Re:夢X夜   作:ろあ

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2019/10/09

 あれは2019年10月9日の夢だった。

 

 

 

 私は高校の体育館の舞台袖にいた。劇の監督でもしていたのだろう。体育館には観衆が座っていた。彼らのことを不愉快に思った私は演者に向けて、「うるっせーよ!テメーらに見せるモンなんざもう何もねーよ、とでも言っとけ」と言った。演者は一言違わずその通りに伝えた。

 

 前日に余計なことを思い出して、癇癪気味にドアをバタンとやったせいだろう。夕方には母が鎮静剤など買ってきたので、「気違い扱いしやがって!」と、母にというより自分、あるいは自分を現状へ追いやった万物に対して苛立っていた。ネットでのことを忘れたくて、色々と書き込みを消した。

 

 

 

 別のシーン。私はKing gnuの『白日』のサビを歌いながら、自転車で坂を下っていた。坂を下りた先は堤防になっていて、垂直に曲がる必要がある。私はドリフトをしたが失敗し、自転車は海へと飛んでいった。私が自転車を惜しんで芝居がかった悲哀の叫びを上げると、猛スピードのタンカー船が走ってきた。タンカー船は自転車を撥ね、自転車は見事にこっちへ吹っ飛んできた。

 同じシーンが二度繰り返された。二回目はそのシーンを誰かが隣で見ていた気もする。

 

 

 

 別のシーン。私たちは修学旅行か何かで、ある町を訪れた。東洋風の、寺院など歴史的建造物の多い落ち着いた町だ。グループに分かれて散策を始める。私のグループは寺に入った。境内を望む門の前で、クイズを出題された。時間内に三問回答すればクリアのようだ。二問は仲間が答えた。確か「この地域の人間が子宝に恵まれることを願って食べていたものは何か?」という問題があった。私は米と答えたが、正解はなんとか餅という特産品だった。制限時間ギリギリの、最後の一問。「星のような……」の時点まで問題文が読まれると、私は「スターカット」と答えた。正解だった。「星のような形であり、また中に星が散りばめられているようにも見えることから名前のついた宝石のカッティング法は何でしょう?」という問題だった。

 

 クイズが終わると、私たちはその隣の博物館に向かった。博物館前の道路は馬車の行き交う明治時代のような光景があった。交通量が多く、渡るのにはそれなりに気を遣った。

 博物館の入り口では傘と靴を置いていくのを忘れて多少咎められた。博物館の中は赤絨毯の廊下が立体的に交差する、西洋的な空間だった。確かこの博物館は郷土史の、明治維新にあたる部分にフォーカスしていたと思う。私が仲間に遅れて追いつくと、中国人のガイドがついていた。ガイドは「中国人は物を大切にします」と言った。その直後に私の足からスリッパがすっぽ抜けて下の階へ落ちていったので、私はえらく顰蹙を買った。さて、博物館では一緒にいた友人の一人の様子がおかしかった。小中学校での友人だが、態度がいつもと違うのだ。やがて友人は、実は別の友人が変装で成り代わっていることを明かした。誰でしょうと聞かれ、問答を繰り返すうちに癖が出たので見抜いた。

 すると、博物館の廊下は屋外に繋がった。木製の空中回廊の一角に、広場が設けられている。そこでは化けられていた側の友人の誕生日パーティがやっていた。学校の生徒全員で、『マイムマイム』を踊って馬鹿騒ぎしていた。

 

 ダンスが終わると、一行は木製の飛行艇に乗っていた。次は宴会のようだ。私は四体のボーカロイドを連れていた。初音ミクと、それを改造したものが三体だ。どうやら先ほどのマイムマイムは彼女たちがボーカルだったらしい。食事の途中、同席していた誰かがボーカロイドたちに歌うよう求めた。しかし、本来人間が歌わせて歌うのがボーカロイドである。アドリブは大の苦手で、当惑しながら覚束ない声で歌っていた。そこで私は彼女たちに代わって歌ってやった。「お前じゃない」という目線を気にせず、待ってましたとばかりに。曲は確か、『Freely tomorrow』だったと思う。

 

 それから、飛行艇の眼下でポケモンのアトラクションがあった。トレーナー同士が戦闘の最中、互いのポケモンにモンスターボールをぶつけあって点数を競っている。私はそこで未来を見た。「この戦闘で二番目に繰り出された技は何でしょう?」という問題が出る。そう思って暗記していた私だったが、試合が終わって飛んできたのは問題ではなくボールだった。ホームランボールを狙う観客のように、仲間たちが手を伸ばす。ボールは隣の友人のところへ来た。私は友人を油断させようと興味が無いように装い、しかしボールがすぐ近くまで来たところでサッと手を伸ばしてキャッチしてやった。

 次は私たちの誰かがバトルに参加するよう求められた。生徒の一人が行ったが、この生徒がなかなかに巧妙だった。敵の方にボールを投げると、投げ返しが来る。ならばとこの生徒は手近にいる野生のマダツボミにばかりボールをぶつけ、一方的に点を稼いで勝った。

 そのあと、飛行艇からは赤いジェット飛行ユニットの女が飛び立った。彼女は毎年こうしてこのイベントに向かうようだが、もういい歳になる上に年々予算の都合で装備がショボくなっていて、辛そうだった。

 

 そのあと、一行は低空飛行する丸太を電車のように使って移動していた。何かの慰霊を目的とする尊い寺院の前を横切ると、私たちは黙祷と礼を要求された。しかし丸太のバランスはサーフボードのように危ういもので、頭を前にやることを躊躇うのは私だけでもなかった。

 

 やがて市街地に着いた。洒落た街だ。それまでの悠久の町はどこへやら、ロンドン駅かディズニーランドのようなアーケードのある通りに通された。私たちはグループに分かれ、一人一つのマンホールのような飛行物体に乗せられた。マンホールは自動制御されているようで、決められたコースを周回する。アニメなどのキャラクターコーナーがあって、妖夢のコーナーがあった。私はスマホで撮影しようとしたが、マンホールが絶叫マシンのように縦回転するので掴まっているのに精いっぱいだった。

 

 マンホールライドが終わると、キャラクターコーナーには大きな絵が並んでいた。中には街頭に相応しくない対象年齢のものもある。どうやらこの後、絵の中のキャラクターに会いに行けるようだ。しかし各キャラ一人の抽選式である。特にこだわりの無い私は競争率の低いキャラを狙って時間いっぱいまで待ってみたが、どれもさして変わらなかった。水銀燈、紫、幽々子あたりで迷って、結局幽々子にした。隣には妖夢もいたが、何となく自分が会うのは抵抗があったので見送った。  


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