頭に浮かんだ設定吐き出す場所   作:Colore

7 / 9
どうやら作者は成り代わりがとことん好きらしいです。
昔からその手のものばかり書いていました。成長が見られないですね。
いやでも、その人の立場になって考えるっていうのが存外楽しくて。
九代目の苦悩とか、若獅子との出会いとか、リボーンとの出会いとか、考えるとわくわくするよね。
特にリボーン。個人的に推定45~60だと思ってるから、早くてティモじい30歳くらいに出会ってるんじゃないかなぁとか。殺し屋してるわけだし、普通に呪われる前のリボーンとの交流があったかもしれないし。結構仲がいいみたいだから十年くらいは少なくとも付き合ってるんだろうな。


九代目成り代わり

 ふと旅に出たくなるように、人はみんなチートトリップ求めるものだと、俺は言うけど。

 

 まさか、超直感(チート)転生トリップ物だとは思って無かったです。違う、求めてたのはそれじゃない。

 

 父も母もそれはもう逞しい(肉体的、精神的に)人だったからね、その遺伝子を引き継いでいるおかげか身体を鍛える分に関しては多分前世よりもずっと良い。でも、それでも。まさか。

 

「俺が九代目になるなんて聞いてない!」

 

 原作突入が60年後とか何なんですかヤダー!

 

 父はボンゴレ八代目の実子で、門外顧問を差し置いてボンゴレNo.2としてその名を轟かせている。つまりボンゴレ八代目は俺の祖母(ノンナ)に当たる。うっそだろおい。紙面で見た覚えてる限りの姿はキツめ美人だった彼女は、年をとってもたいそう美人で御年68には見えない。若作りすぎである。俺ことティモッテオは70になったらしわくちゃの誰から見てもおじいちゃんになるわけなんですが。遺伝子……。

 

 そんな、生まれも育ちも真っ黒いマフィア出身の俺ティモッテオは9歳、一週間後に10歳になります。ある程度一般人と近い教育機関に入れられているものの、普段の生活はマフィアのそれでいやになります。身を守るためとはいえ、銃の使い方に戦闘訓練、ナイフの扱いエトセトラ。しかも初挑戦で失敗したときには「これくらいできないとボスになれないぞ」なんて言われます。なりたくないです。切実にお断りしたいです。しかし八代目直系というわけで俺が最有力候補なんですよね。畜生。

 

 今なら沢田綱吉の気持ちが痛いほどにわかるよ。

 

 マジでなりたくない!

 

 そうも言っていられないわけですが。ため息しか出ない。つらい。死にたくないしなんだかんだ言いつつファミリーのみんなが好きだから腹括るけど。マフィアのボスとしての素質は正直無いと思ってるけど。マフィアとしての教育は施されるはずだからノウハウはそれで良しとしても、前世は小心者だし、仲間のために命張れる気もしないし運営とかも不安しかない。例え血液の中にチートが入ってるとしても精々対人関係で発揮される程度だって聞いたことあるし。全然強くてニューゲームできないし。っていうか前世の知識があるせいで苦手意識が先行して弱くてニューゲーム状態だし。愚痴しか出てこないけど。それでも。

 

――綱吉を見て見たいんだ。そして、綱吉に掛けたいんだ。このボンゴレを。

 

 前世は社会の歯車にだってなれなかった。交換可能で代用可能な消耗品でしか無くて。他に特技も無かった俺はただその現状に甘んじるしか無くて。そんな現実が嫌で、でもどうしようもなくて。なんで死んだかなんて覚えてないけどどうせロクな死に方じゃなかっただろう。

 

 でも今は。次代に繋げるための大切な血を授かって。生まれた時から歯車になることが定められていて。前世で得られなかった満足感を取り返すチャンスだって。分かってしまったから。

 

 それに、だ。ティモッテオこと九代目には守護者が集まる。家族のように大切な存在たちが。そして家光と出会う。若獅子と呼ばれ若年でナンバー2に上り詰めた類い稀なる才能の持ち主に。アルコバレーノにだって出会うだろう。ラル・ミルチやリボーン。彼らに会う楽しみだってあるんだ。一目見たい、という欲望に見合わない罪の重さでも。

 

 今はまだ覚悟を決めなくていい。世界を知るだけでいい。いつかは命を背負えれば。

 

 澄み渡る青い大空を眺めながら、俺は静かに心を決める。

 

 

 

 なんてかっこつけたけど、そんな夢想すぐに粉砕されますわ!

 

 無理、あの決意を常に心に留めておくとか無理。狙撃練習してる間そんな余裕ないわ。教官厳しいし。なんかノンナに依頼されたらしくて、最初に「坊ちゃんの教育はビシバシいくんで覚悟しといてくださいね」なんて軽口を叩かれた。有言実行タイプだったらしく超扱かれてる。俺ヒットマンにでも養成されてるの? ってくらい一撃の技をひたすら叩き込まれてる。怖い。ティモッテオの武器って杖じゃん。銃もそりゃ使えるに越したことないけど目標高過ぎだってばかぁ!

 

 座学も座学だよ。そりゃ主人公みたいに部屋爆破とかしないけど、普通にスパルタだし宿題多いし腱鞘炎になるかと思った。「ボスになるならこれくらいで音を上げては務まりません」とかなにそれ怖い。デジタル化を希望する。タイピングには自信がある方です。ダメ? まだそんな時代じゃない? 辛すぎる。ペンタブでサインができるようになるにはあと何年必要ですか?

 

 前世ではパソコン三昧だから触れないって思うとつらいなぁ。っていうかまだパソコン生まれてない。インターネットもない。ちゃんねるもない。しんどい。見れないと思うとつらくなってくるアレだよね。

 

 俺は一つ決意した。

 

――この常識離れした権力を使ってインターネット黄金期を再び拝むのだと。

 

 正直さ、記憶が残ってる次代ってもう動画の黄金期も終わったし歌唱姫の黄金期も終わってつべやらカメラが流行る、こう、地味についていけないというか衰退期というか。ね? だからさ時々思ってたんだよ。昔に戻りたい、って……70年も遡るとか意味分からな過ぎて腹立つけど。

 

 

 そうやって着実に次期ボスとして育てられて早5年。俺も15歳になりました。まだまだ子供扱いはされているものの、ある程度は認められているようで大人な扱いも受け始めました。嫌ですまだ子供でいたい――いやんそんな目で見ないで真面目に生きるからぁ!

 

 うん、こうして教育を受けてきたわけだけどさ。「次期ボス」として育てられるってめっちゃ意識するっていうかなんというか。この教育ってさ、ティモッテオがザンザスにした教育と似たようなものって想像するとさ。うん。あれだけ期待させておいて、騙しておいてって思ってしまうのは仕方ないのかもしれない。俺も今「実は血縁者じゃなかったぜテヘペロ☆」なんて言われたら絶望半端ないし殺してでもボスの地位――は別に要らないけど、それでも心に深い傷を負うこと間違いなしだよ。どんなに精神が強いザンザスでも泣いちゃうレベルだよ。うん。これはあかん。将来的にザンザスは引き取るつもりだしそれはもう息子として育てる覚悟はしてるけど。絶対に真実は先に告げておこうと思う。それでザンザスとの心の距離が開いたとしても、こちらから全力で歩み寄っていけばいいんだ。俺にだって大空の血が流れてんだぞ舐めんな。凍った心なんか調和で溶かしてやるわぁ!

 

 うんうん新しい目標もできたことだし満足である。

 

 ところで、15歳と言えばジャッポーネでは中学生だよね。あ、因みにイタリアでは15歳はスクオーラ・セコンダーリア・ディ・セコーンド・グラードと言って所謂高校に行きます。5年間。直訳すると多分2度目の第二学校。うん。ガバガバ翻訳過ぎだわ。小学校がスクオーラ・プリマーリアで、中学校がスクオーラ・セコンダーリア・ディ・プリーモ・グラード。プリモっぽいニュアンスだったら大抵ファーストの意味だし、それに倣ってセコンドみたいなあれだったら大体第二のって意味になるよ。ティモじいのイタリア語教室でした!! ガバい? 知ってる。何でこんな話をしたかっていったらさ、高校が「第二次中学」みたいに言われてるのすっげー違和感なの! 中学校の延長戦って! そりゃそうかもしれないけど中学校に慣れて生きてきた俺としては未だにイタリア人の感覚が上手くつかめていません。日本人の感覚は根強いのです。

 

 閑話休題。

 

 何が言いたかったというと、あれです。守護者です。だって考えてみれば綱吉は13~14歳の間に守護者全員揃えたんだよ。比べるのはおかしいかもしれないけど。それでも、俺の知ってる前例が綱吉しかいないのだから参考にしてしまうのも仕方ないと思わない? ってことなんだけどさ……俺未だに一人もいないのよ。うん。守護者席すっからかん。たまに狙ってくる目ざとい奴がいるんだけど気持ち悪くて無理。直感が無理って言ってるからヤダ。危機管理とかにはまだ使えない俺の超直感も対人関係になると途端に強気になります。"神の采配"ルートありえるわ。

 

 そもそも守護者ってどうやって集めるんだよ……俺が知ってるのって初代と綱吉のしかないし……。初代に至っては最高に意味分からないけど。どうやったらイタリア貴族(?)とかヒノモトの国の笛奏者とか元ボクサー神父とか謎の中華鍋坊ちゃんとか引っ張ってこれるんだよこれだからチートは。ちくしょう。全く参考にならない。綱吉に至っては基本リボーンと家光が揃えてたしな……獄寺とか骸とか。参考にならない……。あんなチートメンツ揃えられるのが可笑しい。

 

 大空の元に天候は集まる、らしいからもう少し楽観視しててもいいのかなぁ……。今まで全然俺の天候に出会わないよう……。流石の俺ももうティモッテオの守護者の名前とか忘れたから探すに探せないよう。

 

 あれか。もうノンナ――ダニエラに聞くしかないのか。そういえばノンナはどうやって守護者を集めたんだろう。考えたこともなかったな……今、空いてるだろうか。アポとろうそうしよう。電話万歳。電話があって本当に良かった。流石にこれが無いとしんどい。まだまだ板を見る日は遠そうだけど。

 

 何とか都合が付けられたので、明後日の夜はノンナと久々のお食事会です。やったね! テーブルマナーがどれほどのものになったか楽しみにしているそうです。やめて心臓に悪い。もちろん生まれてからずっとここで生活してきたわけだからある程度染み付いてるから心配はしてないけど。でも彼女がわざわざ伝えてくるってことはつまり意地の悪いことを考えているのかもしれない。気を引き締めて行こう。

 

 そういえばノンナももう73歳なんだよな。そろそろ世代交代しないとアカン時期ではないですか……。それにしても長生きしてるな。マフィアのボスって長生きできるイメージ無かったんだけど、ティモッテオと言いノンナといい殺される気配も病死する気配もまるでないのは流石ボンゴレといったところなんだろうか。初代は修行だ! とか言って崖のぼりはじめ引退だ! って言って日本に隠居するとんでもなくはちゃめちゃな人だしその家系(マフィア的な意味で)って考えると長生きなのは当たり前なのかもしれない。

 

 そんなことを漠然と考えて二日経ちました。今晩はノンナとお食事会で普段より一段と豪華なご飯を食べられます。ドッキドキすぎる。心臓ばくばく言わせながら連れられたのは落ち着いた雰囲気の料亭だった。どこかで見覚えが……?

 

「久しぶり、ティモッテオ。元気にしていたかい?」

「はい、ノンナ。本日はお時間いただきありがとうございます」

「なに、可愛い孫のめったにしない頼み事だからね。私もずっと会いたかったし、これくらい当然だよ」

「俺も会いたかったです。それで、この料亭は?」

「ああ。最近の私の気に入りでね……ワショクという、ジャッポーネの料理なんだ。ハシという二本の棒を使って食べるのがマナーでね。どうだい、テーブルマナーは勉強してきたかな」

 

 ノンナはいたずらが成功した子供のようにかわいらしく笑っていた。全くなんて笑顔の可愛いおばあちゃんなんだ畜生怒れない。怒る気も資格もないけどな! っていうかここ、見覚えあると思ったら和食かよ! 嘘でしょそんなの訓練してきてないよ! まぁでも前世はずっと日本だったんだ。これくらい……どうってこと……日本でもちゃんとしたテーブルマナーとか考えたことなかったわ。無理だわ。普通に刺し箸するし寄せ箸とかしてたわ。会食とかほとんどしない下っ端だったから飲み屋でベロンベロンになりながら箸使ってる記憶が最後です。うわあ不安。大丈夫大丈夫魂に刻まれた大和魂を今見せる時だ!

 

「それで、ティーテ。私に聞きたいことって?」

「はい。実は、ノンナが守護者を集められた時のことが聞きたくて」

「ああ、なるほどね。そうね、そろそろあなたには話しておいた方がいいわね。少し長い昔話になるけどちゃんと聞いておきなさい、ティーテ」

「はい、ノンナ」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

ティーテ※ティモッテオの略称がティーテなら言いやすいんじゃないかなぁって。

ティモ:目標は守護者集め。この時、彼はまだ自分の守護者が甘いものまみれになるとは思ってもいなかったんだ……。(名前参照)

ダニエラ:孫が箸使いこなしててびっくりしてる。親日家だったかしら?

 

 

 

 

 

 

という、またもや誰得レベルの過去捏造も甚だしい九代目成り代わり。うん。

書くか分からないからある程度ネタバレしていこうかなあ。

 

↓小説用に考えてた小ネタ。

 

小ネタ

 

 ☆九代目の守護者は全員お菓子の名前である。(ガチ)

 ☆コヨーテ・ヌガー、ニー・ブラウJr.はアメリカ人(コヨーテさんは仏系か米系かかもしれない。恐らくハーフ)

 ☆ガナッシュ・III、クロッカン・ブッシュはフランス人

 ☆ブラバンダー・シュニッテンはドイツ人

 ☆ビスコンティはイタリア人

 ☆恐らく、ニー・ブラウJr.とブラバンダーとクロッカンは世代交代している。

 

っていうの。みんなの名前からある程度国を予測してみた。〇〇系〇〇人とかになったら手に負えないからスルーで。ガナッシュさんは結構迷った。名前の読みは「スリー」だからアメリカ人かなぁと思ったけど、もしかしたらフランスかもって思って。うーん悩むところ。

最後の三人は、ティモッテオと比べてあまりにも若かったから。ティモッテオ70歳なわけだし、同い年くらいで構成してたのなら世代交代もありかなって。おあつらえ向きにJr.とかついてる人いるし。

 

ストーリーとしては恋愛要素もはいるかなぁって思います。

というのも、10代目候補だった三人って九代目の甥っ子なんですよねぇ。なんで九代目に子供おらんの? って。女でもボスになれるボンゴレは娘がいたのなら継がせると思いますし。ってことは子供はいなかったんです。

だとするとどうして? ってなりまして。ただの種無しだったら(作者が)辛すぎるので、生涯一人の女だけを愛した人になってもらおうかと。うん。ティモッテオの名を使うのだから物語は綺麗な方がいい。

 

後はリボーンや若獅子との出会い編。リボーンはまだフリーのヒットマンとして絡ませやすい気はするけど、問題は家光だよね。

38歳で組織のNo.2、門外顧問の長。肩書がやばい。部下からの信頼も厚いしザンザスとの交流もあるから、少なくとも8年前にはいる。ってことは30歳ですでに顧問してた可能性。やばい。流石若獅子。絡ませるのが難しい。そもそもお前も継承権あるじゃんって。そのあたりの整合性とるための深堀とかもあるから、続き書くなら漫画と睨めっこして考察めっちゃした後になるかもしれません。

 

でも正直書きたい。「作者の人そこまで考えてないよ」って千代ちゃんに言われるくらい深堀するのが趣味です。

 

 

以下小ネタ

 

 

 

 

 

 

 

【ティモッテオの叫び】

 

 

 

 

 

 

「なんで俺の守護者全員お菓子の名前してんの……?」

 

 

 

―――――――――――

ティモ:誕生日に毎年必ず名前にちなんだお菓子が贈られてくる。怖い。

守護者:ここまでみんな名前にお菓子が入ってるってことはボスはお菓子好き、と勘違いしている。

リボーン:甘いものに苦労しているティーテにコーヒーを贈っている。

 

 

 

 

 

 

【リボーンとの出会い~もしも、若いリボーンと出会っていたら~】

 

☆設定☆

 

 リボーンとティモッテオの年齢差は11歳。

 ティモッテオは19歳。

 リボーンは7歳。

 

 

 

 

 

 トン、と足に誰かがぶつかってしまう。ぼーっと考えていた俺のせいだ、と思ってすぐに視線を下に下げると、そこには特徴的な揉み上げをした少年が地面に尻餅をついていた。大きい瞳ながらも鋭さを持つ漆黒のそれは飲み込まれてしまいそうで、うっかり凝視してしまう。一瞬のことだったからいいものの、あまり初対面でそういうことをするのはよくない。相手子供だし。

 

「ごめん。大丈夫かい?」

「……うん。へいき」

 

 手を差し出すと掴むこともなく立ち上がる少年に少しさびしさを覚えるものの、警戒するのも無理はないと思い思考を切り替える。

 

 それにしてもこの少年はやっぱり似ている。記憶の中の彼の特徴に。うん。赤ん坊から成長したらきっとこんな姿になるんだろう。正直可愛い。

 

「本当にごめんね、俺が周りを見ていなかったから」

「別に。……それじゃ」

「あ! 見つけたぞリボーン!」

「げ」

 

 遠くから聞こえてきたのはハツラツとした元気な声だった。揺れる金髪に青い瞳。黒いタンクトップに身を包んだ少年の顔はこれまたどこかで見たことある美形さんだ。

 

「その兄ちゃん誰なんだよ」

「そこでぶつかっただけだ」

「俺の不注意でね。俺はアウレリアーノ」

「俺はコロネロだ!」

「……俺はリボーン」

 

 やっぱり二人だった。うわーーーーーすごい、ガチ幼少期っていうか成長期の二人組とかやばい。綱吉の時代に生まれていたら絶対に見られなかった。感動した。超レアじゃない? あーーーー。

 

 っていうか、なんというかリボーンっておとなしい子だったんだなぁ。本編の 傍若無人っぷりからてっきりはっちゃけ系かと思ったけど。いや、陰湿に他人でストレス発散するような奴がはっちゃけ系なわきゃないか。

 

「よろしくね、リボーン、コロネロ。ああそうだ、もしよかったらお詫びにどこか食べに行かない? 奢るよ」

「要らねぇ。不用意に大人についていくなって言われてる」

「そっか……残念。俺一人であそこのジェラート屋に入れなくて、どうせならって思ったのに」

「詫びのがついでじゃねーか!」

「なあ! あそこのジェラート屋って、今人気のあそこか!?」

「う、ぐ。お詫びだってちゃんとしたいと思ってるし! ていうか、コロネロは知ってるの? そう、あそこ! 気になってるんだよね」

「なあリボーン良いじゃねーか、甘えちまおうぜ」

「なんだ、そんなにジェラートが食べたかったのか?」

「あそこは絶品だって叔母さんも言ってたんだよ」

 

 それにしてもコラってついてないコロネロ何て新鮮~。アニメでも漫画でも確かずっとコラってつけてたよね? なんでだったかは覚えてないけど、それが強く印象に残ってたんだよね……。警戒心が強くて表情の良く出るリボーンも新鮮だし、これは古い時代に来ての利点の一つだったかもしれない。

 

 っていうかなんで二人一緒なんだろう? 同郷だったんだっけ。スナイパーライフルの扱いがバケモノ級くらいの記憶しかもう残ってないから全く思い出せん。原作漫画の無いつらさ。

 

「へぇ……どうしてもっていうならついていってやらないこともないぞ」

「お願いします!」

 

 どうせならリボーンたちをもっと見ていたいし!

 

「やったぜ!」

「それじゃジェラート屋までレッツラゴー!」

「れっつらごー?」

「レッツラゴー!」

「! レッツラゴー!」

 

 聞きなれない言葉に首を傾げていたコロネロに、一押しと言わんばかりに声を張り上げたらノッてくれた。ノリのいい子供である。可愛い。なんだこいつら可愛い。

 

 

 ……可愛かったのは、喧嘩しないその時までだったと知るのは少し先の話である。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

ティモ:のろいじゃないあるこばれーのの成長見られて嬉しい。

リボーン:大人は警戒するけど観察しても悪い奴に見えなかったので釣られた。

コロネロ:あんまり高いスイーツ食べられないから楽しみ。

 

 

 

 

 

 

 

【ザンザスとの対面(パターンA)】

 

ティモ:54歳

ザンザス:8歳。

 

 

 

 

 ボンゴレにある連絡が入ったのは先週のことだった。

 

 その内容というのも、スラム街で生まれた子供がどうやら俺の血が混じった子供らしい。そんな訳がないのだ。俺はもうこの年であるし、そんなに持て余してもいない。そういった行為とはここ数年縁がない。ハメも外してない。

 

 しかし。

 

 その子供はどうやら炎を扱えるらしい。ボンゴレだけが許された灯火、死ぬ気の炎。ボンゴレだけが、と今は言っているが、人間誰しも死ぬ気の炎を持っている。基本は媒介が無ければ灯せないためにボンゴレの特権となっているが……。

 

 極稀に、死ぬ気の炎を媒介も無しで灯すことができる特殊な人間が現れる。かのボンゴレ二世もその一人で、彼はその体から憤怒の炎と呼ばれる死ぬ気の炎を灯し戦っていた。そういった人間は現れることがある前例だった。

 

 これらが意味するものとはつまり。

 

 俺の子供と、やっと出会えるということだ。

 

 彼のために、そして俺のために、一刻も早く保護しなければならない。表向きは俺の実子として迎え入れることになるだろう。対面的に最も都合が良いのだ。彼には悪いが……。

 

 コヨーテに確認を取り、守護者全員に話を伝えた後、連絡を入れてきた女性に折り返し引き取る日程を決める。彼女が納得するだけの金を用意して、今日、ついに引き取りに行く日なのだ。怖がらせてはいけない。彼に信頼してもらえるよう、精いっぱい努めなければ。

 

 ああ、長年夢見てきたが、こう現実になると些か落ち着かないものがある。子に恵まれなかった俺としては子育ては初めてなのだ。恐らく、俺ではないティモッテオもそうだったのだろう。だからザンザスはああも歪んでしまったのだ。俺はそうはさせない。彼に少しでも幸せになってもらいたいから。

 

 スラム街へと足を運ぶと、女性は興奮のためか目を見開いてザンザスを連れてきた。黒い髪に赤い瞳。その眼の中にはどこか躊躇や不安も混じっているが、態度にはおくびにも出さない。俺はこの時直感した。――彼は、上に立つ者だ、と。

 

 だからこそ孤独を味わうのだろう。親から真っ直ぐな愛情をもらえずに、傲慢に育ってしまえば陥るのはあの未来だ。決して手は抜かないよう、俺のありったけの愛を彼に注ごう。

 

「キミがザンザスかい?」

「ああ」

「そうか。私はティモッテオ。キミの父親だ。――炎を、見せてくれるね?」

 

 ザンザスは無言でうなずくと、その瞳を俺から外さぬまま手に憤怒の炎を灯した。荒々しくも美しいそれは、肉眼で見ればなお美しい。話に聞いているだけでは実感できないものもあるのだ。

 

「ありがとう。――綺麗な炎だ。おいで。私たちの家に案内しよう。コヨーテ」

「はい、ボス。……それじゃあこれを。達者でな、お嬢さん」

 

 俺はザンザスの小さな手を引いて車に乗り込む。もちろん、彼の隣に。こうしてみると本当に小さい。大きくなると分かっているが、それでも願ってしまうほどに。これからの成長が楽しみで仕方がない。

 

「なあ」

 

 俺がそわそわと落ち着かないのに気づかれただろうか。少し焦りながらも、ザンザスに向き合って微笑みを浮かべる。

 

「なにかな?」

「――俺の父親じゃ、無いんだろ」

「……え?」

 

 彼の口から出たのは俺が予想していなかった言葉だった。態度に出してはいけないのに、ボスとして失格になるほど大きく動揺してしまった。何故、俺の超直感はこういう時に役に立たないのだろう。

 

「アンタを街で何度か見かけたことがある。……アンタは母親と関わるような人間じゃない。なんで、俺を引き取った」

 

 こちらを図るように見つめてくる彼と、その言葉がひどく冷たく感じられて、俺の思考は一瞬停止した。それでもすぐに正常を取り戻して考える。この子にはバレている。その類い稀なる知能と、恐らく培ってきた勘故だろう。俺の行動が"ティモッテオ"と違っていたのも原因だったのかもしれない。彼は本当に聡い。少しでも言葉を胡麻化せば勘づかれ嫌われてしまうかもしれない。それは純粋に嫌だった。

 

 少し伝えるのが早くなっただけだ。かまわない。俺は一つ深呼吸をして彼に笑って話しかけた。

 

「ああ。確かに君は俺とは血縁関係がない。……俺はね、昔妻を亡くしたんだ。彼女との間には恵まれぬまま、新しい人を迎えることもないままに年を重ねてしまってね。未だに子がいないんだ。そんな時に君が現れた。俺の子だと名乗る、ザンザスが。俺はもう妻以外の女性を愛することはできないが、子を、人を愛することはできる。家族を愛することができる。俺の家族になってくれるという子供を、俺は引き取りたいと、そう思ったんだ」

「……本当の親じゃないのに、家族になんてなれんのか」

「なれるよ。なれるとも。いや、なってほしい。俺の家族は、そういうところなんだ」

「…………」

「ザンザス。キミが良ければ、俺の子になってくれないか……?」

「……ハッ。マフィアのボスだって聞いてたからどんなことを言ってくるかと思えばお願いか。情けない奴だな。命令でもなんでもすればいいのに。……でも、そうだな。アンタの家族に、子供に、なって、みたい」

 

 そう言って俯いてしまったザンザスを俺は頭から抱きかかえた。突然のことでもがいてるザンザスなんか無視して、ぎゅっと、それでも優しく抱き込む。ふふふ、これでもマフィアのボスだから鍛えているんだよ。子供の腕力なんかには負けていられないからね。そう心の中で呟いて、左手でザンザスの頭をゆっくりと撫でてやる。安心してくれたら、いいんだが。

 

「ありがとう、ザンザス。俺の子。愛しい息子。これからよろしく」

「……よろ、しく」

 

 それからはずっと抱きしめあって、車が本部へつくまで心地よい静寂を楽しんでいた。

 

 

―――――――――――――――――――

パターンB:もっと後になって判明するパターンも考えてた。

ティモ:老年になって随分と落ち着いた。

ザンザス:実はずっとコヨーテには睨んでた。

コヨーテ:自分ばっか睨んでくるムカツクガキだなという印象。

ガナッシュ、ブロバンダー:ティモが街へ行くときは大体どっちか。

 

 

 

 

 

 

 

 

家光編は流石に書けなかった……。

続きがほしいやつ

  • 九代目成り代わり
  • 気まぐれで

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