金術錬錆のヒーローアカデミア   作:島村共数、

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体育祭編の筆が中々進まず、気分転換で書いたこちらの方が筆が進む……
いつ書き終わる分からないんで、ちょこっと先の未来の話を公開します。
お楽しみ出来たら幸いです


Episode.EX アッセンブル
Extra.1 邂逅


 突然の事、申し訳ありません。

 わたくし、金術錬錆を主人公とした物語、如いてはこの世界の観測を任された……そうですね、名乗るべき名前など無いのですが……。皆さまには『ウィッチャー』とでも名乗っておきましょうか。

 

 まぁわたくしの自己紹介などどうでもいいのですがね。

 

 これから皆さまに見ていただく物語は、そうですね。昔風に言うと……『東映まんがまつり』みたいなものでしょうか。

 

 本編から数年後、金術錬錆が雄英高校を卒業し、世界を転々と活動するプロヒーローになった頃の物語です。ネオメキシコで麻薬カルテルの抗争に巻き込まれ、その中で二人の少女を救い出した。麻薬カルテルを壊滅させた錬錆は二人を連れて、再び旅に出るのであった。そんなある日、旅先で彼らを待ち受けている男が一人……。男の名はニック・フューリー。

 時を同じくして世界中で「次元が割れる」「空間操作・転移系個性持ちが行方不明となる」という奇妙な現象が発生するようになる。そしてフューリーに協力する事になった錬錆は調査に乗り出す。そこで目にしたのは…………おっと、少し先を読み過ぎました。

 止まっていた『計画』が今まさに、再始動しようとしています――――

 

 

 

 

 

『Jump!  Authorize』

「変身!」

 

 天から巨大な何かが飛来する。それは正しく――バッタだ。

 巨大なバッタが落ちてきたと思いきや、それは突如として分解された。そして分解したそれの中心に立つ一人の青年の身体に接合されフルアーマーのヒーローへと変貌――否、変身させる。

 ここは人類の総人口の8割が何らかの特異体質――個性を発現させた世界ではない。

 自称人気爆発のお笑いピン芸人から飛電インテリジェンスの社長になった青年・飛電或人が仮面ライダーゼロワンに変身し、人工知能が搭載されたヒューマギアを悪用し人々の平和を脅かす滅亡迅雷.netと戦いを繰り広げている世界である。

 そしてこれは滅亡迅雷.netとの戦いを終えて数日後の事である。

 

「ったく、なんなんだよこいつら! 滅亡迅雷も倒したのに、なんでマギアが暴走してんだよ!?」

 

 或人は再びゼロワンに変身し戦っていた。

 滅亡迅雷.netを打倒した今、彼は誰と戦っているのか。答えは簡単、戦っている存在はいつもの(マギア)ではない。三葉虫を思わせるフェイスカバーと素体そのものとも言えるスリムなボディが特徴のトリロバイトマギアに対し、今目の前にいる集団はいかにもロボットだと言いたくなるような装甲に覆われた武骨な存在であった。

 しかし人々の平和を乱す存在である以上、見過ごす事は出来ない。アタッシュカリバーの必殺技、ラインジングカバンストラッシュで敵を一掃した。

 正体不明の敵の実態にいち早く気づいたのは、陰に隠れて敵の解析を進めていた社長秘書のイズである。

 

「或人様、彼らはマギアではありません。ヒューマギアとは別系統の技術によって製作された戦闘アンドロイドのようです」

「えっ、それって――」

 

 どういう事、と言いかけた時。不気味にエコーのかかった声が或人の言葉を遮った。

 

『そこまでだ、この世界の仮面ライダー――』

 

 姿を現す――

 左半身にだけに無数の歯車の装甲が埋め込まれた一体の怪人であった。

 

『君たちは、パラレルワールドの存在を信じるか?』

 

 怪人の問いに或人は何を言っているのかまるで理解できずにいた。

 

「パラ……なに?」

「パラレルワールド。ある時点で歴史が分岐し、独立した別次元の宇宙。並行世界、並列世界とも呼ばれています。お互いに観測出来ない為、あくまで可能性の存在、机上の理論として扱われています」

「へ、へぇ~……で! そのパラソルワールドが何だって言うだよ!!」

 

 そう返答を受けた所で怪人は呆れたような言葉を漏らす。

 

「無知とは悲しいな……。ならばその身をもって知るがいい!!」

 

 怪人がそう言うと同時に異変は起こった。

 地面が揺れる――

 否、地面が揺れているのではない。空間が裂けているのだ。

 

「キャッ――」

「イズッ!!」

 

 それを目にした或人は咄嗟にイズを庇い――――その体は空間の裂け目へと飲み込まれていたのだった。

 

 

 

 

 

 どこが上か、どこが下かも分からない。

 ぐちゃぐちゃにねじ曲がった空間は突然終わりをつげる。

 

「ぐへっ!?」

 

 思いもしない衝撃が全身を襲った。

 そこから数秒間をあけてようやく或人は自分の置かれた状況に気が付いた。

 

「どこだよここ……」

 

 さっきまで自分は日中の工場地帯にいたはずだ。なのに今眼前に広がるのは、月明かりが照らす深い森の中である。

 あまりの状況の変化に或人の思考回路は既に許容値を超えて軽いパニック状態になっていた。

 が、或人を襲う状況の変化はこれだけで終わらなかった。

 雨雲一つ存在しない空から突然雷が落ちる。その衝撃で地面が大きく抉れ土煙が周囲を包み込んだ。

 

「ちょっ、今度は何ぃ!?」

 

 土煙が徐々に晴れていく。その中心に何か影が見えた、と認識した瞬間には既に何かが迫って来ていた。

 咄嗟の出来事ながらも或人は手元に残っていたアタッシュカリバーを展開させて、襲い掛かる斬撃を何とか防ぐ。

 鍔迫り合いが続く中、ようやく相手の姿を視認する。その姿は如何にも騎士と思わせるフルフェイスの西洋甲冑に身を包んだ戦士であった。

 状況の整理もままならぬ中突然襲われた事に或人のパニック状態は軽いを既に超えていたが、それでも何とか言葉を絞り出。が、

 

「いきなり何!?」

「テメェ何者だ……。まさかあのクソ野郎の仲間じゃなえよな」

「何言ってんだアンタ!?」

 

 その中から発せられた言葉はあまりにもヤンキー染みていた。

 更に言葉を発し終えると同時にゼロワンの身体を思いっきり蹴り飛ばしたのだ。

 その事実に或人は驚愕を覚えた。

 人間を遥かに凌ぐ身体能力を得られるゼロワンを一蹴りで後退させる、という事実に。解析をする限り相手は限りなく人間に近い存在だ。にもかかわらずこの結果。

 ここがどこなのか、その疑問は後から解決すればいい。今目の前の存在を戦闘停止状態にする。或人は僅かな時間で優先事項の取捨てを行い、目の間の存在にだけ集中すると決めた。

 だが相手に迫ろうと足に力を入れた時、ようやく気が付いた。

 いつもより、力が入らないという事に。

 それは以前、歴史改変によってヒューマギアが世界を支配する歴史の時と似たような感触だった。

 

(ヤバイ、これは――)

 

 相手の猛攻に既知の感覚を頼りになんとか体勢を立て直するものの、騎士というにはあまりにも荒々しい相手の戦い方に劣勢一方。

 焦りを感じる或人に対し、相手の騎士は中々決め手を取れない事から苛立ちを覚えていた。

 数合の切り合いの後、騎士の持つ剣に雷が奔る。恐らく大技を放つのだろう。ゼロワンの解析を待たずとも、少なくない経験から或人は察する事が出来た。

 が、この戦いに勝敗がつくことは無かった。理由は簡潔に言えば、第三者の介入によって終結を迎えたからである。

 

「そのケンカ、ちょっと預からせてもらうぞ」

 

 二人の間を一閃の衝撃波が割って通る。衝撃波が放たれた先にいるのは黒衣に身を包んだヒーローであった。

 しかし戦いが止まったのはその一瞬のみ。

 或人が見動きを取れずにいる一方、騎士はまるで親の仇を見つけたかのように荒々しくヒーローに向けて剣を振りぬいた。

 予想だにしない一撃であったが、黒衣のヒーローも寸前の所で自身の得物である蛮刀で何とか受け止める。

 

「ちょっ! ケンカは預かったと言った筈だ!?」

「うるせぇ!! ケンカ売って来た奴が俺に指図すんな!!」

「はぁ!? 誰がケンカを売ったって?」

「だぁかぁらっ!! テメェが先にブリテンに攻めて来たんじゃねぇか!!」

 

 こいつは何を言っているんだ?

 黒衣のヒーローの脳内はそれに支配されていた。なにせ目の前の騎士とは初対面だし、そもそも『ブリテン』という単語はアーサー王伝説に出てくるソレ以外聞き覚えが無い。これまで他人に恨まれる事は何度かあったが、目の間の騎士に関しては全く記憶にないのだ。

 しかしそんな余計な事を考えている暇は容易に無くなる。黒衣のヒーローはヒーローであるとはいえ、あくまで人間。対する騎士は神秘に満ちた世界に生を授かったが故に地球人類を上回る強靭な肉体を持つ戦士だ。最初は何とか受け止められたが、徐々に力の差が露わとなり押され始めていた。

 そして拮抗が崩される時が来た。力の押合いに負けた結果ヒーローの蛮刀が弾かれ、大きな隙が生じる。その隙を逃すまいと切っ先が喉元を襲いかけたその時だった。

 

『ラ イ ジ ン グ イ ン パ ク ト 』

 

 黄色い閃光が騎士を襲う。

 或人がゼロワンの必殺技『ライジングインパクト』を騎士へと放ったのだ。

 強靭な肉体を持つ戦士であっても怪人を屠る一撃には流石に耐えきれるものではなかったようだ。

 

「ちっ、1対2じゃ分が悪ぃ……覚えてやがれ!」

 

 騎士を中心に雷が奔り、一帯を光が支配する。

 光が消えた時には既に騎士の姿は無かった。

 残されたのは或人と戦いに介入したヒーローだけだった。

 変身を解きながらも色んな事が起こり過ぎたせいか或人はただただ茫然としていた。

 すると黒衣のヒーローは深いため息をつきながら何やらつぶやいた後に或人の方へ顔を向けた。

 

「――――まぁいい。とりあえずあんただけでも来てもらうぞ」

「えっと……何言ってんの?(日本語)」

 

 この時黒衣のヒーローは失念していた、とも言いたげな表情を浮かべていた。

 彼自身海外暮らしが長いが故に日常的に英語を使う様になっていたために、目の前の相手が日本人らしいにも関わらず普通に英語で話してしまっていた。

 

「悪いな、こっちでの暮らしが長いから日本語を使うの忘れてた」

「って、日本語喋れんじゃん!?」

「そこツッコむところじゃないだろ……。それよりも聞きたい事が山程ある。一先ず着いて来てくれないか、来訪者?」

 

 一瞬或人は息を呑んだが、右も左も分からぬ地でこれから一人で出来る事も限られている。拒否権は無さそうだし、何より断る理由もない。であれば彼のいう事を聞いた方がよさそうだ。

 

「――――或人、飛電或人だ」

「その答えはYes、でいいんだな?」

 

 或人は静かに首を縦に振る。それに安心したのか黒衣のヒーローも警戒が解き、張り詰めていた空気が穏やかになっていく。

 

「じゃあ或人、一先ず両手を前に出して」

 

 一体何だろうと思いつつ或人は素直に腕を差し出した。

 その瞬間、ガチャという金属音と共に或人の両手は自由を失われた。

 

「えっ、ナニコレ????」

「はい確保」

 

 よく見てると或人の両手には綺麗に手錠がはめられていた。

 あまりの手際の良さに或人は関心半分、驚き半分で再び思考が停止してしまった。

 

「助けてもらった手前悪いけど、不審人物である事に変わりない。事情聴取終わるまでは我慢してもらうぞ」

「ちょ、ちょちょちょちょちょっと待って! 事情聴取ってなに!?」

「安心しろ。尋問は俺主導でやるし、俺の憶測だが単なる事実確認だけだろうさ」

「だったら手錠する意味なくない!?」

「だから尋問終わったら手錠外してやるって言ってるだろ?」

「事情聴取から尋問になってるぅ~~~~!!」

 

 

 

 

 

 さてはて、飛電或人はこの後どうなるのだろうか。

 そして或人を確保した黒衣のヒーローの正体は? 彼らと戦った騎士は? 或人を別世界へ移動させた怪人の企みとは……。

 全ては次章に解明します。

 今回はここまで、それでは皆様ごきげんよう―――――

 




ネタバレ:黒衣のヒーローの正体は錬錆です。そしてクロスオーバータグはこの為だけに付けていた
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