マリンフォード海軍本部。
世界最高峰の海兵たちが集うこの島の元帥室でアフロヘアーの元帥センゴクと老練さを感じさせる女中将おつるが向かい合って座っていた。
「ロシナンテと一緒にいた子は百鬼夜行海賊団と行動を共にしていたよ。きっと拾われたんだろうね」
「そうか……」
センゴクは机に組んだ手を置きはぁー……と息をはいた。
我が子とも思っていた海兵が海賊の元にいったのだ。心配になるだろう。だがそれでも落ち着いていたのは百鬼夜行海賊団が市民を脅かすような存在ではなかったからだ。
彼らは市民から略奪を行うモーガニアなどではなくどちらかというとピースメインに近い。それに彼らが海賊になった経歴はシルバー・D・リクによる奴隷解放によるものであったので世間からは海賊にならざるをえなかった者たちとされてむしろ彼らを庇う声もでているぐらいだ。
そんな彼らの元ならたとえ海賊になったとしてもロシナンテが苦しい思いをしなくてもいいと考えていたのだ。それに我が子とも思えた彼だからこそ自由に生きてほしいとも願っていたのだ。
「心配ないさ。海兵の私が言うのもなんだが彼らは……シルバー・D・リクは優しい……あの子をきっと仲間として受け入れてくれるさ」
「おつるさん、彼のことを知っているのか?」
「ドフラミンゴを取り逃がした後に乗り込んできてね。飄々とした雰囲気だったけどあの子の言葉には優しさと覚悟が感じられたよ。それとロシナンテからの伝言とアンタへのメッセージも受け取っているよ」
「……なんと?」
「ロシナンテからの伝言は『恩を仇で返すような真似をして申し訳ありません。センゴクさん。ですがあの子を……ローを……助けたかったんです……あの子はもう兄のようにはなりません。俺が海兵として最後に出来ることといえば……』この手紙を届けてくれ……だとさ」
「ロシナンテ……!」
「それとあの子からのメッセージは『おたくの優秀な海兵を奪ってしまい申し訳ない……ですが彼を責めないでやってください……後から聞いた話ですがローはフレバンス出身ですよね?心が壊れた者に出来ることは手を差し伸べるぐらいだ。簡単に見えてそうでもありません。とっても難しい事です。時には差し伸べた手を弾き返されることもあるでしょう。時には侮蔑の視線を向けられることもあるでしょう。時には向けようのない怒りにさらされることもあるでしょう。それでも彼を……ローを救おうとした彼は俺から見れば最高の海兵です。海賊の俺が言える資格なんてあるとは思えませんが、海兵に一番必要なのは力……確かに間違ってはいないでしょう。力がなければなにも守れないのですから。ですが手を差し伸べるという心がなければそれは海兵であっても、誰かにとってのヒーローじゃありません。そんな優秀な海兵を奪ってしまい深く……深く……お詫びを申し上げます……だからこそ彼を俺は責任をもって見させてもらいます』だとよ」
「…………そんな海賊も……いるものなのだな」
こうして今日もマリンフォードの日々は過ぎていく
・・・・
そして1年半後
話題の百鬼夜行海賊団は
『東の海に行くぅ!?』
「ああ、ロジャーさんの生まれ故郷だとよ。一度見てみてえ」
「全く……ウチの船長の気まぐれっつうのはどうも……」
「ウィーハッハ!いいじゃねえか!なんか面白そうなことが起きそうな気がするぜえ!?」
「ホホホ、確かに興味ありますね。ロジャーだけではなくあのガープをも輩出したという海。きっと未来の台風の目が潜んでいる可能性があるかと」
「だからといったって……」
「諦めましょうテゾーロ。船長の気まぐれは今に始まったことじゃないわ」
「ふふ……リクと一緒ならどこでもいいわ♪」
モネが妖艶な笑みを浮かべてソファにいるリクの隣に座って腕を絡ませると
「むー……!」
ロビンも対抗するように逆の隣に座る。
膝の上にはコアラ。後ろからはペローナが抱きつき重装備となったリクは
「なあ……どうしたらいい?」
とクルーに助けを求めるが
「……自分でなんとかしろ」
とあっさりと切り捨てられてしまった。
そんな中でも百鬼夜行海賊団は海を行く。
次に目指すは東の海
リクは七武海になるべきなのか
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断れ!