特区警察警備部特別対応部隊 SRU   作:Jdeath0930

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第11話 少女

2025年5月13日 飛鳥特別行政区碧ヶ丘区 

「止まれ!」

高級住宅街を逃げる男を2・3人の警官が追いかける。

「容疑者は北へ逃走、まずい!この先は飛鳥学園があるぞ!」

<容疑者を何としても止めろ!学園に近づけさせるな!>

「73号車犯人の前に回り込め!」

<了解>

パトカーが男の前に回り込むが、男はパトカーのボンネットをスライディングして逃走す。そして男は学園の正門前に到達、まだ朝の登校時間のため正門前には多数の生徒がいる状態だった。

「君!止まりなさい」

学校の警備員が男を止めようと前に出る。

 

バン

 

男は隠していたブローニングBDMを警備員に向け発砲、撃たれた警備員はその場に倒れ込んでしまった。

「キャーー!」

「何だ!何だ!」

「あの人銃を持ってるわ!」

学生達が慌てて学園の奥へ逃げていくが、男は近くにいた女子生徒を引っ張って追って来た警官達の方を振り向く。

「近くな!近づいたらこいつを殺すぞ!」

男は女子生徒の頭に銃を突きつる。しかしその女子生徒の表情は異常なまでに落ち着いていた。

 

 

同日 飛鳥特別行政区警察本部 2F休憩室

俺と秋人は夜中の巡回から戻って来て休憩室で食事をしていた。

「そういえば聞いたか、東区で殺人事件あったの」

「殺人事件なんて特に珍しくもないだろ、特にこも街ならな」

秋人の話を聞きながら俺はうどんをすする。

「事件現場でお前が大橋の事件で見た連中と同じ服装の奴がいたと聞いてもか?」

俺はそれを聞き食事の手を止める。

「それは本当か?」

「ああ、MIUSATの報告書で現着した時に、奴らと少しやりあったそうだ。お互いに被害はなかったらしいがな、確か報告書は葛西て人が作成してたな」

(後で翔太郎に聞いてみるか)

「葛西なら知ってるよ、俺の幼馴染だからな。後で聞いてみるよ」

「そうか」

 

食事を進めていると突然館内放送が響いた。

<碧ヶ丘区飛鳥学園で立てこもり事件発生、館内の職員で出動可能な物は直ちに応援に迎え>

その放送と共に、仕事用のスマホにメッセージが届いた。

”A-1指令が本部長より発令、ブラボー、デルタ、チャーリーチームはB装備受領の後、直ちに準備を整え地下駐車場に集合せよ”

俺と秋人はそのメールを見ると、食堂を飛び出して地下にあるSRUの装備管理室へと向かった。

 

装備管理室には既に葵に瑠璃、召集がかかったチームの隊員が集まっていた。装備を受領して地下駐車場に止めてある装甲車や車に乗り込み、本部を出発した。

 

 

碧ヶ丘区 飛鳥学園

現場に到着すると既に周囲は警官や機動隊によって完全に封鎖されていた。車を降りて移動指揮車の前に集まると、先に来ていた集十さんが指揮車から降りて来た。

「全員集まったな、ブリフィーングを始める」

外につけられたモニターに情報が表示される。

「今日の0722時に碧ヶ丘の住宅で忍び込みがあった。気づいた住人が通報して警官とドーロンがすぐに周囲の捜索を始めたら怪しい男をドローンが発見した」

モニターの画面が切り替わり、黒づくめでマスクで顔隠した男が映し出された。

「マスクをしているが、警察のデータベースに登録された虹彩や身体情報で身元が割れた。木場大和、強盗と傷害で2度の逮捕歴、現在は仮釈放中」

「典型的な犯罪者の経歴だな」

「だな」

俺と秋人は犯人の経歴を見て思ったことを言う。

「警官が職質しようとしたが奴は逃走、この学園まで来て止めようとした警備員を隠していた銃で撃ち、女子生徒を一人を人質にグランド側のカフェテリア2階に立て籠もっている。」

「人質の情報は?」

またモニターが切り替わり、ピンク髪の少女の学生情報が表示される。

「櫻井ルカ、飛鳥学園高等部2年生。この学園で生徒会書記を務めている。親御さんは海外にいてすぐには戻れないとのことだ」

モニターには立てこもっている場所の見取り図が表示される。

 

「犯人と人質がいるのはカフェテリア2階西側の自習室、入口は一箇所だけだ」

「見た感じガラス張りの建物ですよね、チャーリーの狙撃で終わるんじゃないですか?」

隊員の一人が見取り図を見て言う。

「犯人が窓のところに出てくればな、すぐに壊されたが監視カメラの映像で犯人と人質はこの円形の机の裏に隠れてる」

集十さんが自習室の真ん中にある円形の机を指す。

「撃たれると分かってスナイパーの射線に入るバカはいないからな。メインはブラボーとデルタでの突入で、チャーリーは100%ないと思うが、犯人が姿を見せた時には直ぐに撃て。配置を教える」

モニターが切り替わりそれぞれのチームの配置位置が表示される。

「ブラボーは自習室入口に待機、デルタは自習室の隣部屋で壁に爆薬を設置して壁を爆破し突入。ブラボーもそれに合わせて入り口から突入しろ。チャーリの配置はこの緑の点だ。確認したら配置につけ!」

「「「了解!!」」」

 

 

 

 

カフェテリア2F 自習室

「クソクソクソクソ、何でこうなっちまったんだクソが!」

男は頭を抱えてパニック状態に陥っていた。

「だが、まだ生き残る方法があるはず。考えろ、考えるんだ」

ここに立て籠もってから一言も発しなかったルカが言葉を発した。

「無駄よ、いくら考えてもあなたは死ぬ。3つの事のどれかでね」

「何だと?」

ルカは男の方を向いて彼の顔を見る。

「もう既にここは警察によって包囲されてる。さらにこの飛鳥学園は資産家・政治家の息子や娘が通っているから警察は早期解決を迫られる。既に猟犬が突入準備に取り掛かっている頃ね、貴方みたいな小者の犯罪者でも猟犬の恐ろしさは知ってるでしょ」

「猟犬、、、特区警察の特殊部隊。犯罪者を容赦なく排除する地獄の猟犬」

「1つ目は突入。猟犬は犯罪者の即時殺害を基本方針にしている、猟犬が突入した瞬間にあなたは射殺される」

 

 

 

カフェテリア2F自習室前廊下

「こちらブラボーリーダー、配置完了デルタの行動に合わせて突入する」

<こちらデルタリーダー、現在壁破壊用の爆弾を設置中。あと3分で終わる>

<コマンダー了解、デルタリーダーへ俺の合図で爆破して突入。犯人を視認したら射殺して構わない>

 

 

 

「2つ目は狙撃ね。私を盾にして外に出ても、猟犬のスナイパーが四方に配置されてるから外に出ても射殺される。下手したら廊下に出た瞬間撃たれるかもね」

「くっ、クソ」

 

 

 

飛鳥学園西校舎3階教室 瑠璃の狙撃ポイント

「チャーリー4配置完了、2Fの自習室前廊下をロック」

<チャーリーリーダーからコマンダーへ全チャーリー隊員は配置完了>

<了解、チャーリー各員は犯人を狙撃できそうなら任意で撃て>

 

 

 

「3つ目は今ここで私に殺される。あなたが死ぬとしたらこの3つ目ね」

「あ?何言ってんだお前。お前みたいな少女が俺を殺すだと?」

「そう言うことよ」

ルカは男の手首と銃を握り、男の手首をひねり骨を折って力が弱まった瞬間に銃を奪い取る。

「本当は私の銃で殺してもいいのだけど、後が面倒だからあなたので殺らせてもらうわ」

「お、お前何者なんだ」

男の顔はどんどんと青ざめていく。

「私の運転手が元軍人でね、仕込んでもらったのよ」

「や、やめてくれ」

「私じゃなくて他の子を人質にすればよかったのに、運のない人」

 

 

バン、バン

 

 

「中から銃声が!」

「コマンダー中から銃声、突入する!」

<デルタ、爆破して突入しろ!>

<了解爆破する>

 

ドカーン!

 

爆発音と同時に俺達も入口の窓を破壊して、盾を持った秋人と上野を先頭に自習室へ突入する。壁に空いた穴かあらデルタチームも雪崩れ込み、円形の机を取り囲む。

「警察だ!両手を見えるようして立て!」

俺がそう言うと、片手に銃を持った人質の女子生徒が立ち上がった。

「男の人は死んでます」

「葵確認を、俺は彼女から銃を貰う」

俺と葵が円形の机の中に入り俺は少女から銃を受け取り、葵は倒れている男に近づく。

「死んでます」

葵が死んでいるのを確認すると、デルタチームのリーダーが無線で報告する。

「コマンド、犯人は人質が射殺、人質に怪我はないが救急隊員を待機させてください」

<了解>

「葵、大井その子を外に連れて行ってくれ」

「了解」

葵と大井は少女を連れて部屋を出て行った、残った隊員達で部屋を捜索した後に他の警官に引き継いで外へと出て行った。

 

外に出ると、救急隊員に診断されている少女とそれに付き添う葵と大井が見えた。

「話してもいいかな?」

少女は首を縦にふる。

「どうやって相手から銃を奪った?」

「私の運転手が元軍人で、身を守る術を教えてくれたんです」

「そうか、状況が状況だったから罪には問われないと思うが。聞き取りのため呼び出しを受けるかもしれないから、それだけは覚悟しておいてくれ」

「はい」

「親御さんは海外にいるけど迎えはあるのか?もいいなければ警官に送らせるが」

「いえ大丈夫です、既に迎えは呼んであるますから」

少女がそう言うと黒のメルセデスベンツEクラスが規制線の外に停車した、あれが呼んだ迎えだろう。少女はそう言うと立ち上がって車に乗り込んで、そのまま去って行った。

 

 

 

 

「お嬢様大丈夫でしたか?」

「大丈夫よ」

「猟犬に任せれば、聴取を受けずに済んだのでは?」

「殺したくなったのよ、私を危険な目に合わせたのがムカついたからね」

少女は窓の外を眺めながらウルフに語る。

「前殺した時もそんな理由でしたね、あなたを怒らせないようにしないと」

ウルフは笑う。

「フフフ、まあ気をつけてね。今日の他の予定は?事件で学校は暫く休みになるから、予定を早く片付けるわ」

ウルフとルカの乗った車はそまま特区の街中に消えて行った。

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