Re:夢X夜   作:ろあ

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連投失礼します。


2019/11/09

 私は大学のような施設にいた。といっても、自分の知る阪大のキャンパスよりは建物が古い。私は二人の旧友に続いて建物の上を進んでいた。外周の通路を進んでいたはずが、途中からは張り出した柱を忍者のように進んでいく必要があった。結構な高さだ。難なく進んだ二人に後れを取りながら、私は柱を渡った。

 次の建物に入ると、天井に何か祠のようなものがあった。そこには刀のマークと共に数人の剣客の名前が入れ替わりで表示されてた。そのうち数人は既に倒しているようで、名前に線が入っている。剣客の中で一番まずいと思ったのは、毒の剣客だ。そいつは居場所が不明のようで、キャンパスの探索中に鉢合わせると突如として斬りかかってくるらしい。仲間とはぐれている今など、特にまずい。さて、そうしていると私は背後からの視線に気づいた。見ると、別の剣客が天井に張り付いている。この剣客も先の祠に名前のあった者だが、天井に張り付く割には奇襲などせず、どころか果し合いの前に手洗いへ行きたいというと快諾してくれた。さて、用を足していざ尋常に勝負、といったところで例の毒の剣客が乱入してきた。二体一を嫌った天井の剣客が迷っていると、先に行った仲間たちが戻ってくる。更にはどこから現れたのか、既に倒した剣客たちも湧いてきた。彼らは倒された後小さなマスコットキャラのような姿で私に付き従っていたようだが、この機会に謀反を起こす気と見える。結局、その場は乱戦になった。

 剣で斬りあうのかと思いきや、いつの間にか敵はアーケードゲーム機になっていた。メダル式のスロットマシーンのようだ。どうやって倒すのかというと、単に殴るだけである。私が手近な機体を殴っていると、父の声がした。「お前がそこにいると、弟が殴れない」と。私の後ろには弟が控えていた。

 そのままゲームは『マリオカート』に変わった。私はなぜか弟と二人で一つのハンドルを握るという難題に挑戦していた。何度も落下の危機を迎えながらレインボーロードの上を走り抜けると、見事に一位である。二人はハイタッチをした。ランキングを見ると、むかし話したことのあるWeb作家の名があった。弟は「話してきていい」と言ったが、私は「もうあそこには戻らない」と言って無視した。それから、私と弟は互いに得意なゲームの成果をシェアした。弟が『モンスターハンター』の素材を寄越し、私はポケモンで返した。

 

 

 

 別のシーン。私は団地の廊下にいた。怖い男がもっと怖い男に粛清され、見るも無残な様子だった。血塗れだ。肉も覗いていて、確実に死んでいる。どうやら自分は裏社会の食い物にされかかったらしい。つまりは素人に手を出した小悪党へのけじめとかいうヤツだろうか。粛清者が「まあ、大抵こんなのに狙われるのはパチンコかヤク中のクズ、あと売れないミュージシャンあたりかねぇ」と言ったので、私は作家志望であることを告げ、「まあ、これも貴重な体験です」と茶を濁した。そして「ありがとうございます。どうぞお元気で。できればもうお会いしないよう、頑張ります」と言って別れた。

 

 私はそれから隣の団地に行った。非常階段の踊り場に、子供たちと並んで座る。私はここで今日まで彼らに何かを教えていたらしい。向かいに野球場があるのを見ると、野球だろうか(私は下手だが)?まあ、とにかく今日までだ。きっと塾の生徒たちあたりがモデルにあるのだろう。変わり者の自分は半分慕われて、半分好奇の目に晒されているような、そんな具合だった。最後だからといろいろ話をしていると、夢とか将来とかそんな話になった。すると上の階から、不良生徒たちがヤジを飛ばしてきた。「臭い話をするな」「夢なんて馬鹿馬鹿しい」「そいつらには無理だ」そう言って笑う彼らに、私は最後に一言言っておこうと思った。階段に座っている子供が何か取り込み中だったので、私は階段を使わず踊り場から上の踊り場へ直接よじ登ろうとした。すると、不良の一人が私の手を踏みにじった。痛い。しかし手を離せば落下死は免れない。私が悲鳴を上げていると、上の階に私の仲間が現れた。実在の人物でも既存のキャラでもないが、容易に人を殺める凶悪な女性という設定だった。彼女が不良たちを締め上げると、不良たちはすぐに私を解放した。しかし彼女は依然不良たちを殺す気でいたので、「やめるんだ、将来ある若者たちだ」と言うとなんとか矛を収めてくれた。不良たちはそれで更生した様子だった。

 

 

 

 それから、また団地の非常階段のシーンがあった。今度は階段の各階から、人々がトーストの表面についたチーズを削ぎ落している。落ちたチーズはそのまま地面へ。実にもったいない。そう思った私は何かこの状況を改善するイノベーションは無いかと考えた。すると、父が現れた。何でも歴史を辿ると既に世界にはこれを解決するものがあるらしい。父はチーズの落下地点に穴を掘った。ここが集積所になるらしい。それから、隣にも穴を掘った。この穴の用途は覚えていない。それから、チーズ集積場と合せて階段をL字に囲む位置に第3の穴を掘った。なおここの地形は坂で、L字の上方向へ向かうにつれて地面は盛り上がっている。第三の穴は自由な物を入れていいとされているが、こうするとここの住人たちは財産か死体のどちらかしか入れない。それから、父は第四の穴を掘った。位置で言うとL字の縦延長線上だ。そしてここに湯を張り、浴槽とした。理屈は知らないが、隣が財産か死体なので衛生的なのだという。なお、全ての穴は紙で覆われていた。最早やっていることが古代遺跡のレベルだったので、私は「この住宅様式が誕生したのは、パピルスよりも後の時代なのか?」などと驚いていた。

 

 

 

 別のシーン。私はまた大学にいた。鳥人間コンテストだろうか?何人かのグループが、大きなグライダーに乗ってグラウンドの上を飛んでいた。私も一人グライダーを操り、彼らの下を飛んだ。向こうが正規の参加者なのだろうか、誰も私の方は見ていなかった。飛行中には、何かいい感じの挿入歌が入っていた気がする。「もう一度……」なんとかといった歌詞だった。鳥人間コンテストに見合った、爽快感あるポップだ。私はゴールラインに辿りつくことなく墜落した。しかし私は壁を自力でよじ登ると、その上にあったゴールテープを目指した。テープは切ったが、私は壁から転落した。後頭部を強打し、重症のようだ。私の転落に観衆が湧くと、そこへ『サザエさん』のサザエさんとフネさんがやってきて、赤本のような表紙の『サザエさん』コミックを配った。どうやらそれで私が体を張って目立った目的は達成されたらしい。

 

 

 

 別のシーン。私はX軸方向への重力に従いながら、校舎の壁沿いに配置された壺や招き猫などの雑品の間に棒を突き立て、棒高跳びの要領で移動していた。倒れる前に次の隙間に棒を立て、勢いのまま棒に揺られ、また次の地点に棒を立てる。慣れたものだ、走るよりずいぶん速い。そうして私は非常階段の屋上についた。ここではグループで屋上菜園をやっているらしい。中学時代の理科部がモデルだろうか?仲間たちは各々に得意の作業を持っていて、それに応じて二つ名を与えられていた。しかし特に突出した能力の無い私は二つ名はおろかそこにいることさえ場違いに思えるほど居心地が悪かった。

 

 

 

 別のシーン。旧友と再開した。私は校舎から飛び降りて運勢を占った。落下中に横軸の移動で自動ルート分岐することで諸々の運勢の幸・不幸が分かるようだ。しかし、私の辿らされたルートは先週の男性の運勢ルートだったので、何の意味も無い。正しい占いをした旧友は後から遅れて降りてきた。

 それから私たちは座談に興じた。旧友は教育者になっていた。人物的に、多分スポーツ関連だろう。特別に優れた人物というわけでもなかったが、今は結構な人格者になっていた。旧交を温めるとなると、私の現状からは陰鬱な話題しか出てこない。ここ数年で受けた碌でもない仕打ちのことを吐露すると、旧友は見方を変えて何事も善意に捉えるようにとの助言を寄越した。自分も元はそんな考えだったが、気に食わんものは気に食わん。正論という奴は適用したくない人間にとっては暴力的である。私はいや違うんだと力説しながら、しかし旧友の人格を無視して彼から私の怒りや悲しみへの同調を引き出そうとしている自分に嫌気がさした。まったくもって、自分は穢れてしまったのだと思った。


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