才のザンザス様を私が無理矢理に近い形で和かん…カチッ…えっ?何故安全装置を外す音がしましたか?り、リボーンさんっ何故私の部屋にいますか?ま、待って下さいっ。それって特殊弾ではなく実弾ですよねっ!や、止めてくださいっ!し、死んでしまいますっ。逃げますっモスカ、今すぐ私の部屋に来てくれっ。助けて下さいっ。

 

   「オッタビオ。てめぇは俺を怒らせた。死ね」

 

 

 

   結局は、私は全治三ヶ月になった。ザンザス様にお会いできなくてつらいっ。モスカの機動力をあげないと。

 

 

 

  






  家光氏 「あれ?ザンザス、今日は幹部達はどうした?」

  ザンザス氏 「…墓を汚しやがったからな。罰として沢田とディーノとお父様の護衛に二週間させた。静かな内に仕事を片付けて、奈々に詫びに行く。家光、テメェも来い。…神様に感謝してねぇでコーヒでも煎れてくれよ家光お父様(棒読み)」

  家光氏 「オッケーマイサンっ!」

  ザンザス氏ラブ勢力 真に遺憾である。

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