休暇中のマフィア五大幹部こと土井晩翠が探偵社の掃除のバイトとして赴任してから二週間。
「土井君、これ捨てといてー。」
「分かりました、捨てときますね太宰さん。」
「土井さん、この自堕落を絵に描いたようなやつの言うことなど聞かないでよろしい。自分で出したゴミくらい自分で処分しろ、太宰。」
「もー、相変わらず国木田君は真面目だなぁ。そんなんじゃ女の子にモテないぞー。」
「ふん、俺は自分の理想に従っている。今は恋人が出来る時では無い。」
国木田さんとやらはいつも理想と書かれた手帳を持っている。中には自分が死ぬまでの予定がびっしりと書き込まれており、異能発動時はこの手帳が欠かせない。
「手帳サイズとはいえ書いたものを具現化出来るって便利な異能ですねー。」
「いえ、具現化するには自分が一度見る必要がありますし、あくまで異能で作成したものですので太宰に掴まれると元の頁に戻ってしまいます。万能ではありません。」
「そうだねぇ国木田君の異能は便利ではあるが万能では無いかもしれないねぇ。」
「太宰に言われるのは釈ですがそういう事です。それはそうとして土井さん、そろそろ約束の時間では?」
土井晩翠はこの日午後から休暇を貰っていた。元自分が働いていた職場に久しぶりに顔を見せに行くからだ。
「机はそのまま30分ほどほっといて下さい。乾拭きで拭けば綺麗になる筈です。では、お先に失礼します。」
「...行ったね、土井君。」
「何だ、何か思うところでもあるのか、太宰?」
「いや?彼がポートマフィアのビルに行くことは別に心配はしていないよ。私と違って彼は”現“五大幹部だからね、ただ...」
「ただ...何だ?」
「彼は芥川君を知らない。」
ーーーポートマフィア本部ビル前ーーー
「着いた。久々に見ると豪華なビルだな...さて、森さんに電話でもしようかな。」
「おい、そこの貴様。」
「?」
「ここはポートマフィアの本部だ。貴様の様などこの馬の骨とも分からん者が来る所ではない、僕に切り裂かれたくなければ今すぐにここから失せよ。」
...男女の二人組か。片方の青年は凄い殺気だな。もう片方の女性は此方の様子を伺っているようだが。
「芥川先輩!まだ敵であると決まったわけではありません!首領に用がある客人の可能性も...」
「黙っていろ、樋口。首領はこの時間街に行っていると聞いている。ならこの目の前の男は何だ?客人だとしても首領が会わないと判断したということはマフィアにとって不要な人間も同じ。よってこの男は敵だ。僕がこの場で処刑する。」
「それは...確かにマフィアにとって重要な客人なら首領が会っている筈です。会わないということは不要なる者に違いありません。」
「い、いや自分は敵では無くてですね。首領には先にビルの中で待っててって言われてて...」
「嘘をつくならもっとマシな嘘をつけ。やはり貴様は僕が処刑する!下がっていろ、樋口!」
「ちょ、ちょっと二人とも話を」
「羅生門!!」
「くっ異能力者か!」
ーーー探偵社ーーー
「敵と判断した者には躊躇なく攻撃を仕掛ける芥川君。正直かつ基本的に穏便に済ませようとする土井君。ほぼ性格が合わない二人が出会ったら...少々厄介なことになるね。