ザンザスが、殺し屋を目指すお話。   作:黄色いうちわ

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   無意識で甘えまくるザンザス氏。  


 幕間・繋がった世界の話。2

   

 

      夢を見ていた。

 

   残酷なくらいに優しい夢を。

 

    夢の中で、眠ってしまった俺を、オッタビオがベットに寝かせてくれていた。

 

   おやすみなさいのキスを額にもらって…当たり前の様に与えられていたもの。俺には二度と与えられないその無くしてしまった幸せに泣いた。

 

   「ザンザス様、おやすみなさいませ。大丈夫、あの子はちゃんと守ってきますから、安心しておやすみ下さいませ」

 

   涙を拭う指の暖かさに、睡魔に逆らい目をあけた。

 

   懐かしい、秀麗な顔が視界にあった。ああ、幼い自分からみて大人だった彼は、こんなにも年若い青年だったのだ。

 

   そして、数年後に彼は自らの命を絶つ。俺の企てた計画を自分が企てて、俺達を操りクーデターをおこした事にして。…ふざけるな。誰が俺を庇えと、罪を着ろと命じた。俺達の為に犠牲になって死ねと誰が言った。俺は、俺達はお前が死ぬ事を望んでいない。俺のものであるお前らは俺自身だ。それを一番に知っていたお前がなんで最初に俺の許しなく勝手に死んだっ。

 

   彼の享年を越えてしまった自分。永遠に時を止めてしまったオッタビオ。

 

   「眠って下さい、ザンザス様。オッタビオはザンザス様の憂いなき様にかたをつけて参ります。必ず、ザンザス様の元へと帰ってきます。二度とお側を離れません。今生は、地獄の底までお供をします。ふふ。今度はクーデターをうまくやりましょうね。指輪争奪戦もね、モスカと私ですぐに負けちゃいますけど、出ますからね。でも、ひばり君が、友人枠でこっちに来てくれるかもしれませんね。血筋を継ぐ後継者しか認めない、時代遅れな糞指輪はこっちから捨ててしまいましょうね。ヴァリアーはザンザス様と私達で強くした組織です。指輪争奪戦で勝利したらさっさと独立をしてしまいましょう。《ヴァリアーファミリー初代ボスのザンザス》魅力的な響きではありませんか」

 

   今生はといったか?そうか、ならお前はいつかまた生まれ変わって、俺に俺達に何度でも出会って何度でも俺に忠誠を誓い、何度でも俺の元に帰ってくるのだな。俺の今の先で待っているのか。なら、もう許してやる。だから、次は離れるな。…なってやるよ。お前がお前達が俺に望むものすべてに。

 

 

   「…オッタビオ…カスが勝手に死にやがって……かえってきたんなら、もう、かってにいなくなんなよ。カス…さめたのむ…………」

 

 

   ちっこい俺の代わりにオッタビオに依頼してやった。ていうか、俺がフルボッコになっちまったスクアーロが心配だからだ。

 

   剣が主に会う前に折れちまったら意味がないだろう?

 

   会うには会っていたがな。会話不成立だったからノーカウントだ。

 

 

   ちっこい俺よ、お前は悪くない。フルボッコにしたのはお前の前の奴だ。…スクアーロはもしかしたら、俺の憤怒ではなくクレアの憤怒に惚れるかも知れねぇな。

 

   もう、さすがに自分の気持ちに気がついただろう?誰を愛しているのかを。スクアーロでないのが意外だか、スクアーロは俺が愛して大切にするから、お前はお前が惚れたディーノを守って愛してやれ。

 

   クレアもいるがな。自分の主と同じ年のガキに容赦なく制裁する戦闘メイド。…リンチだよな。怖いっ怖すぎるっ。カス鮫と俺のスクアーロ、跳ね馬に喧嘩を売るのは止めろ。命はひとつだ。大切にしろ。

 

   クレア、あの女が俺の世界にもいたら勧誘をしたいのだが、いないだろうか?オッタビオが生きていてくれたのなら、あらゆる交渉が上手くいったのに。ちっこい俺が羨ましい。しかし、子供時代からレヴィの忠誠は変わらないのか。…羨ましくなかったな。すまん。子供時代からって、年々忠誠心が加算されていくんだろ?あいつが俺に対してマイナス感情を抱く事は100%ないからな。指輪争奪戦の頃なんて、揺りかごおこさなくても、揺りかごするのか?したら、記憶持ちが三人いる俺達が勝つじゃんか。反省を踏まえた三人が揺りかごと指輪争奪戦を頑張ったら、死人が沢田サイドに出るな。ガキに容赦しない化け物を俺は三人も飼わないとなのか…こわいっやめろさいしゅうてきなぜんせきにんをおれにおしつけるなっ。いやだちがうっおれはのぞんでないったすけてっオッタビオっ!

 

 

 

   夢の中でも怯えるのってどうだろう?ああ、オッタビオが髪を背中を撫でてくれている。こいつがいてくれたから、こいつがおれをあいしてくれたからのぞまれるふさわしいぼすになりたかった。こいつやあいつらのほこりになろうとあるじになろうときめた。

 

   ああでも、ねむい…もっとこいつ……のかおみてたいのに……こえききたい……はなしたい……なくなよ……かってにいなくなったくせに………いしゅがえしだいたがってなけばいいっ………俺はこんしんのちからで、なきはじめたカスの前髪をおもいっきりひっぱってやった。

 

 

 

   「ザン君っ!大丈夫よっ。怖いことはないからねっ!」

 

   「ザンザス大丈夫か?酷く魘されていたから起こしたが。…オッタビオの名を呼んでいた」

 

   「オッタビオさん?ザン君のお知り合い?」

 

   「ああ。ザンザスの兄貴分だった奴だ。こいつと仲良しでな、だけど、ずっと昔に逝っちまった」

 

   「親父にお袋、起こして悪い…じゃなくてっ。間違えただけだろっ。にやけ面いますぐ止めろっ。…くそっ。奈々に家光、俺は温泉に行ってくるから鍵は持って行く。家光、お父様に要らん事を伝えるなよ。奈々、沢田…綱吉には内密でお願いする」

 

   夢で泣いていた。現実でも泣いていた。濡れた目尻を乱暴に拭った。

 

 

   「おうっ!俺達親子の秘密だもんな!」

 

   「ふふふ。弟のツッ君には内緒ねザン君」

 

   「「俺・私達とザンザス・ザン君だけの・ひ・み・つ・♪」」

 

   …わかってねぇな。なあ、親父にお袋。お前らが光速で打っているラインは誰に繋がっているんだよ。俺のスマホに鬼電かかっているぞ?泣き顔撮ってから起こしただろう?嫁とお袋とお父様から交互に着てる。レヴィマーモンベルフラン骸白蘭風紀ディーノ京子にハルにイーピンに花にランボ。代理戦後の入院生活中に勝手に登録されていた奴等全員から心配している内容で着ている。追加がきた。親交のあるファミリーのボス全員に取引先とアルコバレーノに沢田。…全員になぜ送った?お前ら夫婦の中の《秘密・内密・内緒》の意味はどんな意味なんだ?俺と世界の常識が間違っているのか?

 

 

   …オッタビオ、お前が家光をなんとなく敬遠していた理由がわかったぜ。こいつ、基本的には尊敬できて信頼できるけど、うぜぇ。基本的にうぜぇししつけぇ。ジョークは笑えねーし足は臭いし。やるなって言った事を即効するし。沢田のやつは、こんな親父なのによくまあ真っ直ぐに優しく育ったよな。奈々が良妻賢母だからか。家光は反面教師だな。

 

 

   家光は最近俺を、前の亡くなった嫁との間にできた子だと思い込んでいてキッツい。若い学生の時の子供で、ジジイに泣く泣く養子に出したけど、揺りかごおこした俺を凍らされて激おこ。取り戻して育てたと思い込んでいる。奈々という、電波を受信しちまった旦那を健気に支えているできた女を女房にできているのがムカツク。

 

 

   …奈々、頼む。家光に引き摺られないでくれ。俺とお前が出逢ったのはマーモンの呪いを解いた代理戦がはじめてだ。お前の頭の中の亡くなった大親友は俺のお母さんじゃない。俺はお前達の養子になっていないから。沢田と兄弟ではないから。怖いっ。奈々までもが電波を受信していやがる。なにかの報いか呪いか?最近した悪いことは…髪の毛をひっぱってやった事か。

 

   オッタビオ、夢の中でふさふさなお前の前髪をおもいっきりひっぱって悪かったな。だが、あれで許してやったんだから、俺の慈悲深さに感謝しろ。

 

   …なんで金糸を掴んでいるのだろうか?

 

   奈々と家光は色素の薄い髪だが金色ではない。

 

   俺の髪の色は黒だ。

 

   宿泊客はいない。俺が奈々孝行の為に貸し切りにした。赤の他人とは離れて夫婦水入らずで休めといったのに、《家族旅行にきたのにザン君は何をいっているの。ツッ君にも言ったけどお母さんに甘えるのは恥ずかしいことじゃないのよ》と返ってきやがった。いや、俺の歳を考えてくれ。マザコンが許される年齢は越えている。

 

 

   従業員やスタッフは黒髪や白髪だった。

 

   主婦の奈々が「このホテルの部屋はすっごく綺麗ね!清掃が行き届いているわ!」と誉めていたので、前の客の可能性は低い。

 

   両隣が家光と奈々というふざけた構図で寝ていた。しかも、二人と手を繋がされて眠りに堕ちたはずだ。

 

 

   《座敷わらし》が出ると噂のホテルではない。そもそも《座敷わらし》は日本の神だ。黒髪だろう。

 

 

   …結論を急ぐと、この金糸はオッタビオの髪の毛である。

 

   「…これは現実か?朝になっても消えるなよ。お帰り、オッタビオ」

 

   フロントで封筒をもらい、金糸をいれた。嫁とお袋に、ヴァリアー本部に戻って開かずの間にしたオッタビオの部屋に入り、オッタビオの髪の毛を採取して鑑識にまわしておけと伝えた。これと遺伝子が一致すれば良いのに。

 

   結論から言うと、泣き顔は送られていたし、掴んでいた金糸とオッタビオの部屋で採取された髪の毛は完全に遺伝子が一致した。

 

   要は、こちらとあちらが繋がったという事だ。また、向こうのちっこい俺と繋がれたら、オッタビオを正式に許してやろう。ところで、俺があちらに行っていた時に、ちっこい俺はこっちに来ていたのか?

 

   ひねちまった俺と違って健気で弱気な奴だからな。家光と奈々の妄想を聞いたら信じてしまいそうだからこっちに来ていないでほしい。

 

 

          ※※※

 

 

   最近の父さんと母さんは頭がおかしい。

 

  ザンザスを自分と亡くなった前妻の息子・亡くなった大親友(最愛の夫の前妻)の忘れ形見の義息子だと思い込んでいる。

 

  学生の時の子供で、育てられなかったから九代目に泣く泣く養子に出す。揺りかごでザンザスが大怪我をしてあまつさえ凍らされて激おこになって解凍したら引き取って育てました。俺に十代目を継がせるくらいなら、なんで兄貴のザンザスに継がせないんだと激おこ。戸籍上は他人だから、綱吉の性別を換えてザンザスと結婚させちまおう。勿論、本妻は健気にザンザスを支えてくれていたスクアーロだよ!

 

   どんな家庭環境なんだよっ。ザンザスから困り顔で話された俺の身になってっ。

 

   若年性痴呆症の説明書と高級老人ホームのパンフレットと認知症専門病院の紹介状を渡されて泣きたくなったよっ。

 

   《二人とも俺を息子だと思い込んでいる。だから介護は俺も負担する。てめえは忙しいだろう。俺が二人を病院へ連れていく。なに、ジジイも俺が見てやるから安心して仕事をしていろ》

 

   頼りになる暗殺部隊の長にこんな事を言われたマフィアのボスは、俺が世界で一番最初で最後だからねっ。

 

   獄寺君目頭を押さえて内線で《ザンザスお義兄様にサーロインステーキを持ってこいっ。いますぐにだっ》って叫んでいたからね!

 

   お詫びをしようとしたら父さんと母さんが乱入。あげくに《弟ばっかり構わないでパパとママと遊ぼう!空白だった時間はさ、これから毎日過ごしていけば埋まると思うの。綱吉・ツッ君になりたかったボスをとられてしまったザンザス・ザン君はお仕事を辞めて暫く実家の沢田家に帰ってのんびりと過ごそう!》と晴れやかな笑顔で言った。

 

   …雲雀さんと骸と遊びに来ていた白蘭が泣きながら部屋から出ていった。泣きたいのは俺とザンザスだったからね!

 

 

   母さんは日本へ帰国したけど、父さんがヴァリアー本部に居座っている。ザンザスを毎日構い倒している。羨ましいけしからん代われよじゃなくて、俺の好きな人に迷惑をかけないでくれ。

 

 

 

  

 

 

 






   この家光氏と妻君は、ザンザス氏がマジで実子&大親友と最愛の夫の子供で大好き&大切&愛しているな世界と繋がってしまったので、彼と彼女からしたら、ザンザス氏は息子で綱吉氏の異母兄です。

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