1939年 ドイツ ウィルヘルムスハーフェン
「ふむ。」
「コレは・・・。」
そう、例の大佐からの
『機密書類』が完成した
「閣下、一応人員は確保出来ましたが。」
「なんだね?」
「この畝傍大佐なる人物を信用しても?」
「現に完成しておる、それに、な。」
この『機密書類』には
私はもとより
閣下に置ける機密も書いてあったのだ
「ゲーリング君、
彼にバレている以上
我々に残されている手段は『大西洋の制圧』
『ソ連への侵攻』『欧州統一』だ、
そして最も懸念材料の
『人心の掌握』だ、手伝ってくれるね?」
「はっ!!」
▽
アレは1935年だったか
突然に送られて来た『一通の手紙』
そこから『私の人生は新たなページをめくり始めたのだ』
▽
『ふむ、これが。』
ハーケンクロイツが良く似合う軍服だが、
背丈はやや低い男性がその“届けられたモノ”を
物珍しそうに眺めていた。
『閣下、如何様に致しますか?
幾ら同盟国とは言え黄色い猿の作った物、
信用できますまい。』
『否、この自走砲は直ぐに採用せよ。』
『は?』
『12.7cm砲弾が繰り出す破壊力は
艦艇の補助砲としても十分にある、
即刻、この自走砲を基礎とし、
新型戦車の開発を進めよ。』
『しっ!?しかし!!』
『ゲーリング君、
君は、“どこのドイツ”から来たのかね?』
『・・・それは。』
『私はね、疲弊しきった2000年から、
この“別世・ドイツ第三帝国”に来たのだよ。』
『閣下・・・如何様なドイツになったのでありますか?』
『・・・滅んだのだよ、全てがな。』
『全てが?』
『うむ、
我がドイツから亡命した一部の科学技術者がな、
“核爆弾”をアメリカにて開発、
それを、“日本・ドイツ・イタリア”の
三国同盟国に、見せしめとして落として来たのだよ。』
『・・・そのような未来もあるのですね。』
『それがきっかけでな、
打倒アメリカに一気に傾き、
あの“ソ連”を中心とした連合軍が発足し、
我がドイツからも、
なけなしの艦艇と戦車、
かき集められるだけの航空機を動員したよ。』
『ソ連が・・・なれば勝利を?』
『・・・世界中が、
“核の炎”に包まれたよ、
その工業力を持って、
僅か一年で、200発の核爆弾を作り上げたアメリカは、
ソ連に100発は落とし、
残りは艦隊、各連合軍の拠点基地、
果ては各国の首都に核爆弾を落として来た。』
『そんな事をすればっ!?』
『当然、人が住めなくなったよ、
どこか狂っていたのだろうな、
アメリカは自国にある核施設を突如として爆破、
地球全土が放射能の嵐に埋もれ、
私も、せめて死ぬ時は太陽を見たいと思ってな、
“2000年、12月25日”
最後の砲弾で放射能の分厚い雲に穴を開け、
太陽を拝み、そのまま血反吐を吐き出し、
倒れ、死んだ筈だったのだ。』
『閣下。』
『ゲーリング君、
そうならない為にも、
そうさせない為にも、
核開発を何としても止めねばならない。』
『・・・私の“2000年”は、
欧州連合、大東亜連合、アメリカ合衆国の、
三つの国しか残りませんでした。』
『・・・そんな未来にもしたくは無いのう。』
『はい。』
▽
「しかし。」
「えぇ。」
その巨体は『一号艦』を彷彿とさせる艦橋の高さ
運河を通さない前提で作られたその『戦艦』は
間違いなく『ドイツ海軍最強の戦艦』と言えた
〔仮称・改・ビスマルク級超弩級戦艦〕
全長270m全幅40.5m
満載排水量80000t
平均喫水11m
艦艇用ヴァルター機関178500馬力
高出力モーターポンプ補機2軸
スクリュー式推進機2軸
最大速力36.4ノット(過負荷40.1ノット)
15ノット以下にする場合
ヴァルター機関を停止して運用
補機運用15ノット・5600海里
スクリュー兼用20ノットで6000海里
スクリューのみ15ノット7000海里
主砲410mm55口径『4連装砲』4基
艦首に3基艦尾に1基
4基16門水平装填装置毎分2発×16門
艦中央部副砲203mm65口径『4連装』2基
両舷に1基ずつ
2基8門自由装填装置毎分5発×片舷4門
旋回範囲を
180度とし、前面から側面、後方に対応
100mm65口径連装速射高角砲16基32門
最大到達高度13000m
20mm三連束砲身回転機関砲発射基8基24門
20mm連装機関砲座12基24門
艦首61cm魚雷発射管2基
艦尾爆雷投射基2基
装甲方式は『一号艦』を参考
「正に不沈艦が相応しいな。」
「はい、自身の主砲よりも強力な砲撃を想定、
近接防御として20cm砲の重巡クラスの砲撃。」
「高角砲は13000mに届く、
全くいつの時代を想定しておるのやら。」
「しかし。」
「まだ納得がいかないかね?」
「戦艦に『爆雷投射基』は・・・。」
「『畝傍大佐』の頭の中には
何が詰まっているのだろうな。」
「測りかねます、
この『超弩級戦艦』の設計図に装甲材の資料、
『各艦艇の強化設計図案』と言い、
『一つの艦艇に』
どれだけ詰め込めれば気が済むのでしょうか?」
実はこの『仮称ビスマルク級』は
これでも『削って出来上がっているのだ』
先の20cm砲ですら妥協して両舷に1基ずつ
原案が、
艦橋構造を挟み込むように
4連装6基が原案であり
技術面、復元力を加味して1基にしたのだ
そのおかげで『バルジ』を追加し
水中防御へ割り当てた
「気が済む事は無かろうな。」
「まったくです。」
その『仮称ビスマルク級』の脇には
『仮称ビスマルク級』を旗艦とした
『水上打撃艦隊』構想として
『仮称アドミラル・ヒッパー級』重巡洋艦2隻
『仮称ザクセン級』護衛艦が4隻
出撃準備を整えているのだから
「さて、代替え燃料生産の話を進めねばな。」
「ですな、
この航続距離では
良くて1年で我がドイツは燃料切れでしょうな。」
「困った物だ。」
「えぇ、本当に困りました。」
『仮称アドミラル・ヒッパー級』重巡洋艦
全長220m全幅22m
満載排水量20000t
喫水7.5m
艦艇用ヴァルター機関15700馬力
中央高出力モーターポンプ補機1軸
両舷スクリュー式推進機2軸
最大速力35.4ノット(過負荷41.2ノット)
15ノット以下は
ヴァルター機関を停止する事
中央補機15ノットで4000海里
スクリュー兼用で6500海里
スクリューのみ8000海里
主砲300mm60口径連装砲3基6門
水平装填装置毎分3発
艦首(上段)1基、艦尾2基
艦首(下段)127mm70口径ガトリング砲1基
5門で一つの砲身を形成
自動給弾機毎分50発
艦艇に使用は出来るが
俯角が40度しか取れない為
対空迎撃には向いていない
100mm65口径連装速射高角砲6基12門
20mm三連束砲身回転機関砲発射基4基12門
20mm連装機関砲座8基16門
53.3cm4連装魚雷発射管両舷各1基8門
艦尾爆雷投射基2基
水上機『衝雷』現地製造機2機
『仮称ザクセン級護衛艦』
全長150m全幅17m
満載排水量6000t
喫水5m
試作艦艇用ガスタービンエンジン72000馬力
始動・低速運転用補機ディーゼル500馬力
高出力モーターポンプ補機両舷2軸
スクリュー式推進機1軸
最大速力35.2ノット(過負荷43.4ノット)
15ノット時
ガスタービンエンジン
高出力モーターポンプで5500海里
スクリュー兼用で6560海里
スクリューのみ7000海里
艦首主砲155mm65口径3連装砲2基6門
水平装填装置毎分4発
533mm5連装魚雷発射管1基左右可5門
20mm三連束砲身回転機関砲発射基6基18門
20mm連装機関砲座6基12門
爆雷投射基2基
艦尾『対空用散弾砲塔1基』
「ふむ、ゲーリング君。」
「はい。」
「あの艦尾のアレを
余は見ていないのだが?」
「え?『機密書類』の
原案のままですが・・・。」
「見なかった事にしよう。」
「は?」