気が向いたらそっちも続けて行こうと思いますが、本編に戻ります。
第11話 体育祭、開幕――
「雄英体育祭が迫っている!」
「「「「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」」」」
いや、それ何かあり気に、勿体気に言う事か?
しかし敵に襲撃されて一週間と経たずにこの決断。俺たち生徒の中でもその事に疑問を抱くものはいる。
それに対する返答はこう――――逆に開催する事で管理体制が盤石であるという学校側のアピール、同時に自分たちがどれだけの力を付けているか全国のヒーローに生徒個人がアピールする最大のチャンスである――――という事だ。
「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に一回…計3回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ!」
その言葉と共にHRは締めくくられた。
んで! その後は特に描く事もない無いのであっという間に時間は経過し体育祭の日がやって来たー。こなけりゃいいのに……というぐらいダウナーなので今回は巻きに巻きに巻いてダイジェスト風にお送りしちゃおう。
周囲も慌ただしい様子を見せてる。
開催予定時刻も間近に迫ってきた所為だろうか。皆緊張をほぐす為か会話を弾ませる者から何かしらのルーティーンを行う者まで、一様にその時を待っていた。
で、金術錬錆はというと――
「人人人人人人人人人人……よっし、十回書いた。これで大丈夫なはず」
「金術あんたどんだけ書いてんの!?」
「だだだだだ大丈夫! みみみみ峰田だってそれなりに書いてるぞ?」
「大丈夫じゃないよね、それ!?」
「正直って大勢の前に立つのコワイ。穴があるなら、埋まりたい!!」
金術錬錆は緊張して震えているようだ。
で、いざ入場開始になると…
「よっしゃ、気合入れていくぞぉ!!」
まぁ、なんという事でしょう。
先ほどまでガチガチに緊張していた金術少年が別人のように変わっているではありませんか。これには周りにいたクラスメイトも驚きを隠せません。
「あんだけ緊張してのにいざ本番になると人が変わるよね、金術って」
「てかもう二重人格のレベルじゃね…?」
そんな感じになんやかんやあって入場を終え、いざ開会宣言。
選手代表として登壇するのは何と爆豪であった。……まぁ一般入試主席合格だし、ある意味当然と言えば当然なのだが。何故あの
――などと考えていたら奴はとんでもない爆弾発言をかますのであった。
「せんせー、俺が一位になる!」
――――爆発するのは個性だけにしておけよ。
無論爆豪の性格を知るA組は「絶対やると思った」と驚愕半分呆れ半分の反応を見せるが、そうとは知らない(まあヤンキー気質な事だけは知れ渡っているだろうが)他クラスは当然のように反感を買う。
正直言って一位を取りたいという意欲は認めるがそれに
で、そんな波乱を予感させる開会式は終わりを告げ、いよいよ本番。多勢を振るい落とす第一種目が発表される。
「障害物競走?」
なるほど、競争ともなれば自然と順位が決まる。加え障害物ともなればその場その場での機転が重要となる。ヒーロー科の参加する体育祭という事もあり、振るい落としにはもってこいの競技だ。
「スターーーーーーート!!」
合図と共に1年全生徒がゲートへと雪崩れ込む。
だがしかしなんというか、早速振るい落としの時が来ているとも言うべきか。一学年でも500人近い生徒がいるにもかかわらずそのゲートはあまりにも狭かった。故にゲートの中はおしくらまんじゅう状態で詰まりに詰まっていた。
そして彼はそれを見逃すような男ではなかった。
パキパキ、と不穏な音が響き渡る。
先頭に立った轟が他を突き放す為、地面に氷結を張ったのだ。当然氷結の個性を諸に受けた生徒は足先が凍り付き、身動きが取れなくなる。例え氷結を逃れようと足元は氷。滑って思う様に進むこと出来なくなるのだ。
つくづく便利で優秀、かつ強力な個性だ。だがA組の面目も甘くは無い。彼の個性を知っているが故、それぞれが対策を取り氷結を回避しきり先頭集団へと躍り出る。
で、この作品の主人公がとった対策というのは至ってシンプルのように見えて実に外道な方法であった。
「先に謝っておく。踏み台にさせてもらうぞ、普通科サポート科!!」
そう、
なお自分の個性を使って、という違いはあるものの轟対策が峰田と被ってしまい錬錆は少し落ち込むのであった。自分が外道ルートを選んだだけに余計に。
ああっ、なんか峰田の元気な声が響くなぁ……
「轟のウラのウラをかいてやったぜ、ざまあねえってんだ! くらえオイラの必殺…『GRAPE…』」
と、何か言いかけた瞬間峰田が突如として現れた何かに吹っ飛ばされ転がっていく。
「峰田くん!!」
「峰崎ィィィ!!」
出現したそれは一般入試生にとってはとても見覚えのあるものであった。
「あれは……入試ん時の仮想敵!?」
しかも1Pや2Pのものだけでない。巨大な0Pが、それも複数立ち並んでいる。
最早これだけ出てくると驚愕よりも「よくこれだけ作る予算あるなぁ」という関心の方が勝ってしまう。というか八百万も同じ感想を抱いている。お金って大事だよね。
だが悲しいかな。轟焦凍にとっては障害にすらなりえない。
轟の放つ凍結が瞬く間に正面のロボインフェルノを凍り付かせる。
巨大な障害物が動きを止めたという事もあってか、後続が次々とエサに吊られたクマーの如く轟の後をついていく。なおこの時何も考えてなかった錬錆も普通について行った。
が、異変は直ぐに起きる。
「えっ、ちょちょちょちょちょちょちょ!?」
ギギギ、と金属が擦れ合う不吉な音が響くと同時に凍り付いた0P敵がゆっくりと、だが確実に倒れていくのが目に映る。
これが金術錬錆が目にする最後の光景となった――――
「ア”ッーーーーーーーーーー!!(汚い高音)」
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Wow…金術錬錆よ、ここで死んでしまうとは情けない。
しかもこんな情けない断末魔とは……。俺ちゃんは悲しいぜ。
えっ? 地の文がいつもと違うって。それを気にしちゃおしまいだぜベイベー。
実はここだけの話、錬錆くんが自伝書くって時に「体育祭の話は外せないけどどうしても書きたくない」っていうからさぁ。俺ちゃんが聞いた話をちょちょちょいっと冗談交じりに書き足したって訳よ。
ホント、ここだけの話だぜ読者諸君!!
それじゃ、続き行ってみよう。
メガホンいい? カチンコ鳴らすよ? はいヨー、カット!!
えっ、俺ちゃんの正体は誰かって?
それは言えないのがお約束! ……なぁんて終わると思ったかヴェカめ!!
しっかりファンサービスはしないと誰も着いてこないからな。だから自己紹介はちゃんとしよう。
モニター前の諸君、しかとその耳に焼き付けろよ!
そう俺ちゃんは!! 親愛なる地獄からの使者! デッドp「いい加減にしろバカ」(その後は書き殴られているようで解読が出来ない。大人しく本編戻るとしよう)
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倒壊したロボ・インフェルノは後続の選手の行く手を妨害する瓦礫と化した――
いや、それだけではない。
金術錬錆をはじめ、倒壊する時にロボ・インフェルノの真下にいた生徒の何人かが巻き込まれ瓦礫の下敷きとなった。
その事実が荒事になれていない一般生徒の足を止めている。
が、そんな心配は全く持って問題なかったようだ。
「死ぬかぁーー!!」
『あぁっと!! A組切島潰されてたーーーーっ!! ウケるぅ!!』
まず生き埋め犠牲者その1、切島鋭次郎。
自身の肉体を硬くする事で最強の盾にも最強の矛にもなる『硬化』の個性により大したダメージを受ける事もなく耐え切って脱出したのだ。
で、
「A組のヤロウ本当に嫌な奴ばっかだな!!」
『B組鉄哲も潰されてたーーーーっ!! ウケるぅ!!』
次に犠牲者その2、鉄哲徹鐡。
自身の身体を鋼にする事で最強の盾にも最強の矛にもなる『スティール』の個性により大したダメージを受ける事もなく耐えきって脱出したのだ。
そんな個性ダダ被りコンビの後に続くのは――
「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ッッッッッッ!!」
『A組金術も潰されてたーーーーっ!! 超ウケるぅ!!』
犠牲者その3、金術錬錆。
瓦礫と化したロボ・インフェルノが接着すると同時に個性による分解だけを行って潰されない程度のスペースを確保。その要領で瓦礫を分解し続け、一人ホラー調に脱出したのだ。
切島が鉄哲と個性ダダ被りという事実にただでさえ地味なのにと嘆き、それを鉄哲が追う中錬錆は叫ぶ。
「轟お前ぇ……その手の妨害は俺の十八番だぞ!! 俺がやる時に印象薄くなるじゃねえか!」
『何にキレてんだーー!?!?』
「悪ぃ」
『お前も謝るんかーーーーい!!』
――――ホント何言ってるのやら。
そんな
決してB組や他科の生徒が悪いわけではない。だが敵の襲撃という不相応の経験が各々の糧となり、行動という結果として現れている。
で、
『落ちればアウト、それが嫌なら這いずりな!! ザ・フォーーーーーーーール!!!』
これどうやって作ったんだよ、あっパワーローダー先生が掘削したのか。と一回り考えて納得するような如何にもな光景が目の間に広がっていた。
正直高所恐怖症の人にはきついだろ、いや高所恐怖症でなくっても怖いわ。万が一でなくても落ちたらどうなるんやら……。なぁんて考えている内に飛行手段持ちの面々や跳躍力自慢の蛙吹、大量のサポートアイテムを装備した女子が我先にと既にフォールに挑んでいた。いつまでも尻込みしてても意味ないか、とため息をつきつつ錬錆も動きを始めた。
(個性を使って自分をアピールする場、ってなら態々綱渡りしなくてもいいんだよな? 飛んでるやつもいるわけだし)
思考を回すや否や即行動。
錬錆の手が地面に触れると同時に異常なまでに土が盛り上がる。そしてそれは徐々に形を成し、対岸へと繋がなる橋へと変わったのだ。
『おおっっと!? A組金術、新たな道を創り出したぁ!? 解説のミイラマン!! これは良いのでしょうか!?』
『個性の範囲でやれる事をやってんだ。別に構いはしない。ただしこれは後続について来いって言ってるようなもんだ。これをどうするかはあいつの腕の見せ所だ』
そう解説がされている間に錬錆は第二関門を超えていたところだ。イレイザーの言う様に、その後ろから続々と普通科サポート科の面々が錬錆の後を追っていた。
「蜘蛛の糸で助かるのは一人だけ。後は諸共落ちろ」
『えげつねぇええええ!?』
何をしたかって?
創った橋の崩壊である。もう一度言おう。創った橋の崩壊である。これによりあわよくば楽しようとした生徒がみるみると奈落へと放り投げだされていく。
これを遥か後ろから見ていた生徒はどう思うだろうか。そんなの決っている。「これがヒーロー科のやる事か」と。そんなもん知ったこっちゃねぇやと言わんばかりに錬錆はスタスタと走っていくのだった。
なお第三関門の地雷原に関しては地雷踏みまくったと面白みも欠片もない内容なので飛ばしていこう。
「アーーーーーーーーーッ!!(地雷を踏んだ鳴き声)」
――――っとまぁ何やかんや最終的に20位で予選を通過した。
第一予選が42人の狭き門の内20位と(全体から見れば十分上位だが)何とも言えない中途半端な順位となってしまった。
そして予選二回戦の騎馬戦――――は障害物競走以上に見せ場もなく敗戦したので書きたかった1シーンだけ振り返ろう。
それはボッチにとっては地獄の時間、グループ作ってくださいタイムにて一人黄昏ていた所、耳郎・葉隠・砂籐に誘われてチームを組んだ直後の事である。
「葉隠ちゃん……個性を生かす為とはいえ女の子g――――」
っと言いかけた所で耳郎のイヤホンジャックが突き刺さり爆音が体中に響いた。
「まだ何も言ってない……」
「言おうとしたじゃん」
「金術くんのえっち///」
なんでさ。
体育祭編は元から本戦に進まない予定だったので正直キンクリしてもよかったけど、何だかんだ書いてて楽しかった。