ぬらりひょんの航海記   作:ハッタリピエロ

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模擬戦

シルバー・D・リクによって結成された百鬼夜行海賊団は後に四皇をも恐れる海賊団になるのだが今はまだ小さき木の葉のような存在である……まるで小さき台風が成長するように大きくなるであろう……

 

・・・・

 

マリージョア襲撃から約一年半が経過したが未だにオルビアさんはみつかっていない。

 

結成された百鬼夜行海賊団のメンバーは大半が元奴隷だがその中にも特に腕の立つ人物もいた。

 

だが戦闘経験のない者たちもリクへの忠誠心からか訓練を怠っていない。

 

そしてリクはオーガーとバージェスを招集している。

 

「何の用ですか?船長」

 

「また戦いでもあるのかあ!?」

 

「来てもらったのは他でもない。奪ってきた悪魔の実だが……」

 

リクたちはマリージョアにあるとてつもない財と一緒にイブに生えている悪魔の実を根こそぎ奪ってきたのだ。

 

だが一つ問題があった。

 

宝の方はともかく奪ってきた悪魔の実は図鑑にも載っていないという問題アリのやつだったのだ。

 

「それで?まず俺たちに食わないか?ということですね」

 

「ああ。だがはっきり言ってこれは博打だ。どんな能力かもわからん」

 

「ウィーハッハ!船長がいいなら食わせてもらうぜ!?」

 

「俺もだ。新たなる力をつけるべきだ」

 

「じゃあ選んでくれ。自分の判断で決めるんだ」

 

並べられた悪魔の実を見た二人だったがバージェスは即決で決めて手にしたが、オーガーはまるで悪魔の実の声を聞くかの如く精神を集中させている。

 

そして端の悪魔の実をとると

 

「決まったか。水、おいとくから」

 

その言葉を聞いた二人は意を決したかのように悪魔の実を口にした。

 

食った感想は

 

「マジィ……!」

 

「酷い食感だ……」

 

「あはは……まあ俺も初めて食った時はそうだったな」

 

リクは悪魔の実を片付けると二人を連れて訓練場に向かった。

 

「あ!総大将!」

 

船員たちがリクに気づき礼をする。

 

「おいニードル!」

 

「なんだ?リク」

 

「バージェスが悪魔の実を食った」

 

「あー……なるほどな俺にその相手をしろと」

 

「話が早くて助かる」

 

そしてお互いが構えると

 

「どっちが勝つ?」

 

「普通に考えれば、能力を使いこなせているニードル様だろう」

 

「だがバージェス様の怪力も相当なものだ。わからんぞ……」

 

「始め!」

 

「波動エル「暗鬼影乱舞」ちょおっ!?」

 

バージェスがエルボーを繰り出す前にニードルはバージェスの後ろの空間から刃を繰り出した。

 

この二年の間にニードルの能力は覚醒し、一定の範囲内なら自分のポケット空間に収納させたものを任意の場所で出現させることができる。

 

後ろから飛び出してきた武器を横に跳んで躱す。

 

だが予想していたのかバージェスの躱した先に手裏剣を投げつけるニードル。

 

バージェスも咄嗟に左腕で風圧を起こして手裏剣の軌道を変えた。

 

隙をつくらないとばかりに接近して右腕に纏った武器や死角からの武器の出現で攻撃するニードルを前に攻勢に出れないバージェス。

 

そしてニードルの裏蹴りがバージェスを吹き飛ばし、その先に出現させた武器を待機させていた。

 

決着が決まるかと未来を視たリクを除き誰もが思った。

 

武器が放たれた瞬間、ニードルも勝ちを確信した。

 

だが……

 

「なっ……!?」

 

バージェスの背中から生えた4本の腕が放たれた武器を受け止めていた。

 

「これは……!」

 

「まさか……!」

 

「そうだ、それがお前の能力。見たところ……”ヒトヒトの実 モデル 阿修羅”といったとこかな」

 

「……ハ、ハハハハハ!ウィーハッハ!いいじゃねえか!俺にピッタリの能力だぜ!」

 

そしてバージェスは掴んだ武器を逆にニードルの方に投げつけた。ニードルは撃ち落とすもバージェスが接近する隙を作ってしまい、間合いを詰められたニードルは右腕のパンチで吹き飛ばされた。

 

「そこまで!勝者バージェス!」

 

「ウィーハッハ!!俺が勝ったぞ!!」

 

三個ある両腕を振り上げて叫ぶバージェス。

 

満足したのか試合場からさっさと出て行った。

 

「次は俺の番だな。相手は……」

 

「俺がやろうか?」

 

『総大将が!?』

 

「ほぅ……船長自らが相手になってくれるとは……」

 

そしてリクは祢々切丸を鞘から抜き、オーガーは愛銃『千陸』を構える。

 

「始め!」

 

ニードルの合図とともに発砲するオーガー。勿論急所は外した攻撃だ。

 

だがリクは当たる直前で躱すと

 

「明鏡止水」

 

威圧による認識阻害を発動させる。

 

「うわっ!また消えた!」

 

「どこにいるんだ?」

 

と見物していた船員たちはリクを捉えなかったがオーガーは

 

「……そこだ!」

 

覇気による一瞬だけの感知で狙撃したオーガー

 

ガキィン!と甲高い音が鳴り響いて認識阻害が破られた。

 

「いた!」

 

そして逃がさんとばかりに連続で発砲するオーガー。

 

リクも祢々切丸で弾丸を全て捌いた。

 

やはり決定力や機動力が欠けていると感じたオーガー。

 

だが同時に危機的状況だからこその昂ぶりが自分を更なる高みに連れていくとも確信した。

 

そして危機的状況に陥った時こそ、動物系の本能が目覚める。

 

と先ほどよりもより鋭い銃撃がリクを襲った。リクは驚きながらも咄嗟に受け流した。

 

そしてオーガーも自らの変化に気づく。

 

「これは……!」

 

「それがお前の能力か。”トリトリの実 モデル カラス天狗”」

 

「そうか……!これが……俺の力……!」

 

オーガーが手に入れた力とは暗闇の中でも寸分たがわず見える夜目。狙撃ポイントを瞬時に変えてのトリッキーな戦法を可能とする機動力。そして自らの銃撃に足りなかった決定力を遠心力によってあげる風の神通力。

 

カラス天狗とは剣が得意な妖怪だったが、オーガーの戦法とはベストマッチしていたのだ。

 

「では……行くぞ!船長!」

 

再び千陸を構えて銃撃を放つ。リクが祢々切丸で防いだのを見るとその一瞬で死角まで移動して再び銃弾を放った。

 

そしてリクが死角から外れた位置に移動しようとすると銃撃が襲い、格段に上がった機動力によって死角から抜け出せないのだ。

 

追い詰められていくリクを見た船員たちは

 

「すげえ……」

 

と声を漏らした。

 

オーガーが止めの一撃を放とうとした時

 

グワッ!

 

「グゥ……!」

 

覇気と能力による威圧を同時に受けてしまい怯んだがすぐに銃弾を放った。

 

だがその一瞬で体勢を立て直したリクはオーガーに間合いを詰めようと向かってきた。

 

誰もが銃弾を受けて倒れるリクを想像した……

 

がこの時オーガーすらも威圧を受けていたので認識をずらされていたことに気づかなかった。

 

放った弾はリクをすり抜けて訓練場の壁に当たった。

 

オーガーは一瞬で間合いを詰められたことに気づいたが

 

「鏡花水月・撃!」

 

流桜を纏った拳がオーガーのモロにめりこんで吹き飛ばした。

 

「ぐほっ……」

 

「それまで!」

 

船員たちはよほど見入っていたのかしばらくは静かなものだったが

 

『うおおおおおおおお!!!』

 

とこれ以上ない絶叫をあげた。

 

「流石は船長……」

 

「いや、危なかったよ。流石だね」

 

こうしてバージェスとオーガーの能力確認は終了したその時

 

「大変です!」

 

「どうしたラフィット」

 

「これを……見てください!」

 

新聞を見てみるとそこに書かれていたのは

 

『ニコ・オルビア、脱走!』

 

そして5000万ベリーの懸賞金がかけらている手配書だった。

 

「それに……俺たち!?」

 

百鬼夜行海賊団総大将 百鬼将リク

 

懸賞金10億ベリー

 

百鬼夜行海賊団 暗殺破壊者ニードル

 

懸賞金4億ベリー

 

百鬼夜行海賊団 ニコ・ロビン

 

懸賞金3億3000万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 チャンピオンバージェス

 

懸賞金5億5000万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 音越えヴァンオーガー

 

懸賞金2億5000万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 鬼保安官ラフィット

 

懸賞金2億5000万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 ギルド・テゾーロ

 

懸賞金5500万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 悪霊憑きペローナ

 

懸賞金6000万ベリー

 

こうしてオルビアが脱走したことでまた波乱が巻き起こる予感がしたリクであった。

リクは七武海になるべきなのか

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