病室内ではお静かに。
幼馴染みは眠り続けている。
オッタビオがやって来た。髪がボサボサになっていた。?昼間にあった時はきれいにしてあったはずだが?
俺の視線に気づいたのだろう。オッタビオは照れくさそうに笑った。
「レヴィ、お疲れ様です。スクアーロの事ですが、助命は叶いました。私が預かり教育をして、ザンザス様の部下として生きる事を条件としました。スクアーロが嫌がるのなら、ヴァリアーの表方の会社に勤めさせますよ」
「そうか。オッタビオ、ありがとう。こいつの命を救ってくれて。ところで、そのボサボサになった髪はどうした?」
「ザンザス様が魘されまして。宥めていたのですが、こうガシッと前髪を掴まれまして数本ぶち抜かれました。あとですね、ザンザス様も一部繋がれたみたいです。私に向かって『…オッタビオ…カスが勝手に死にやがって……かえってきたんなら、もう、かってにいなくなんなよ。カス…さめたのむ…………』とおっしゃいましたから…ああ、本当に私は愚かでしたね。レヴィ、私の死後にザンザス様の忠臣であり続けてくれてありがとうございます」
「貴様が愚かだとは俺には言えん。俺もスクアーロもお前と同じくらいに壊れていた。ただ、俺達には暗殺という役割が与えられた。無理矢理に外に出されていた。お前に九代目と上層部が与えた役割はザンザス様の観察と俺達がまた謀反を起こさない為の監視だった。主君を守れなかった罪を突き詰められて家族の監視、狂ってしまうのは当たり前だ。まあ、お前を氷の前から離そうとしたり氷越しにザンザス様に触れようとすると、お前は躊躇いなく俺達に発砲し、普段の非力さと優しさが嘘の様に俺達を瀕死にまで追い込んだからな。…待て。ま、まさか覚えてなかっただと?Σ( ̄ロ ̄lll)」
「ま、まったくもって身に覚えがございませんっ。も、申し訳ありませんでしたーっ。あ、あのう。赤ちゃんなマーモンや八歳のベルにもそうでしたか?」
「お前に飯を食えとサンドイッチを食べさせ様としたベルの腹に蹴りをいれて泣かせたな。催眠で眠らせようと術をかけようとしたマーモンの口をガムテープでふさいで窓から突き落としていたな。それらを見てキレたルッスリーアをも腹パンで意識を刈っていた。ザンザス様を閉じ込めている氷に触れようとした俺とスクアーロは銃で撃たれた。殺し屋の目になっていた。俺達は思った。こいつをボスから離す事と氷越しにザンザス様に触れる事を諦めないと、俺達がこいつに消されると」
「…何て事だ。九代目と家光にしていた事があなた達だったなんて!」
…していたんだな。九代目と家光にも。ならいい。敵味方の区別なく威嚇していたのだとしても、下の奴等全員には穏やかに対応をして労を労っていたのだから。
『えっ?ザンザス様の氷に普通に触らせてもらえましたが?」
『オッタビオ様、俺達が『オッタビオ様、俺達がザンザス様の警護に当たりますから仮眠をとって下さい』と言いましたら、仮眠室に素直に向かわれましたが』
『殴られも撃たれもしませんでしたよ。ちゃんと差し入れた夜食を食べて下さいました。俺達の仕事のスケジュールがきつくないかを心配してくれて。優しい副隊長のままでしたよ。隊長達、疲れていたんですよ。暫く休んでください。俺達もヴァリアー隊員です。頼りないだろうけど、頼って下さい』
『そうですよ。ザンザス様が戻られた時に、隊長達が疲れた顔をしていたら、叱られちまいますよ。さ、休んでください』
部下達の声に、俺達の頭がおかしくなったのかと不安になったな。
下の奴等全員には優しくて、俺達幹部に鬼対応をしていたのは、こいつが俺達に甘えられたからだと思いたい。
「…レヴィ、ごめんなさい。あ、送っていきます。どっかで夕御飯を食べましょう。親御さんに連絡をいれないと」
「オッタビオ、俺は家に連絡をいれてある。ザンザス様がスクアーロを罰している時に、家族に連絡をした。俺の家族も俺と同じでな。俺の再就職を祝ってくれた。繰り返しをうまく利用してな、ギャンブルや農園経営に自営業で馬鹿みたいに稼いでいる。三男坊の俺の夢を家族で応援してくれている。ザンザス様の突然の家出に《なら、自分達がマフィアのファミリーを創ってザンザス様に捧げてしまえば、うちのレヴィが即幹部にしてもらえるんじゃね?》といい始めた。ある意味お前のライバルだ。いや、競合相手がいるとお前は燃えるタイプだったな」
「そう。では、あなたの御家族の計画を私に詳しく話してもらいましょうか。負けませんよ(ゲンドウポーズ)」
「当主のお祖父様がお前の《前》にたいそうご立腹でな。子供だった俺達はお前を仕方ないと許せても、大人だったお祖父様達からしたらお前の行動が不忠で無責任に思えたのだろう。お前はお祖父様と交流があったのに、お祖父様に相談をせずに逝ってしまった。友情を踏みにじられたと感じたのか、お前の名前は禁句になった。計画はいっさい教えてもらえていない。すまん。俺の一族は遺伝子レベルでザンザス様に忠誠を誓っているからな」
「デスヨネー。ああ、《前》では頼りになった貴方のお祖父様が私の敵だなんてっ。気を引き締めていかなくてはっ。あ、スクアーロの連絡先はわかりますか?先にキャバッローネファミリーに行っていたものですから」
「伝えてある。こいつだけ記憶が接続していないだけだな。こいつの歳の離れた兄さん達は、俺の《ザンザス様に早くお会いしてお仕えしたい》発言を馬鹿にするこいつに対して嗜めていたし拳骨を落としていた。《ごめんね、レヴィ君。こいつの発言全部こいつの黒歴史になるから怒らないで許してあげてね》と言ってらしたな。…なあ、オッタビオ。こいつはクレア殿の怒りに惚れてしまうのではないか?」
「そ、それはどうでしょうか?あ、でも、それも考えないとですね。剣士をどっかで募集しないとですかね?」
「…それを考えてくれなきゃいけないのは、オッタビオ、お前だ。うちの頭脳なんだから考えてくれ。まだ俺達は小学生だからわからん」
「いやいや、レヴィ。貴方は見かけは子供でも頭脳は大学教授クラスじゃないですかっ!ベルだって中身は天才王子様です!ザンザス様だって中身は大学生っ。あのアルコバレーノの大天才ヴェルデ先生の愛弟子です!私と一緒に考えて下さいよっ。ほらっ見かけは子供頭脳は大人なキャラみたいにっ」
「まて。落ち着け。落ち着いてくれ。正気に戻れ。ドウドウ」
「…おおぃっ、さっきからうるせぇぞ」
幼馴染みのスクアーロは目を覚ました。すまんな、お前は怪我人だったな。
オッタビオは身構えている。あ、警戒しているのか。まあ、お前を見て、スクアーロが前と接続した場合殴りかかってくる可能性があるからな。オッタビオに同情的な俺やベルは軽く平手打ちだったが、感情で動けてしまうこいつがどうでることやら。
「…レヴィか。お袋に連絡してくれたかぁ?」
「ああ。連絡しておいた。お前は退院後はこの人、オッタビオ氏の預かりになる。でもって、俺と同じく、ザンザス様の家臣になる。それが条件としてお前の助命が成立した。ザンザス様と奥様のディーノ様のご慈悲に深く感謝をしろ。オッタビオ氏にも感謝をしろよ。キャバッローネファミリー九代目の溺愛しているディーノ様に無礼な真似をして。お前が生きているのはオッタビオ氏の交渉があっての事だぞ」
「…スクアーロ君?私がわかりますか?」
「御曹司の主治医と教師と側使えだろ?兼任しすぎてウザイ邪魔。いっつもあんたは御曹司の近くに居やがって。邪魔。俺が御曹司の近くに行こうと決意すると、速攻で『ザンザス様、お部屋に戻りましょう』って言って御曹司を連れ帰ってしまう。邪魔。俺が御曹司の一番最初の部下になってやる気でいたのに…邪魔。レヴィなんか俺より先に御曹司の部下に成りたがっていたんだから譲れよ大人げない。邪魔。だいたいあんたいくつだよ。童顔なくせに美形なのがムカツク邪魔。なんか昔から見ている、内容覚えていられない夢の勝手にいなくなっただけはわかるやつに似ていて不愉快だから邪魔」
…邪魔しか言わないな。もっとこう…感謝の気持ちを伝えるとかな。うん?なんか俺を馬鹿にしていたわりにはザンザス様に積極的に関わっているな。しかも夢で見ていたのかっ。
「スクアーロ、ザンザス様にお会いしようとしていたのか?」
「ち、違うっ。たまたまだっ。べ、べつにあいつに人身売買されかかったのを助けてもらった事なんてないし家出して空腹で死にかけたところを助けてもらったなんてないしおそろしく強いガキに訓練されてフルボッコにされたのに、立ち上がってガキに対して獰猛に笑ってみせてから挑む赤い目に惚れてなんかいねーしっイエミツなんておっさんにあいつへの恋文じゃなくてお礼の手紙を渡してくれって頼んだのに断れてなんかいないんだからなっ」
《スクアーロ、アウトーっ!×2》
俺とオッタビオの心の声が重なった瞬間だった。
「家光、まともだった貴方の最後の仕事がうちの子の恋路妨害っ。今の貴方なら喜んで恋のキューピッドをするのでしょうね。…スクアーロ君、貴方が無礼を働いたディーノ様は、特殊弾で性転換をしている女性です。ザンザス様が将来婿入りする婚約者です」
告白をして顔を真っ赤にしていたスクアーロは、オッタビオの言葉を聞くやいなや、顔を真っ青にした。当然だな。
女性に暴言を吐いて、制止の声をあげた女性の頬を叩きシャツを破いて肌を無理矢理晒しました。
…ものすごい字面だな。
イタリア男いや、男として最低最悪な行為だな。女性の父親おじ祖父兄弟に刺殺されてもしかたない行為だ。
…キャバッローネファミリーのボスは一人娘を溺愛しファミリー構成員は未来のドンナを自分の娘や妹みたいに愛している。クレア殿はスクアーロをこんな状況まで追い込んだ。本当に大丈夫なのか?
「…お、女っ!あ、俺はし、知らなくて…だめだ。俺が俺を許せないっ。すまん、レヴィ。介錯を頼む。俺の首はあの狂犬女に渡してくれ」
「スクアーロ君、君の命はザンザス様のものです。勝手に貴方の意思で死ぬ事はもう許されないのです。《お帰りなさい、私達ヴァリアーの剣士。ザンザス様だけの剣》私オッタビオはヴァリアーの頭脳でザンザス様だけの側仕えです。ちなみに名乗ってザンザス様に申請した順で役職は決まりますからレヴィ貴方も急ぎなさいね。スクアーロ君、いえ、スクアーロ。これからは楽しみながらザンザス様にお仕えしていきましょうね。まずは、これから狂った剣士が来ますから、彼の前で木刀を振って下さい。ま、持つだけで大丈夫ですけどね。打ち負かせたら、ザンザス様の愛人枠に貴方が入る事を全力で推しますよ」
幼馴染みは剣鬼になり、当代の剣帝に一太刀浴びせて傷という傷を全て開いた。剣帝殿は警察に収監された。
オッタビオという鬼には逆らうまいと思った。
「だってあの剣帝、ザンザス様にも剣をお教えする様に依頼をしたら、
《偽物御曹司に教えられる剣はないんだよ。基本を叩きこむ(訳 出自を知っても絶望をしても直ぐに歩き出した強い男には、既に最強が教えている。だから基本を徹底的に教える。あの方は野生の獅子だ)》
なんて宣いやがってふぁ××。ですよ。だから、収監はちょっとした仕返しみたいな?」
…オッタビオ、普段の冷静なお前なら剣帝殿の内なる声にも気づいただろうに。ザンザス様の悪口に敏感なのは俺と同じだからな。可愛く首を傾げる仕草も似合ってしまうから童顔美形はたちが悪い。
剣帝、なにやら解せぬ。