特区警察警備部特別対応部隊 SRU   作:Jdeath0930

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第10話 過去

2025年5月9日 警視庁本部

「で、あなたは自分たちに飛んでくるドローンを銃で撃ち落としたと?」

「だからそうだってさっきから言ってるだろが!もう何回目だよ!」

 

俺は昨日の事件の後に警視庁から呼び出しを喰らい、集十さんと共に警視庁の本部を訪れていた。

さっきから警官にどうやってドローンを落としたかを聞かれて、銃で撃ち落としたと言ってるのに一向に信じてもらえず何度も同じやりとりをしていた、すると。

 

「そいつの言っていることは事実さ、そいつにはそれだけの腕があるからな」

 

部屋に30代半ばの男性が入って来て、俺の言ったことを肯定してくれた。

 

「航さん!お久しぶりです」

「悠木久しぶりだな」

 

彼は三木航(みきわたる)俺がSATにいた頃の上司だ。

 

「こいつを借りてくぞ、特に何も問題ないだろ?」

「ええ、まぁ構いませんが」

「よし、ならいいな悠木行くぞ」

俺は航さんに連れられて部屋を後にした。

 

「向こうはどうだ?、こっちより忙しいだろ」

「全くですよ、先月だけでもう何回出動したか覚えてないくらいですからね」

航さんに連れられて喫煙室に向かい、そこでタバコを吸いながら航さんと話をする。

「航さんはどうです?」

「全く出動の機会はないな、最後に出たのは去年の10月だったかな」

「いいですね、そっちは平和で」

 

俺がSATにいた時もそうだったが、基本的に本土は平和だ。SATが出る凶悪事件なんて本当に年に1度あるかないかだった。

 

「でも俺が知ってる中で一番、激しかったのはお前がSATで最後に関わった事件だな」

「ああ、あの事件ですか」

 

俺がSATで最後に関わった事件、それは新宿のオフィスビルで起きた事件だった。

 

 

 

2年前 2023年2月24日 東京都新宿区

当時俺は既にSRUの試験に合格して3月に特区警察へ移動することになっていた。そんな2月の終わり頃に新宿の病院で人質の立てこもり事件が起きたのだ。

 

「全員整列!これから現場指揮官から説明がある注意して聞くように」

 

当時俺は第1小隊に所属し、航さんはその第1小隊内のチーム2リーダーだった。

「銃器で武装した集団が病院を占拠した。犯人は身代金として100億円と逃走用の飛行機を要求し、8時間の期限を提示した」

要求内容はまさしく人質事件の典型的な要求だった。

 

「交渉人が時間を延ばす事を試みたが、犯人は人質1名を殺害し、交渉には応じない姿勢を見せ、更に期限の8時間になり準備が終わってないことを伝えたら、更に3名の人質を殺害し、今後30分ごとに2名を殺害すると予告した」

犯人連中は容赦なく人質を殺す、早く対処しないといけないと思った上層部がSATの投入を決めたようだ。早期に俺達を投入すれば人質は死なずに済んだかもしれないのに。

「君達の任務は犯人を制圧し、人質の安全を確保する事だ。ただし犯人とはいえ基本的には生け捕りにしろ、射殺は最後の手段と心得るように」

(またかよ)

 

これだ、俺はこの命令がいつも納得いかなかった、凶悪犯でも警察は生け捕りが基本方針となる。多分世論やらうるさい人権団体からの批判を避けるためだろう。そのために俺達現場の人間や巻き込まれた人は常に危険にさらされる。

 

そんな事を思いながら準備をしていると、三木さんが話しかけて来た。

「何を考えているかは分かってる、俺も同じ気持ちさ」

「上の奴らは現場のこと考えず、自分たちの体裁守る事に必死、俺達は奴らの駒じゃないのに」

俺は三木さんに思っていた事を言う。

「今は我慢しておけ、負の感情は作戦に支障が出かねないからな。おっと、時間だな行くぞ」

「はい」

MP5A4のハンドルを叩いて、俺は三木さんの後を追う。

 

 

 

オフィスビル1階

俺達チーム2は東入口から1階東側に侵入し俺と三木さんが先頭で院内へと入る。

「クリア!」

俺が合図すると残りの隊員も中へと入る。途中の部屋の中を確認しながら、反対側から進むチームとの合流地点へ素早く向かう。

 

合流地点半ばの地点で敵の一人が巡回していたのを発見する。敵は俺たちに背を向けていたので、警告して投降させることにした。

「警察だ!武器を捨てろ!」

三木さんが敵に向けて響かない程度に声をかける。

「変な真似したら頭に穴が開くぞ」

俺はレーザーサイトを敵の頭に合わせ、本気だと言う事を伝える。他の隊員もレーザーを向けていたので敵は銃を捨てて降伏し、敵をうつ伏せにして両手両足を動かせないように拘束してから俺たちは先へと進んだ。

 

L字路に差し掛かり、隊員の一人が角を見る。

「こっちに敵が2人」

隊員が敵がいることを伝える。

「俺がやる、他は援護してくれ」

三木さんが特殊警棒を取り出して、敵に向けて突撃した。

 

三木さんはまず2人のうち一人を警棒で殴り倒す、もう一人に警棒を連続で叩きつけて倒す。倒れた敵が起き上がり三木さんに向けて銃を撃とうとしたが、三木さんは相手の股間を蹴り上げ、右左と連続でパンチを敵の顔面に叩き込み、最後に右フックをくらい完全にノックダウンされた。

「よしいいぞ」

俺達は倒された敵に近づき、両手両足を拘束して動きを封じた。

「チーム1だ、撃つなよ」

俺たちは順調に進み、そのあとは敵にも遭遇せずに無事に他のチームと合流ができた。

「こっちは敵2人を拘束したが人質は見つからなかった。三木、そっちはどうだった?」

相手チームのリーダーが三木さんに話しかける。

「敵3人を拘束した、だがこっちも人質はいなかった」

「だったら、残りの敵と人質は上階か」

「4階に大きな部屋があります、恐らくそこかと」

「よし、なら行こう」

 

合流したチームと共に階段を駆け登る。4階に到着して廊下に出ると、敵2人がAK-47を発砲して、隊員2人が被弾してしまった。

「2人被弾!」

「援護するからそいつを下がらせろ!」

俺はMP5を敵に向けて威嚇射撃を始め、他の隊員も持っている銃を撃つ。

 

「三田が撃たれた!」

また一人隊員が撃たれた。

「容体は!」

「足の動脈を撃たれて出血が酷い!早く運ばないと!」

撃たれた隊員の足から大量に出血しており、他の隊員が傷口を押さえても勢いよく血が流れていた。

 

「膝を打ちます!」

隊員の一人が敵の1人の膝を撃ち抜き、敵はよろめかせる。しかし相手はすぐに立ち上がり銃を撃ち始めた。

「クソ、薬物でもキメてるのか!?」

「仕方ない、頭を撃ち抜く」

そう言うと俺はホロサイトのレティクルを敵の額に合わせ、引き金を引く。

銃から発射された9mm弾は敵の額から入り脳を破壊しながら反対側から飛び出した。脳を破壊された敵は地面倒れ動かなくなった。

残ったもう一人の敵も他の隊員からの一斉射撃で大量の銃弾を浴びて沈黙した。

 

倒した敵に近づいて銃を蹴り飛ばし、体を足で蹴って反応がないか確かめる。

「死んでる、大丈夫だ」

「急ぐぞ、今の銃撃戦で敵が何をしでかすかわからん」

俺達は急いで先へと進む。

 

 

 

 

人質や残りの犯人がいると思われる部屋の前に到着して、ハンマーを持った隊員が扉をぶち壊す。

扉が破壊された瞬間に中にいた敵が一斉射撃をしてきた。

 

「来るんじゃねぇ!人質をぶっ殺すぞ!」

扉が壊れた瞬間に中の様子が一瞬見えたが、中には10人の人質と3人の銃を持った犯人がいるのが見えた。

「この建物は完全に包囲されている、抵抗せずにさっさと降伏しろ」

三木さんが犯人に向け投稿を促す。

「だったら派手に撃ち合ってやる、サツも人質も皆殺しにしてやる」

犯人は興奮しており、全く話が通じていないようだ。

 

「ダメだな、さっさと片付けるか」

「賛成です、フラッシュ投げ込みますか?」

「よし、やれ」

俺はフラッシュバンを取り出して、ピンを引き抜き部屋の中に放り投げる。すぐに轟音と強烈な光が炸裂し、人質がそれに反応して叫ぶ。

 

「ゴー!ゴー!」

三木さんの合図で俺を先頭に部屋へとなだれ込み、犯人達の膝を打ち抜き行動不能にさせて、他の隊員が素早く手を結束バンドで縛り上げ、残った隊員も人質の安全を確保して外へ連れ出す。

「ま、まだそこに」

しかし連れ出そうとした人質の一人が部屋の片隅にあった部屋の扉を指差した瞬間、中から女性を抱えた犯人の残党が出てきた。

「下がれ!こいつを殺すぞ!」

「他のお仲間は拘束した、もう逃げられんぞ!」

「ビルも包囲してる、投降した方が身のためだぞ」

俺と数人の隊員が犯人に銃を向ける。しかし犯人は興奮しており耳を貸さない。

「それはどうかな?」

犯人は片手に持っていたドラムマガジン付きのガリルを発砲した。

 

放たれた銃弾は包囲していた隊員2人に命中し一人は足、もう一人はアーマーを貫通して胴体に命中し撃たれた隊員はその場に倒れこんでしまった。

「そいつを下がらせろ!」

俺が命じると他の隊員が2人を抱えて部屋の外へと出て行き、部屋の中には俺と三木さん、犯人、人質の4人だけが残った。

 

「これで分かったろ!さっさと下がりやがれ!」

「で?」

「は?」

「言っただろうが、ビルは包囲され逃げ場は無い。仮に人質を外に連れて出ても、背中を見せた瞬間に撃たれてお前の人生ゲームオーバーだ」

「お前に残された選択肢は、今ここで降伏するか、穴だらけにされて死体安置所に行くかの2択だ。好きな方を選びな」

「ググググ、、」

俺達2人から言われた事に犯人はうねり声をあげる。

 

「それに女を人質にするなんて飛んだ腰抜け野郎だなw、ねぇ三木さん」

「ああ、そうだな人質がいないと何もできないカマ野郎だなw」

「な、、なんだと!」

犯人に挑発するような言葉を浴びせると、犯人はさらに興奮し始めた。

「どうしたカマ野郎手が震えてるぞ、そんなんじゃあ銃を撃っても当たらねえぞ」

「まさか怖いのか?だったら家に帰ってママにでも慰めてもらいなw」

「て、テメェらなめやがってぇぇぇぇぇぇ!!!」

さらに挑発を加えると、何を思ったのか人質を放り投げて両手で銃を握る。

「安置所がいいらしいですよ、三木さん」

「お望み通りにしてやるか」

 

俺はMP5、三木さんはUSPの引き金を引き、マガジンが空になるまで撃ちまくる。

撃たれた犯人は何発も銃弾を浴びて後ろ後ろへと下がって行き、最後はガラス窓を突き破り建物の外へと落ち、パトカーのボンネットの上に落下した。外では突然上から人が落ちてきたので警官や救急隊員が慌ただしく動いていた。

 

 

 

 

現在 警視庁本部喫煙室

「あの後2人とも減給処分喰らったけな、お前は直ぐに移動したから関係なかったが」

「すみません、処分受けたのに自分だけ何もなく、、」

「気にするな」

三木さんはタバコを灰皿へと捨て、外へ出て行こうとしたところで俺の方を振り向いた。

 

「最近噂で特区でよからぬことをしでかそうとする奴らがいると聞いた、お前なら心配ないと思うが気を付けろ」

「はい、三木さんも気をつけて」

三木さんは部屋を後にし、俺も部屋を出てエントランスへ向かった。

 

 

「終わったか?」

「ええ」

エントランスに行くと、先に聞き取りが終わった集十さんが既に待っていた。

「どうする、家族のとこ行くか?」

「いえ、帰りましょう、俺達の街に」

「そうか、なら行くぞ」

 

エントランスを出て集十さんの車に乗り東京を後にした。

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