アッシュ・レコード   作:道草 いのり

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前回の話があんまり完成度高くなかったんで連日投稿します。
多忙のためしばらくはかなり不定期となりますがご了承ください。



今章はキャラ多寡回です。
途中でキャラ多すぎてごっちゃになるという意見が出た場合はまとめるのでよろしくお願いします。




第二章 死の行進
竜で魔女を釣る侍


◼︎□【高位信仰者】雪姫 桜

 

「や、やっと着いたぁ…」

 

「全く、なにやってるのよ。少しは学習しなさい」

 

 暑さで完全にだれてしまった私にリーナが声をかける。

 ドライフがあれだけ寒かったのもあり、私は完全にカルディナの暑さにやられていた。

 ドライフでは《炎熱耐性》のアクセサリーをほとんど見かけず、見つけても躊躇うほどには高い値段だったのでカルディナで買うことにしていたのが完全に裏目に出てた。

【熱中症】などの状態異常はHP回復では治せないため、リーナに冷却魔法を使ってもらいながらようやくここまで来れた。

 

 

「むむっ。桜どの。そんな風で決闘は大丈夫なのでござるか?それでは拙者が優勝してしまうでござるよ」

 

 

 便乗したデュアルさんという<マスター>もどこか呆れ顔である。

 歪なーーというより【シンデレラ】のスキル的にこういうビルドを選択するしかなかった私や純粋な魔法職であるリーナに対し,天地で決闘ランカーの下位に入ってた熟練の<マスター>だ。

 この旅の間にそこそこ仲良くなって戦闘職の動き方とか見せてもらってたのだが、未だ前衛のジョブに就く気配すらない私にはどうやったらあんな動きができるのかさっぱりだった。

 ちなみに、こんなに日本風な喋り方をしているが金髪のオールバックで完全に外人風の顔である。

 リーナは気持ち悪がって半径10メートル以内に近づくなと言ってた。

 結構リーナは人見知りなので元からあまり人好きはしないタイプなのだが、残念ながら今回ばかりはリーナの気持ちが私にもちょっと分かる。

 私も昔日本に住んでいたが、エセ侍を見るのは初めてかもしれない。

 

 

「決闘ってなんの話です?」

 

 

「むむ、桜殿達は決闘目当てでではなかったのでござるか?」

 

 

「この都市は競売都市って言ってな。数日後に大規模なオークションが行われるんだよ。それの余興として大規模な決闘大会が行われるらしい。優勝商品はオークションで扱う品を一品どれでも好きなのを選んでもらう権利だと。一級品は流石に選べないそうだが二級品でも十分でる価値はあるらしい。それ目当てで大勢の客や<マスター>が押しかけてるんだよ」

 

 

 会話の途中でウェグニくんが割り込んできた。

 彼ともこの旅の間にかなり打ち解けた。

 ルイアちゃんとリーナは全く打ち解けなかったのだが、それはご愛嬌だろう。

 

 …あれ、もしかしてリーナこの旅の間に誰とも打ち解けてない?

 ーーいやいや、ウェグニくんとはそこそこ話してた気がするし、大丈夫のはず。

 

 

「なるほど、ウェグ二君もそれに出るの?」

 

 

「ちょっと気になるものがあってな」

 

 

 そう言うウェグニくんの目はどことなく真剣だった。

 

 

「ほっほー、それではウェグ二殿とはライバルということでござるな。桜殿はどうだ?参加なされては?」

 

 

 途中で何度もウェグニくんやリーナに決闘を申し込んではめんどくさいと断られてたデュアルさんの顔が綻ぶ。

 

 

「んー、私は勝ち上がれない気がするので遠慮しときます。むしろそういうのに強いのはリーナじゃない?」

 

 

 私の貧弱なステータスでは前衛職のスピードにはついていけない。

 決闘前からスキルを発動し続けてるわけにはいかないし、《灰を被ったお姫様》でも、状態異常耐性に特化した相手がいたらそれで終わりである。

 ーーというか,ウェグニくんがまさにその状態異常特化なのでウェグニくんと当たった時点で終わる。

 純粋にレジストされる可能性もあるだろうし、十中八九勝ち上がるのは無理だろう。

 むしろリーナなら前衛職の多くは【ハルムート】で無力化できるし、大抵の状況はストックした魔法で対応できる。

 亜音速も【観測者】の視力強化のスキルで見切れるだろうし,《詠唱》もストックしておけるため強力な魔法でも発動までに待機時間は必要ない。

 優勝候補に名乗りをあげることも可能なんだろうけど…

 

 

「嫌よ、なにが悲しくて大衆に手の内晒さなきゃならないのよ。そういうのはいいわ、最近はジェムの収入もあるし欲しいものがあったらそれで買うもの」

 

 

 そう、【高位観測者】がカンストしたリーナはお金稼ぎのために【魔石師】に就いている。

 護衛の間も暇な時はずっとジェムを作り続けていたので、今のリーナの資産はちょっとしたものだ。

 カルディナならドライフより売価は跳ね上がるだろうし、大抵のものは買えるだろう。

 それ故、リーナは性格的なこともあって多分こういうのには参加したがらない。

 

 

「そんなリーナ殿に耳寄りな情報でござる。これを聞いたらきっとリーナ殿も参加すると言われるはずにござるよ」

 

 

「…なによ、情報って」

 

 

 …リーナ、いくらデュエルさんが気持ち悪いからって私の背中に隠れないでよ。

 二人に挟まれてる私が居心地悪いし。

 

 

「ふっふっふ、今回決闘での目玉とされてる商品の一つ。かの有名な亜竜級モンスター…」

 

 

 亜竜級モンスターというところであれっと思う。

 リーナの従属キャパシティは結構低い。

【ハルムート】に乗るために【騎兵】に就いてはいるものの、亜竜級を運用できるほどのキャパシティはないはずだ。

 リーナが魔法職であることは格好からも明らかだし,デュアルさんだって気付いてるだろう。

 そんなリーナに伝える亜竜級の情報っていったい…

 

 

「カーバンクルがオークションにかけられる予定でござる」

 

 

「出るわ!!」

 

 

 その瞬間、リーナの決闘出場が決まったのだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「わっ、なんだかすごく賑わってるね」

 

 

「カルディナで行われる大規模オークションだからな。盛り上がらない方がおかしい」

 

 オークション自体もランクが別れているらしく、普通の人とお金持ち、そして超お金持ちの人のオークションが行われるらしい。

 警備もかなり厳しく、そういうのに向いてない<マスター>も多数雇っているようだ。

 私もRMT法がなければいい装備品とか買えるのだろうけど、あいにく今の手持ちは少ししかない。

 ーーハロウィンイベントでそこそこ稼いだはずなんだけどな。

 

 

「それじゃ、私は受付してくるわ。桜はどうするの?」

 

 

 とてもやる気になってるリーナだが、これは仕方ない。

 そもそも、カーバンクルは戦闘用よりも鑑賞用としての価値が高く、戦闘力は亜竜級でありながら純竜級の数倍の値段がつくことも珍しくはないそうだ。

 少なくとも私の全財産とは数個桁が違う。

 …なんか言ってて悲しくなってきた。

 一級品のリストに入っていてもおかしくないそうだが、流石に全てが二級品ではと、開催者が気を効せたのだろうということだった。

 ジェムで稼いでるリーナでもこの【魔石師】に転職してからのこの短期間で、流石にカーバンクルを競り落とせるほどは稼げなかったらしい。

 

 

「結構並んでるし、出場選手絞ってるなら少しかかるよね?だったら今のうちに狩りでもしてこようかな」

 

 

【高位信仰者】ももうすぐカンストする。

 ドライフに行って転職条件をクリアできるようにしてきたため,そうなれば晴れて【巡礼者】だ。

【巡礼者】になれば【シンデレラ】のデメリットも大幅に軽減できるようになるだろうから,噂になってる上級進化も恐らく耐えれるだろう。

 

 

「んじゃ、俺も付き合うよ」

 

 

「え?でもウェグニ君登録は?」

 

 

「俺はドライフの方でのクエストがあったから一時的に向こうに行ってただけで登録自体は済ませてあんだよ。それに…」

 

 

 ウェグ二君の視線を追うとチェニックの端を掴んでるルイアちゃんがいた。

 

 

「…桜と、行きたい」

 

 

「そういうことだから、状態異常は俺らの方でなんとかするから連れて行ってくれ」

 

 

 しばらく旅をした仲だしルイアちゃんには借金をさらに増やすとこだったのを助けてもらった恩もある。

 状態異常をなんとかしてくれるというのなら別に断る理由もない。

 

 

「分かった。それじゃあ一緒に行こうか」

 

 

 覗き込んだルイアちゃんの顔が少し綻んだ気がした。

 

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