Re:夢X夜   作:ろあ

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2021/10/13 etc

2021/10/13

 

 私は無数の群衆に交じって黄金のピラミッドの内部を上っていた。頂上から脱出できるようだが、上るほど道は狭くなり、混雑している。

 何とか抜け出したあと、私は家族と夕食を共にした。どうやらみんな同じ目に遭っていたようで、父は「今日は大変だったので奮発した」と言っていた。私は何を買ったか言い当てようとしたが、天ぷらだなんだと予想を外すうちに父の顔は曇り、とうとう「お前らにはやらん」と言って拗ねた。

 

 翌日あたりのことだろう。父は私にとある立体を見せた。直方体の中に、三つのベクトルが矢印として具現化している。しかも、そのうち一つは曲がった矢印だ。父は私にこれらの合力を算出しろと言った。五歳の頃の私ならすぐに導き出せたはずだろうという。

 悩むうち、私は病院のような建物の敷地にいた。きっと五歳のころに行ったことになっている場所だろう。幼い記憶のせいか、木々の緑などが妙に輝いて見える。

 

 それから、妙に広く無機質な我が家には例のベクトル入り直方体を大きくしたオブジェがあった。父が置いたらしい。母は邪魔だといい、父も父で「公園の遊具じゃあるまい。いい年こいて何を作っているんだ馬鹿馬鹿しい」と自虐した。私は「いいじゃないですか、公園の遊具。全力で人を楽しませようと物を作ることは素晴らしいと思います」と言った。素早かった子供のころの私は遊具が好きで、高い所を誰よりも早く駆け抜けるのが楽しみだったのだ。

 

 

 

 「つくづく自分はINTとAGIに全振りだったなぁ」。そんなことを言っていると、私はいつの間にか見知らぬ施設にいた。未来的な施設だ。自動ドアからは自分と同じように当惑した若者たちがぞろぞろと出てくる。どうやら自分たちはこれからRPGを模したゲームに参加させられ、一人だけ脱出できるらしい。余計なことを言ったせいだろうか? 

 私は集団に交じり、案内の声に従って開いた隔壁の向こうに進む。小さなエレベータがあった。どう見ても一人用だ。勝者が脱出するためのものだろうが、まだだれにもその権利はない。いくつかの隔壁が開くと、向こうには講義室があった。我々はそこでテストを受けた。第一問は『パン』という架空の洋画からの出題だった。作品の冒頭はこんな具合だ。

 この世界には耳の垂れた醜い妖精が住んでいた。住民は牧神パンを祀っており、パンもまた似たような姿だった。そしてあろうことに、パンの祭壇は私が先刻抜けてきた黄金のピラミッドだった。あるとき、パンに捧げる生贄の男が役目を放棄して逃げ出した。男はパンを捕まえると、パンの体に蜜を塗りたくったうえで壁の穴に押し込み、身代わりにしてしまった。

 問題の内容は覚えていないが、視聴済みの私は難なく解いて仲間に教えていた気がする。

 

 

 

 別のシーン。私は大学近くにあるという会館に来ていた。卒業式にでも使うのだろうか? 会館には文芸部の面子が来ていた。開会までの時間を待っていると、仲間内で飲み物を買ってくるためのじゃんけんが始まった。私は後輩の一人がこっそり手を変えたのを見逃さず、告発した。後輩の負けになった。

 この会館は複数の大学が合同で使うもののようで、他大学の生徒も来ていた。私はそこで中高の旧友らを見かけた。その中の一人、高校時代の友人が声をかけてきた。進学校では珍しく貧しい家庭を持つ苦労人の友人だ。うちの高校は区内で成績トップというわけではなく、そこそこ優秀だった彼の志望校も関関同立あたりだったと思う。塾にも行かず阪大に進んだ私はレアケースのようで、旧友は久々に出会った私を「選ばれた人間」だと言った。それから彼は中学時代の友人の話をした。ちょうどその友人も彼より優秀だったようだが、我々の高校に来なかった理由が「橋を越えてはいけないから」だという。「天才という奴らは分からん」とか、そんな話だった。

 

 

 

 

 2021/10/15

 

 体育館に弟がいた。何かの遊びをやっているらしい。ゴブリンの姿でほかの参加者たちをバッタバッタと切り倒して活躍する弟を、私は応援していた。やがて弟は舞台に上がった。舞台袖から飛んでくる何かを、剣で斬って弾くパートに入った。そのあと、傍観者だった私も同じことをやった。私の武器は弟の武骨なカトラスと違って、細身のレイピアだった。そして、舞台の幕に目隠しを受けた状態で斬る必要があった。

 そうこうするうち、我々は体に蠟燭を刺した上で磔にされた。ほかに遊戯王のキャラクター達も一緒で、まだ自由だった木馬たちが救出の術を模索していた。

 

 

 

 別のシーン。あるビルの一室で、私は新聞配達の面接を受けていた。条件を確認するに、二時間で二八〇〇円。ただしこの二時間というのは目安に過ぎず、すべて配りきっての成果給だ。そして肝心のノルマに関して、担当区画の広さなどの質問には「お楽しみです」の一点張りである。それから、「もしやめるとしても、一週間は働いてもらいます」とのことだった。

 

 

 

 2021/10/17

 

 私は中学にいた。我々はクラス間の対立を抱えていた。私は大学時代の親友と共に他クラスに捕まり、袋叩きにされた。親友は特に酷くやられた。親友は機械の体を持っていたが、とうとう赤い単眼を持つ頭部だけになってしまった。

 

 

 

 別のシーン。私はコンビニでアルバイトをしていた。弟も一緒に雇われているようだが、サッカースクールに顔を出すといって勤務中に抜け出していった。私は店長に連れ戻すよう指示され、自転車で街に繰り出した。

 それからなんだかんだで私はサッカースクールのコーチに体操着を返しに行くことになった。コーチは「スクールの子は君と違って運動ばかりのバカだから話していてつまらん」と言った。

 それから、私は急に町の中にできた斜面から落ちかかった。しかし、ジャンプと空中ダッシュを交互に繰り出して山肌を蹴ることで這い上がった。それどころか、私はそのまま山を登頂してしまった。眺望と、名誉がそこにあった。


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